《雪が降る世界》第30話 〜壊れたロボット〜 七海said
世界最高の醫者、ね…。
嫌だよホントに。兄さんも姉さんも自由なのに。なんで俺だけ…。
────
まだ誰にも教えていない名前。學校では偽名で通してる。
''七海葉希''
希を葉えられるようにと。もちろん、俺の希じゃない。父さんの。出來損ないの兄さん姉さんの代わりに俺をつくって、トップレベルの醫者を殘したい、らしい。
だから、俺だけビビるほど勉強した。
母さんも優秀な看護師でまぁ家柄としては申し分ないけど。賢い親だったから、俺もどんどん知識が増えてった。…必要ないまでに。
「ねぇ父さん、俺も、遊びたい…。」
「勉強に終わりはない。いいな?」
「…。」
クラスメイトと遊ぶことも、テレビもゲームもやらせてもらえなかった。
人付き合いが悪く、世間の娯楽に驚く程無頓著になってしまって。いつしか誰も寄ってこなくなった。當然といえばそう。だって、こんなに面白くない奴、誰が相手すんだよ。テレビで話題振ってもダメ。ゲームなんて全く分からない。好きな俳優もアーティストもいない。
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頭だけがれたつまらない人間。
小學生まではそれでも全然何もなかった。ただ友達がいないだけ。
けど中學生は。
會話がり立たないから。
「あれ…靴がねぇ。」
嫌がらせをけて。酷い時なんて思い出したくもねぇ。真冬に上著とコート剝がされて育館倉庫に閉じ込められたこととか。三途の川が見えたもんだ。寒いなんてレベルじゃなかった。
でも家では父さんに怒られるし。母さんは助けてくれないし。兄さん姉さんは無視されてるし。
どこにも居場所を見つけられなかった。本來息抜きである家が、地獄でしかなかったんだ。だから、ずっと部屋にこもって何とか1人の空間を維持してた。
飛び抜けて辛かったのはクラスの人に
「天才の子どもっていいよなぁ。勉強しなくても余裕じゃん。」
「頭だけくれよー。」
って言われたことかな?
まぁ俺でも父さんはすごい人で確かに天才って言わざるを得ない。でも、それは父さんが勝手に努力したからだろ。俺は違う。天才でもなんでもない。しぶしぶ勉強してる普通の一般人。伝子的に長けたところもある。運神経とか。それ以外は、紛れもなく俺の。何もしてない奴らが、頭だけ取り替えろなんて冗談じゃない。自分の限界を超えてから言うもんだ。今までそんな人間に會ったことなんかない。
高校験の年は嫌がらせがヒートアップした。みんなストレス溜まってまんだろーな。俺からすれば普段やってなかった事の埋め合わせが多すぎた、に過ぎないが。そんなの自業自得じゃん。なんで俺が苦しくならなきゃいけない。
そんなこんなで俺だって人間だ。神的にも上限ってものがある。
「ここ…切れば、出多量…。」
俺が主に勉強している醫學分野は脳と循環。循環をせば楽に、なるかもしれないと。
お湯とカッターを用意してドアの前に大量の教科書をセット。これでいい。
────
「案外痛くねぇ。」
覚が狂ったのか、さほど痛みはじなかった。けど両手首を切ったわけだ。影響もすぐ出る。
「これでいい…。終わり…。」
完全室にしてたのに。
「葉希?!何してるの?!」
なんでってんの…?見たことねぇよそんな馬鹿力…。
目が覚めたら病院にいて。父さんにめちゃくちゃ怒られた。いや誰のせいだよ。
験の日、眼科に行った方がいいんじゃないかって思うほどの人がいてな…。どこかで見たことがある気がする。理系の教室にっていたが。俺も本當は理系だったんだよ。…でも、どうしても醫者にはなりたくない。理系を選べば視野は狹くなる。何回毆られたかは知らない。
俺の未來に、理科も數學も必要ない。別に、傷が殘ったって…いいんだよ。
試験はと言うと、まぁいつも通り。家でやる勉強よりは簡単だったかな。一応最難関校だけど…。よかった、英文いっぱい読んどいて。
合格発表も特に張もせず。普通に1番…。じゃなかったらまた毆られそうだしな。
それから気になる理系。
「あ…いるわ。」
真っ白で、ちょっと小さい…あれ男子か?あぁズボンだ。ごめん…。
その子は、理系首席で。なんつーか…やっぱり自分でやりたいって思ってる人の方がびやすい、と思う。
けど俺には関係ない。高校では、いじめられたくないし、家で圧をかけられるのも嫌だから。クラスメイトだって真面目な人が多いだろうから誰とも関わらなくていい。
そのはずだった。
「ねぇ七海君、部活…決まってないでしょ?」
帰宅部なんです。ずっと。いやそれ以前に。
「俺に関わるな、鬱陶しい。」
ちょっとキツめに言っときゃなんとかなるか。
「いいじゃん!行こ!」
よくねぇ。何部だよ。
「は…?弓道とかやったことないし。」
「俺もないー。」
「じゃあ別にいいだろ。」
関わりたくないのによ…。俺陸上しかできねえ。
「すいませーん、りまーす。」
「OK!2人ね!」
!??!!?!?!!
負けた。
しして、もう2人會った。名前はもう教えて貰ってる。
アニメから飛び出してきた、が1番似合うような綺麗さ。これは…アルビノだな…。素晴らしい。世界に數人しか見れないぞ。
テストとか育祭とか文化祭で思いもよらない流があって、自分で決めたことを忘れてた。俺、こいつらと縁切れない。
初めて友達と勉強して一緒に祭り行って…。まぁ大波だったが。あれは、その、中學生の時のクラスメイトをたまたま見つけて…。逃げた先に変出者…。拐とかホントによくあるから何とも思わねぇがこま達がいたから割と焦った。遭遇したらしいし。逃げるの失敗した。申し訳ない。
みたいな狀況で結局抜けるのに1週間かかって…。これも父さんに怒られないわけがない。全部俺が悪いからなぁ。
そのうち澪の存在に気づいた。あの違和はすごかった。お前ら…雙子、なんだよな?骨格も全く違うし髪の生え際も似てない。
まぁそんなこともあるか…って思ってたが。一応その病気について調べてみた。
澪の病気は伝で合併癥はまた別の話。こまに聞いた先生の見解…結論といったところか。先生はこまは絶対ならないと言ったらしい。これで辻褄が合う。
伝ならこまだってなりうる病気。俺はその辺専攻してないけど出來ないわけじゃない。
「こま…。澪はな、お前の雙子でもないしも繋がってない。」
それからちょっと本気出してDNA検査をやってみた。こまは、ドイツ人とフランス人のハーフで澪は純の日本人。
「は?…何、急に…。」
「お前、小さい頃の記憶はあるか?」
「…全然ない。なんで?」
「こまには、澪じゃなくて、別にもう1人兄弟がいる。…そこまでは流石に分からない。」
「何それ。家族…なんて、澪だけだと思ってたのに。」
「こまがむなら、一緒に探してあげる。」
「ほんと?」
「まぁ…結構時間かかるだろうし俺も所詮高校生だから。代償はかなりでかいがな。」
「大金…?俺そんなに持ってない。」
「はは、金は取らねぇよ。父さんに頼むから。」
「七海先生?やったー!」
俺が初めて尊敬したこまのため…。
作家になる夢を諦めて、絶対ならないって決めた醫者になれば。それを父さんに言えば。
本當の家族に會えるかもしれない。
心の支えを一度に失ったこまが、また俺や春瀬たちに笑ってくれればそれでいい。きっとみんなが願う、こまの幸せ。自由に生きてこそあいつはを纏う。今まで澪と瑠璃さんに盡くして來たんだから。あいつの意志で。そろそろ、自分のために、楽しんでくれ。
「父さん、俺、ちゃんと醫者になるから。…ひとつだけお願い。友達の家族を探すの手伝って。」
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
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