《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第一章 第一話 生徒會長と副會長からの相談

「タクミ。居るのでしょ?出てきなさいよ」

階段下から、俺を呼ぶ聲が聞こえる。

聲の主は、子供の時から聞いている聲で、間違いようがない。ユウキだ。

「ユウキだろ。上がってくればいいだろう?」

「バカタクミ。昨日言っただろう!"先輩が相談したい事がある"と」

「あっワリイ忘れていたは、その先輩は一緒なのか?」

「時計を見ろよ。バカタクミ!もう12時を回っている。約束は、10時だぞ!」

「あぁ・・・もうそんな時間なのか?まだ、29時位だと思っていた」

そうか、まずったな。

もちろん、ユウキからの依頼は覚えていた。覚えていただけで、面倒だと思っていた。その気持が強かったのか、昨日は今まで手を付けていなかった、アプリの改良を始めてしまった。

「ユウキ。おふくろやおやじは?」

昨日學校から帰ってきてから見た記憶がない。夕飯は、部屋に有ったで済ませている。朝飯と晝飯は食べた記憶が無いが、腹がそれほど減っていない事から、なにか食べたのだろう。カロリーをメイトするでもつまんだのかも知れない。

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「おじさんは知らないけど、おばさんなら昨日出張だって言っていたよ」

「ユウキ。なんか悪いよ」「そうだよ。タクミ君に聞いてほしいけど・・・」

「あぁ気にしなくていいよ。僕とタクミのいつもの事だし、おじさんとおばさんがいないのもいつもの事だからね」

ユウキの奴も酷いことを言ってくれる。

確かに、おやじはIT企業に努めている関係で、いつも夜は遅いし、帰ってこない事も多い。月月火水木金金の様なありさまだ。おふくろは、クリニックに努めている。そう言えば、なにかイベントがあるとか言っていたような気がする。おやじもおふくろも、世間的には十分なアニオタだと思う。

簡単に支度を整えて、ユウキが待っているであろう、応接室に向かった。

個人的に依頼をけたりしているおやじが使っている部屋だが・・・この家で、まともに客人を迎える事ができるのは、あの部屋だけだ。

扉を開けて、目の前の景に頭痛さえ覚えた。

ユウキが連れてきた、俺に話を聞いてしいと言ってきた人は、ふたりとも有名人だ。それとも、いい方の有名人なのだ。

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「あっタクミ!」

「"タクミ"じゃないぞ、ユウキ。それで、お前勝手に・・・。それ、おやじが楽しみにしていたケーキだろう?」

「え?そうなの?消費期限が今日だったから、勝手にもらっちゃった。ごめん」

「あぁぁおやじ、おふくろに買ってきて・・・。まぁいい。ユウキ。お前から、おやじには謝っておけよ。お前が謝れば、おやじも何も言わないだろうからな」

「わかった。僕から、"タクミが食べていい"と聞いたって言っておくよ」

「お前なぁ・・・」

ユウキとのやり取りはいつも通りだが、連れてきた二人の有名人には、喧嘩しているように見えたのかも知れない。

「それで、お二人は?」

「あ!ごめん。タクミ。先輩たちの事は知っているよね?さすがに」

「あぁ」

二人は、俺とユウキが通っている學校の、生徒會長と副會長だ。馬鹿な校長と許可を出した教育委員會の責任で、全國的にも有名になってしまった。なんとなく、話の容が見えてきてしまった。それと同時に、面倒な展開になりそうだという思いが強くなってきた。

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「タクミ?」

「あっごめん。お二人の話を聞く前に、ユウキ。お前から話を聞きたいけどいいか?」

「え?僕?」

「あぁお二人が、俺の事を知っているとは思えない」

二人に明らかに同様が走るのが分かる。

そういう事なのだろう・・・。

「ユウキ。俺の事は、どこまで話した?」

「え?タクミの事?」

「あぁ」

「タクミ君」「違うの。ユウキに、相談したら、タクミ君ならなんとかしてくれるかも・・・と、言われて・・・それでね」

「あっはい。分かりました。お話は聞きますが、多分、貴たちがんでいる結果は出せないと思いますよ。それでもいいですか?」

ユウキが立ち上がって、機を叩く。

「タクミ。ひどい!先輩たち本當に困っているのだよ」

「それが?」

(俺に何の関係がある?)そう続けようと思ったが、自重した。

「・・・」「え?」「・・・」

誰が言葉を発したのかは、この際置いておこう。

3人には、よほど俺の言葉が不思議だったようだ。

ユウキに連れられてやってきた、生徒會長と副會長は、- 子なのは別にどうでも良い事だが -"工業高校"の生徒會長と副會長を、子が就任した事に価値を作り出そうとした、大人たちが存在した。確かに、醜で言えば、""の方に傾くだろう。まぁ生徒會長は、可いと表現される方が似合っている。副會長は、"男裝の麗人"だと言える。書と言うよりも、生徒會長の執事や騎士と言った雰囲気を醸し出している。よく知らないが、俺とユウキの様に、馴染だと言うことだ。

そんな二人が有名になったのは、最初取り上げられたのは、生徒會長になった時に、地方番組に取り上げられたのがきっかけだ。

學校紹介の番組だ。俺たちの學校は、男比率で言えば、8対2と言うが、ほぼ9対1の割合になっている。そのほぼ男子校の中で、それでも子の比率が多いのが、デザイン科だ。そこから、生徒會長が出たのだ。そして、両名とも、メディアけするバックボーンと容姿を持っている。そんな二人を取材に來るのは、自然な流れなのだろう。

「それで、生徒會長と副會長は、俺にどんな話があるのですか?」

「あっ」「會長。私から」

「そうね。お願い」

「タクミ君。話と言うか、知恵を貸してしい」

「知恵ですか?俺の績は、中の下ですよ。知恵と言うなら、ユウキの方がいいでしょ?」

「いや・・・そうではなくてだな」

おやじが蔵していたケーキと、どこから取り出したのか、オレンジジュースを平らげた。ユウキが口を挾んできた。

「あぁぁもうまどろっこしい。先輩。いいですよね?タクミこれを見て!」

ユウキは、生徒會長が持っていたスマホを取り上げて、承諾を得る前に、俺の前に置いた。

型は1世代前のだが、背面に齧られたリンゴマークがあるのが特徴の機種だ。

「・・・」「そうね。見てもらったほうが早いわね」

生徒會長は、慣れた手付きでスマホを作して、一つのアプリを立ち上げた。

Twitter のアプリである事は見ればすぐに分かるが、純正品ではない。サードパーティが出しているで、複數アカウントが扱えるだ。

「生徒會長。それに、もしかしたら、副會長も、複數アカウントを使い分けていますか?」

二人がうなずいた。

これも解らない話ではない。學校紹介の番組に出演して、それが、地方局で取り上げられた後で、全國版でも流れたのだ。二人とも、アイコンに顔寫真を載せている上に、Bio には、學校名やテレビに出た事なんかも書かれていた。"頭痛が痛い"とは"この"ことだ。

「はぁ・・・本アカと裏垢って呼び方をしますけど、本アカに、バカが増えて、誹謗中傷が來たり、卑猥なメッセージが來たのでしょ?それで、誰かに相談したら、発言しなければいいとか、鍵をかければいいとか言われたけど、最初はそうしていたら、DMが屆いたり、嫌がらせが怖くなって、設定を元に戻して、當たり障りのない事だけを書くようにして、親しい友達とかにだけ、教える鍵アカを別に作った。でも、そこにも、なぜか申請が來たりしたのでしょ?」

「へ?」「え?」

二人が驚愕とも取れる顔を俺に向ける。

こんな事、二人の事を考えれば、解るというものだ。

「大有っていそうですね。それで?」

「え?それで・・・」

そこで以外そうな顔をされても困ってしまう。

「タクミ。そこまで解っているのなら、先輩たちに嫌がらせしている人を見つけてよ!!」

「無理」

「タクミならできるでしょ。僕が困っている時に助けてくれたでしょ」

「あの時とは違う。それに、先輩たちは、それで"何か"困っているのですか?」

二人は沈黙してしまった。

気持ちが悪いとかのレベルでの話なら、無視してしまえば済む話だ。実害が出ているのかも知れないが、その時には、一介の高校生である俺が出る場面でもない。警察なり弁護士なりに相談すればいい。そのくらいの事は、二人も承知しているのだろう。だから、困った表をしているのだ。

「タクミ!」

「ユウキ。俺は、先輩たちの話を聞いた。でも、もし何か、実害が出ているのなら、相談するのは、俺ではなく、警察になる」

「そうだけど・・・」

「それに、アカウントを複數持っている事を気にされるのなら、そんな事をしなければならなくなってしまった、學校側の対応を非難すればいい。先輩たちを、パンダの様に扱って、その後は、自己責任で対応しろ。學校にもそれなりの事をしてもらうのが筋でしょ、できる、出來ない、ではなく、やろうとするのが筋ではないでしょうか?それとも、先輩たちは、なにかまだ隠していらっしゃるのですか?」

「タクミ!」

ユウキが、立ち上がって、俺に非難の目線を向ける。

それでも、俺は、生徒會長を見つめる。

「ユウキ。いいの。座って」

「でも・・・」

「いいの。いいわよね?」

生徒會長が、副會長に言い含めるように言った。

副會長は、頷いて、自分のスマホを會長に差し出した。こちらは、先輩との違うスマホだ。個人的には、そっちの方が好きだが、今は関係ない。

なにやら、生徒會長がスマホを作して、俺に見せた。

そこには、數名の子が水著姿で映っている寫真だ。SNOWで撮影したようだ。

「これが?」

寫真を確認したが、問題があるとは思えない。

「寫真自は、自分たちで撮ったなの・・・」

「あぁそうなのですね。"誰か"から送られてきたのですね。メールですか?DMですか?それとも、曬されたのですか?」

出會い系の宣伝に利用されたとも考えられるが、その前段階の様な気がする。出會い系で使うには、生徒會長がいし、副會長では、男ウケするとは思えない。

「あっDMです。その後、返事をくれないと、ネット上に曬すと言われました。そのDMに、私たちの事がいろいろ書かれていて・・・」

「そうですか、警察には?」

先輩たちは、首を橫に振る。

そうだよな。今の段階では、脅迫と言っても、相手がわからないし、何もしてくれない事くらいは、し考えればわかるだろう。

親や學校で対応を求めたら、問題が大きくなるだけだろう。

でも、俺のセリフは決まっている。

「無理ですね。正直にいいますが、自業自得です」

「タクミ!」

「ユウキ。いいの・・・ごめんね。タクミ君」

ユウキが、今すぐにでも、俺に摑みかかろうとしていたのを、生徒會長が制した。泣きそうな聲だったが、なんとかそう絞り出した聲だ。

「お二人には、申し訳ないのですが、何も失わずに、問題をなんとかする事は出來ません。何よりも、お二人がテレビに出演したのは、ご自分の意思ですよね?誰かに命令されたのかも知れないけど、最終的に決められたのは、お二人の意思だと聞いています。リスクを考えていたとも思えませんが、利益だけをして、不利益だけをなかった事にしようとしても無理です。その程度の事は、言われないでもわかっていると思っていました」

俯いてしまっている二人に、俺は言葉を続ける。

「自分たちで解決が難しいのなら、警察に相談するか、専門家に依頼するしか無いでしょう」

警察という言葉に、肩を震わせるように反応している。もしかしたら、二人は警察に相談したのかもしれない。

「専門家?」

「えぇそうです。そういうネットの問題解決を専門に行っている業社があります」

「タクミ!先輩に紹介してあげて!」

「紹介するのは、やぶさかでは無いのですが、失禮ながら、資金を用意出來ますか?」

また、黙ってしまう。

「えぇ金かかるの?」

「當然だろう?業社だって言っただろう?それに、お二人が自分で出來ない事を、他人に頼むのだから、それ相応の対価を支払うのは當然の事だと思うけどな」

「そうだけど、先輩困っているのに?」

「あぁ困っているから、ただでやってあげる。それは慈善事業だよ。業社のやる事じゃない。それに、対価は、お金って事ではない。相手が、それで気持ちよく引きけてくれる條件の提示ができればいいのだからな」

「ごめん。タクミ。言っている事が解らない」

「ユウキは黙って、それで先輩方は、資金を用意するか、相手が納得できるようなを用意出來ますか?」

黙られても話が続けられない。

「はぁ・・・あのですね・・・」

「お金なら、なんとか用意する。紹介してもらえる?」

「はぁ俺が言った事、理解されていますか?」

「え?」

「業社を數日じゃなくて、下手したら1ヵ月以上かすのですよ。それも一人や二人じゃないのですよ。その意味がわかりますか?」

「え?」「??」

あぁやっぱり、生徒會長や副會長だと言っても、アルバイト程度の経験しかなければ、この程度の覚なのだろうな。

「先輩方。専門家を紹介する事は出來ますが、かして解決まで持っていく事が出來たとして、先輩方は、その資金。そうですね。安めに考えて、2~300萬払えますか?」

「タクミ!なにそれ!無理に決まっている。高校生だよ」

「だから?ユウキ。ユウキは、いろんな部活に、助っ人に出ているよな」

「え?あっうん」

ユウキは、”なぜ今そんな話を始めたのか見當がつかない”という表をしている

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