《りんご》『りんごの木』

クローゼットの隅にしまっておいた絵本の中にそれはあった。日焼けした表紙には金のりんごがなった木と、その下で木を見上げる年が描かれている。水彩絵ので描いたような淡いタッチの挿絵。全て平仮名の語は、要約するとこうだ。

『あるところに優しい年がいました。ある日、山を散策していると、火に囲まれたトカゲを見つけました。そのトカゲを助けるとトカゲはおばあさんに変し、お禮に病気の治る金のりんごを実らす木をくれました。年がそれを庭に埋め、りんごの木は毎日金のりんごを実らせました。年はそのりんごでたくさんの人の病気を癒しました。その噂を聞いた王様はりんごの木をこそぎ奪っていきました。年は森へ走り、おばあさんに助けを求めました。おばあさんはナシの木をくれました。「緑のナシを食べると、おでこからツノが生える。赤いナシを食べれば、それのツノが落ちる。青いナシを食べると、鼻が大きくなる。黃いナシを食べれば、元通りになる。」年はそのナシの実を使って王様からりんごの木を取り返しました。』

つまり、先輩は間違っていたということ。りんごは病気を治すものであり、なおかつ金である。しかも呪いとそれを解く果実はりんごではなくナシだということ。

「結局振り出しに戻るんじゃん。」

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