《りんご》連打

次の日も、その次の日も、この謎現象は一向に解決せず、むしろ使い慣れてきた手応えすらじるようになってきた。わかったこともいくつかある。意識が飛んだ先でカレンダーや時計、テレビの地域放送が視界にることがあり、そこから時差を割り出して考えると、自分の時間と同じタイミングに地球上で起こっていることだということがわかった。つまり、あのクルーザーのも、砂漠の場面も、飛ばされた瞬間に起こっていた現実であるということ。全てがそうだとは言えないが、1日に何度も意識が飛ぶことがあり、確率的にそうだと思われ。

「ところでユキさん。」

私のまとめを先輩は顔も見ずに靜止した。視線は本に落ちたまま。まったく、無禮極まりない。

「千里眼のような能力を持った気になっているかも知れませんが、飛ばされた先が現実だという拠はあるのでしょうか?」

しもこちらを見ない。噓だろうと馬鹿にしているんだ、絶対そうだ。

「私の知り得ないいくつもの報が飛ばされた先にはあります。テレビで流れているニュース、私は知りませんでしたが、帰ってきた後に調べると実際に報道されたものでした。妄想なんかじゃないですから。それに、もし夢や妄想、それから私が噓をついているとして、それを先輩にあたかも現実だという風に言う必要がどこにありますか?」

フルコンボは決まっただろう。これで先輩は何も言い返せない。いつもそうだ。

「ユキさん。」

「なんですか?降參ですか?」

「僕以外に言ってはいけませんよ。君自信のの安全は最低限君が守らなければいけませんから。」

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