《雪が降る世界》第36話 〜安全と危険は紙一重〜

試の時から思ってたんだ。」

「…何を?」

「基本的にアルビノ患者はトラブルに巻き込まれやすい。人売買とか。いつの時代も、綺麗なもの、しいものはそれなりの価値がある。」

綺麗な人なんて…この世にごまんといるだろ。

「だから、何だよ。」

「なんで…こまは五満足で何もなく過ごせてるか。不思議で仕方なかった。ただの日本人の俺でさえ、事件まみれだったのに。こんな人が目をつけられないわけが無い。」

意味がよく伝わらない。そりゃだって、俺が魅力的じゃなかったんだよ。

「言って分かるか?

お前の手足と、日本に麻薬を持っていくことが、換條件になってたんだ。」

この時、自分がどんな顔をしたかは分からない。

俺のせいだと。父さん達が、裏社會に手を出すはめになったのは。その結果、夢で見た彼らとは全くの別人へと変わっていた。

何を思ってこんな奴を守った。いいじゃん俺の腕くらい。無くなったって…。

「とんだ疫病神だ…。」

「まぁいつまでもここにいるわけじゃないし、もうちょっとしたら釈放なんだって。」

「そうじゃねぇよ…。」

「…それだけこまをしてる、そういう事だ。いい両親じゃん。」

どうも意味深に聞こえて仕方がない。されるなんてキモチワルイ。生まれなければ。アルビノじゃなければ。日本に來ていなければ。今頃、ヨーロッパのどこかで幸せに暮らせていた。換條件で人生が狂うなど…。

「なんで…その條件に応じたのか、聞いてみてよ。」

「?構わんが…。」

七海も言ってたけど。しだけ、疑わせてもらう。

と、急に赤面する七海。今度は何だ。

「ほら、言ったじゃん。されてるんだよって。あぁもう泣きそう。」

「なんで?!」

「いいなぁ。…さすがこまの父さんだね。しっかりしてる。」

「なんて?」

「五不満足になれば、お前が自由に遊べなくなるだろうと。これから活躍出來なくなるだろうと。何もしてない弱い人間が、弄ばれる必要はない、だってさ。」

すげー宗教…。でもな、実際…俺は期待には応えてねぇな…。

「ごめんなさいって言っといて…。」

「言わなくてもいいさ。」

「…?」

「今からまた、やり直せるから。」

「ねぇなんでそこまで読んでくるかな?」

「顔に描いてある。」

「…。」

「シケた顔してっと無駄に心配されるぞ。」

「ソウデスネ。」

「かたわれのことはまだ分からないから明日行こう。そっちも聞いといたから。」

「了解。…さよなら。」

「こまって、ホントに全部綺麗だね。」

「うるせぇ…。」

母さん達に別れを告げ刑務所を出る。さあ春瀬達はどこまで行ったかな?

「ホテル帰ったら資料見せてやるよ。」

「何の?」

「アルビノ患者の人売買。」

なんつーか…やっぱ七海はアメとムチの典型だわ。

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