《雪が降る世界》第39話 〜繋がる記憶〜
「ねぇなんで雪なの?」
出発しようと思ったら突然降り出した。場所も場所だから俺や七海は妥協できるが加はまぁまず環境に慣れねぇわな。雪とかマジ田舎…。今3月…。いやつい最近降ったよな?
「仕方ないだろ。お前が勝手についてきたんだから。」
「そうだけどさー。もっと遊ぶんかと思ってたわ。」
「ホントブレねぇな。俺もこまも頑張ってんだよ。」
「別に今まで何もなかったんだし。そんなに重要?」
分かってる。どうでもいいことだ。俺の家族なんて。加達にとっては。だからついてくるなって…。
「馬鹿…!お前だって知ってるだろ?こまが一人暮らしってこと。理由なんて簡単じゃないか。家族がバラバラになったからだよ。」
「え、そうなのか?」
「あんまり覚えてないけどね。本當の母さん達のことは。」
「お、偽がいたのか?」
デリカシーのなさは加が世界一だな。
語彙力の無さに免じて笑っておく。
「養子だったから。」
「へーリアルで見たの初めて。」
Advertisement
「この能天気。」
「りんご…。」
「季節ってもんがあるだろ。諦めろ。」
新幹線の中で疲れたのか、突拍子もないことを言う春瀬。確かに青森ってりんご以外イメージないもんな。
「場所は分かるのか?」
「いや…分かってるのは名字だけ。後原っていうらしい。」
どうやって探す気…?
七海が取り出したのはまさかの地図(紙)。
「今から市役所行くよ。そっちのが手っ取り早い。」
「あっ、はい。」
その地図だけで探すのかと思った。それはそれでかっこいいけど。…手っ取り早い。じゃあ聞かなくてもいけんのか?天才やばい。
「結構遠くね?」
「超田舎じゃん…。」
「バスも電車も時間がな…。どうしよう。」
「歩けるのか?」
「歩けねぇから困ってんだよ。」
「タクシーで近くまで行って歩く?」
「金かかりすぎる。」
「大丈夫!」
金銭覚狂ってんじゃ…。春瀬が財閥チックなのは知ってるけど。
「この辺までお願いします。」
結局俺も七海も頑張ってバス待つって言ったが負けた。
まぁあと1時間待って2時間かけて行ってちゃ日が暮れるもんな。ありがたく乗っておこう。
車の中でちゃんと加達にも事を説明する。前の國籍、本名、家族…。
そんな真っ青になんなくても。
「ヴォールって呼ぶか…?」
「いやいいよ。もう日本人だろうから。外國人名で呼ばれても反応できねぇよ?」
「そ、そっか。で?親には會ったんだろ?どうだった?」
特に何も考えてない加は、よくを掻き回してくる。ホント、いい迷だ。
「どうって…。普通に、綺麗な人。」
「顔じゃなくて格!」
「俺直接は話してない。七海に聞いてくれ。」
「え、人柄くらい分かってると思ってたわ。」
「そこまで賢くない。」
「…溫厚で、こまとかたわれのこと大好きそうだったよ。」
「後原君だっけ。こまみたいな不思議ちゃんだったらどうする?」
「こまと同じなら扱いやすいだろう…?」
ちょっと何言ってくれてんの七海。俺が子供みたいじゃねぇか。
「絶対違うだろ。」
「わかんないよ?」
「だって…もしその子が親大好きとかだったらまず合わないし。俺北海道の母さん大嫌いだから。」
「へぇー…。あ、その人達のこと、まだ聞いてないよ?」
「それはそれで知らなくていい。」
「良くねぇ。とりあえず言ってみろ。」
「…人味のない、最低な人間だった。」
「もっと詳しく!」
「めんどくせぇ。」
ようやく著いた。が。
「田んぼと畑しかないな…。初めて見るわ。」
お前ら3人都會育ちだもんな?俺は田舎の方が好きだったりするけど。
「この辺のはず。適當に歩いてみるか。」
'後原'
「あったぁ!」
加が見つけるんかい。頑張れ七海。
「聲デカい。びっくりされるだろ。」
「それにしても大きい家だね…。」
春瀬が言うんじゃ相當でかいんだろうな。普通こういうとこって広いよね。土地も家も。
「行ってみよ。」
「こんにちはー。」
年季のったドアが、音を立てながらゆっくりと開く。
俺の存在とは程遠い。…なんて思っちゃダメなんだがどう見ても活発じゃなさそうだ。
「あの…。リヒト、って知ってますか?」
七海が話しかけるとその子はおもむろに手をあげる。何をするのかと思ったら。
「おい…手話しだしたぞ。七海分かるか?」
「當たり前だろ。」
「なんて?」
「リヒトって名前は前の名前で、今は時夏っていうらしい。それから、聲が出ない。おばあさんの品整理の最中だから來んなって言ってるな。」
「変裝外そ。俺のことも七海のことも知ってるかもしれない。」
そう言って帽子と眼鏡をおさめる。案の定、時夏は揺したような顔をして。
急に、寫真を1枚持ってきた。
それを見た直後。
「痛い…。」
「また頭痛くなったか?」
あまりの頭痛にしゃがみこむ。そして、時夏に手を取られた瞬間。
俺はまた、意識を失った──
【完結&感謝】親に夜逃げされた美少女姉妹を助けたら、やたらグイグイくる
※完結済み(2022/05/22) ボロアパートに住むしがない28歳のサラリーマン、尼子陽介。ある日、隣に住む姉妹が借金取りに詰め寄られているところを目撃してしまう。 姉妹の両親は、夜逃げを行い、二人をおいてどこか遠くに行ってしまったようだ。 自分に関係のないことと思っていたが、あまりにも不憫な様子で見てられずに助けてしまい、姉妹に死ぬほど感謝されることとなる。 そこから、尼子陽介の人生は大きく変わることになるのだった――。
8 105人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
8 81【書籍化】婚約者が明日、結婚するそうです。
王都から遠く離れた小さな村に住むラネは、五年前に出て行った婚約者のエイダ―が、聖女と結婚するという話を聞く。 もう諦めていたから、何とも思わない。 けれど王城から遣いがきて、彼は幼馴染たちを式に招待したいと言っているらしい。 婚約者と聖女との結婚式に參列なければならないなんて、と思ったが、王城からの招きを斷るわけにはいかない。 他の幼馴染たちと一緒に、ラネは王都に向かうことになった。 だが、暗い気持ちで出向いた王都である人と出會い、ラネの運命は大きく変わっていく。 ※書籍化が決定しました!
8 103やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中
王太子から冤罪→婚約破棄→処刑のコンボを決められ、死んだ――と思いきや、なぜか六年前に時間が巻き戻り、王太子と婚約する直前の十歳に戻ってしまったジル。 六年後の未來を知っているジルは未來を変えようと焦り、顔も見ず別の男性に求婚するが、即答で了承を返したのは隣國の若き皇帝(六年後は闇落ち予定)だった。 皇帝に求婚を真に受けられ、誘拐され、後に引けなくなったジルは腹をくくる。 「あと六年ある、それまでに皇帝を更生させればすべて解決する!(と思いたい)」 これは魔力チートで軍神令嬢と呼ばれていた男前幼女が、王太子のしつこい求婚(復縁)を回避しつつ、かつての部下と再會したり、かっこよく物理で事件を解決したり、呪われた皇帝と本當の夫婦になるお話。 ◆原作書籍1~4巻発売中(イラスト:藤未都也先生)◆ ◇コミカライズ1巻~3巻発売中(作畫:柚アンコ先生)◇ ◆mimicle様にてボイスドラマ配信中◆ *月刊コンプエース様にて第二部コミカライズ連載中* ※R15は念のためです
8 95地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇女は殺そうとしてきた兄への復讐のため、來訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝國を手に入れるべく暗躍する! 〜
※2022年9月現在 総合PV 150萬! 総合ポイント4500突破! 巨大な一つの大陸の他は、陸地の存在しない世界。 その大陸を統べるルーリアト帝國の皇女グーシュは、女好き、空想好きな放蕩皇族で、お付き騎士のミルシャと自由気ままに暮らす生活を送っていた。 そんなある日、突如伝説にしか存在しない海向こうの國が來訪し、交流を求めてくる。 空想さながらの展開に、好奇心に抗えず代表使節に立候補するグーシュ。 しかしその行動は、彼女を嫌う実の兄である皇太子とその取り巻きを刺激してしまう。 結果。 來訪者の元へと向かう途中、グーシュは馬車ごと荒れ狂う川へと落とされ、あえなく命を落とした……はずだった。 グーシュが目覚めると、そこは見た事もない建物。 そして目の前に現れたのは、見た事もない服裝の美少女たちと、甲冑を著込んだような妙な大男。 彼らは地球連邦という”星の海”を越えた場所にある國の者達で、その目的はルーリアトを穏便に制圧することだという。 想像を超えた出來事に興奮するグーシュ。 だが彼女は知らなかった。 目の前にいる大男にも、想像を超える物語があったことを。 これは破天荒な皇女様と、21世紀初頭にトラックに轢かれ、気が付いたら22世紀でサイボーグになっていた元サラリーマンが出會った事で巻き起こる、SF×ファンタジーの壯大な物語。
8 195吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日光浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~
機械音癡の吸血鬼作家、仕事の事情でVRMMORPGを始めてみた。 最初は仕事の為にお試しだったけど、気付けば何百年ぶりの日光浴に、これまた何百年ぶりの料理。日々満喫していたけど、いつの間にか有名人になっていて……? え、配信ってなんですか?え、システムメニュー?インベントリ? そんなことより、心音監視やめてもらえませんか? 心臓動かすために血を飲むのが苦痛なんです……。
8 95