「このクソ野郎ども」

部室に持ち込んだ赤いエッグチェアに座り、長くしなやかな足を組んでいるギャル風のは、突き放す様にそう言った。

彼の目は下の方、床で土下座しているオレとナタツカを見下ろしている。

「い、いや、そうは言ってもな、イヅルハ、正直な話、『アレ』はなかなかだぞ。むしろこの場合どちらも被害者というか・・・」

「ああ？」

「誠に申し訳座いませんでした。全面的にオレが悪かったです」

怖っ！イヅルハ怖っ！高長のパリッとした人にドスをきかされるともう謝罪しか出てこなくなる。

イヅルハは満なの前で差した細い腕を解くとマニキュアやラメでキラキラした爪で長機をコツコツ叩いた。

「あのね、アタシに謝っても意味ないでしょ？どうすんのよ、マホッチまたヘソ曲げて自分一人でクエストクリアしようとか考え出すわよ」

「・・・っ！それはダメだ！アイツにそれをさせちゃいけないんだ！」

「・・・うるっさいわね。もうし聲を抑えなさいよ。だったらやることは一つでしょ。座りなさい」

イヅルハはエッグチェアを扇子おうぎ型に回して長機に向き直るとオレとナタツカにも著席を促した。

「部長は居ないけど、いつも通り始めるわよ。クエストを」

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オレの通う私立慶稜けいりょう學園には、創立から連綿と続く伝統ある部活がある。

その名も、人事部。

活理念はもっぱら人助けであり、設立當初からあり得ないほどの人気を誇っている。

その理由は數多ほどある。

まず、活が実利に結び付く事だ。

有りに言って、この部活はその貢獻度次第で県から金銭を支給される。

その支給額は時として高校生が貰っていい額を軽く超え、ある人は高校在學中に１財産を築いて海外へ放浪の旅に出た。

また、この學校の生徒は人事部に所屬している、と言うだけで他の生徒とは一線を畫すほどの好待遇をける。

無論、貢獻度の多寡たかと定期テストでの結果にもよるが、人事部の生徒は授業に出なくてもいい。

人事部は部活の容的に時と場合を選ばずクエストが飛び込んでくるのでいつでも出出來るように、と言う學校側からの救済措置である。

ーーーが、ココ最近はそこまで火急のクエストは起きていないのでこの制度は形骸化けいがいかし、一部の不真面目な人事部のヤツらがサボりのために使う口上になりつつある。

全くいけない事だと思うが、そう言えばオレもそのサボタージュの常習犯だったわ。テヘッ。

さて、ここまで高校の部活の中ではかなりの異質さを紹介してきた人事部であるが、勿論誰でもれると言うことは決してない。

人事部には特定の條件を満たした、いわゆる『選ばれし者』以外は部できない。

その部條件は明示されておらず、厳格な報統制のもと、部希者は部試験、つまりはトライアウトをける。

高校の履修範囲を遙かにオーバーしたペーパーテストや鉄人レースばりの力テスト、瞬発力や狀況判斷力などを三回にわたる面接で見定められ、ようやく部を許可される。

さて、ここで厳選されまくった『選ばれし者』の中で、さらにとりわけ頭角を表す『五つの明星オーダーズ』と呼ばれる人事部の首脳陣が存在する。

ーーー前置きが長くなった。つまりは６話目にして自己紹介をしようと思うのだ。

まずはオレのそばで肩を落としているこの年から。

投刀塚なたつか出水いずみ、部時力テスト満點、ペーパーテストも非凡な點數で部。

慶稜けいりょう學園中等部からの持ち上がり組であり、生徒からの信頼も厚い。

２年の人材不足もあるが、一年生にして５０人を統べる人事部実働部隊の隊長であり、フットワークは非常に軽い。

余談だが何をしててもアホみたいに絵になる爽やかイケメンであり、いつか鼻フックして全國のお茶の間にその醜態しゅうたいを曬してやりたいやつランキング１位である（オレの脳ランキングでは）。

次いで、ビーズやら何やらでデコられまくったスマホの晶を忙しくフリックしているこの。

出ル羽いづるは百道ももち、部時力テスト、ペーパーテスト共に及第點だったが面接でそのカリスマを見出されて部。

慶稜けいりょう學園には自己推薦で學し、次の日には彼の名を知らぬ者は學園でも極數派になった。

イヅルハについて特筆すべきは、複數のSNSを駆使してのその報拡散力、および収拾量が校ブッチギリの一位だと言うことだ。

彼のSNS上での呟きはそのまま民意に姿を変えて樹形図的に拡散され、世界の裏側まで広がっていく。

人事部、報処理部隊、兼特別技工作部隊隊長、二年生、出ル羽いづるは百道ももち。

彼はこの學校で最も怒らせてはいけない人に學以來君臨し続けている。

さて、こうもそうそうたるメンツの中、オレは一どういう立ち位置なのだろう。

恥ずかしながら自己紹介をさせてもらう。

オレはーーー