《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第四章 詐欺メール

「タクミ!」

なぜか、ここのところ、ユウキが俺の家に泊まっていく事が多い。

和さんが顧問弁護士をしている、都の會社に、オヤジを連れて行ってから増えてきた。桜さんも、なにか大きな事件に絡んでいるのか、たまにしか帰ってこなくなっている。オフクロは、定期的な仕事だが、もともとが時間帯が不規則なので、いつ居るのかもわからない。

そんな狀況なので、學校から帰ってくると、ユウキが著替えに帰る事もあるが、そのまま帰らないで、夕飯を食べて、俺の家で泊まっていく。隣だから、帰ればいいというのだが、面倒だからとか、いろんな理由を並べて泊まっていく。

ユウキがそれでいいのなら別に構わないのだが、それに俺にもメリットがある。オフクロもオヤジもそんな狀況なので、洗濯が溜まってしまう。桜さんも家に帰ってきたときに、大量の洗濯を持って來る。和さんは、先方の會社に泊まれるということで、洗濯は向こうでやってくるらしい。オヤジは、ホテル住まいになっているが、自分でなんでもできる人だ。勝手にやっているのだろう。

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一度、先方の地下にあるサーバルームの寫真を送られてきたが、羨ましいの一言だ。48Uのサーバラックに、2Uのサーバが詰まっている。切替付きのディスプレイやキーボードまで付いている。電気代もかなりなのだろうと思ったが、ソーラパネルが大量に設置されていて、結構な電気をまかなえているらしい。

オヤジは、その會社がけている病院施設のシステムのメンテナンスで呼ばれたらしい。詳しい話は聞いていないが、その病院が今度こっちにもできるらしくて、その仕事をオヤジがける事になったらしい。今、システムの調整や導をすすめているということだ。

こっちに作るのは、総合施設になるようで、保育園から介護老人ホームだけではなく、人間ドックを行う施設まで作るということだ。

「タクミ。朝ごはんまだ?」

し待ってよ。それよりも、昨日帰って來て、そのまま寢ただろう?シャワーでも浴びてこいよ」

「わかった。その間に朝ごはんよろしくね」

昨日は、米に目玉焼き、しらすシーチキンと海苔だったからな。

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今日は、洋風にしよう。ソーセージを焼いてホットドック風にして渡せばいいか、確か、この前作った自家製ケチャップがまだ殘っていたはずだ、ユウキが味しいって言っていたから問題ないだろう。あとは、みかんの缶詰を開けて、ヨーグルトに蜂と一緒にれればいい。スープは簡単にコーンスープでも作ればいい。あと、足りないと言われないように、スクランブルエッグとベーコンを焼いておけば、勝手にパンに挾んで食べるだろう。

よし決まった。手順も大丈夫だ。オヤジのこだわりで、3口コンロと火力が強い二口コンロの両方があるキッチンは、こういうときに便利だ。

一つでソーセージを焼きながら、コーンスープを作って、タイミングを見ながら、スクランブルエッグとベーコンを焼き始める。

カラスの行水のユウキなら、5分くらいで出るだろう。その後で髪のを乾かしてキッチンに現れるまで、8分くらい。間に合いそうだな。

ドタドタドタ。

ユウキが風呂から出たようだ

「暑い!タクミ。お水頂戴!」

「テーブルに置いてあるよ」

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「ありがとう。あっタクミのTシャツ借りたよ。洗濯しちゃったの忘れていた。後で取りに帰らないと・・・」

「わかった。朝ごはん、ホットドックでいいよな?」

「うん。ケチャップは?」

「自家製の奴だけど、イヤなら変えるぞ」

「ううん。タクミが作った奴がいい!」

「カラシはいらないよな?」

「うん。スープは?」

「コーンスープが置いてあるだろう」

「これだけ?」

「スクランブルエッグとベーコンを焼いてある。あと、ヨーグルトもあるけど、後でいいよな?」

「うん。いただきます!」

欠食児だったのだろうか、すごい勢いでテーブルの上が綺麗に無くなっていく。

「タクミ」

「ん?」

「後で、優さんと、梓さんが來るよ」

「え?朝からか?」

「うん。送ってくれるって、そのかわり話を聞いてしいって言っていたよ」

「・・・それで?」

「ん?”お待ちしています”と、伝えたよ?」

お、優秀な書は勝手に仕事をけてくれるようだ。

面倒な事じゃなきゃいいな

「あっ違った」

「ん?何が違った?」

「旅行の事で話がしたいって事だった!」

「わかった。それじゃヨーグルトを余計に作っておくか?」

「うん。僕の分は大盛りでお願いね。後、甘くしたカフェオレもお願い!」

「はいはい」

ヨーグルトを作ると言っても、プレーンヨーグルトに砂糖をし混ぜて、缶詰を混ぜ込んで、上に蜂をかけるだけだ。

作っている最中に、チャイムがなった。

「ユウキ。悪い、出てもらえるか?」

「わかった!先輩たちだと思う」

パタパタとした足音で、ユウキが玄関に向かう。

インターホンがあるのに・・・。まぁいいかぁ。

何やら、玄関で話しているようだが、聲は聞こえない。

先に、ユウキが戻ってきた。

し遅れるじで、先輩たちがってきたが、優先輩は、顔を真赤にしている耳まで赤くしている。何か有ったのだろうか?

なんとなく、先輩たちの座る位置も同じになってきた。作ったヨーグルトを先輩たちにも提供する。

ユウキには、甘く作ったカフェオレを出して、先輩たちには、俺と一緒のコーヒーを出す。梓先輩が、なにやらニヤニヤしているのが気になるが、スルーさせてもらう。先輩たちが來たときの座り方は、俺の正面に梓先輩が座って、俺の左隣りにユウキが座る。

普段は、桜さんや和さんが來ることを想定して、テーブルには、6腳置かれている。

俺とユウキが座る方に3腳。今先輩たちが座っているところには2腳。桜さんだけは、お誕生日席に座るのが決まっている。今、俺とユウキの方には3腳で、先輩たちの方は2腳。何がいいたいかというと、俺たちの方は確かに、狹くなっている。ユウキと肩が當たる事もあるが、いつもどおりなので慣れただ。

先輩たち、特に梓先輩が必要以上に、優先輩に近づいて座っているのが気になる。広いのだから、もっと余裕持って座ればいいと思う。何度か指摘したが

「これが僕たちの標準的な距離だ」とか言って改めようとはしない。いや、ユウキの前でももう隠そうとしない。高校を卒業してからオープンにする事に決めたようだ。

別に、俺もユウキも、”そういう人たちも居る”程度に思っている。偏見も持っていない。多分これは、桜さんを見て育ったからだと思う。あの人を見ていると、いろいろ馬鹿らしく思えてくる。

「それで、先輩たちはなぜ今日ここに來たのですか?」

「あぁ優がね」「梓!」

「はい。はい。ユウキからは、旅行の話だと聞いていますが?」

「それもある。まずは、この味しいヨーグルトを食べて、學校に送っていくよ。今日の放課後は時間が取れるかい?」

テーブルに置いてある端末で、スケジュールを確認する。

「生徒総會の仕事も今日はありませんので、俺は大丈夫です。ユウキは、部活だけど、それが終わればなさそうです」

「なんだ、タクミくんが、ユウキの予定まで把握しているのかい?」

「え?そうですよ。そうしないと、夕ご飯が困りますからね。急に來て食べると言われても、食材が無くなってしまいますからね」

「タクミ。酷いよ。僕、そこまで大食らいじゃないよ」

「そういう事は、焼屋で10人前を一人で食べない人がいうことです。うどんもいつも”大”の上に、天ぷらやおにぎりを食べるでしょ」

「そうだけど、うどんは”かけ”にしているでしょ?」

「そういう問題じゃない。え?梓さん。何かしましたか?」

先輩二人が、俺たちを見て、なにか言いたさそうにしていたので、そう問いかけた

「夫婦漫才はいいから、ユウキ。著替えてこないと學校に遅れるよ?タクミくんも制服で行くのだろう?」

「そうだ、ユウキ。一旦部屋に戻るのだろう?」

「うん。そうだ鍵!」

「あっ大丈夫。持ってきている」

鍵をユウキに渡す。

「ありがとう。著替えてきます。優さん。梓さん。それじゃまた!」

慌ただしく出ていく、あっ俺のTシャツ・・・まぁいいか、持って帰ってくるだろう。

「タクミくん。君たちはいつもこうなのか?」

「え?質問の意味がわかりませんが、ユウキが來ている時には、こうなる事が多いですよ。あいつ、ギリギリまで食べたり、飲んだりしていますからね」

「それでよく學校に間に合うよな?」

「えぇ今までは、ダッシュしたり、誰かに送ってもらっていました、この前、中型の免許を取ったので、最悪ニケツして言っていますよ」

「よく學校が許したね。文化系の部活や生徒會とかで、數例あるくらいだろう?」

「えぇそうですね。俺も、ユウキも、どっかの誰かのおかげで、生徒総會に名前を連ねていますし、これはそっちで素知らぬ顔でコーヒーを飲んでいる貓舌の先輩のおかげで、學校中のそれこそ、他の科のパソコンまで面倒見る事になったので、それと引き換えに學校側から”是非”と言われた権利ですからね」

「それで、バイクは?」

「裏に置いてありますよ。まぁそのせいで、ユウキがギリギリまで寢るという暴挙に出るのですけどね」

中古で買ったCB250だ。

カスタマイズは、桜さんの知り合いにやってもらっている。なんでも、仕事で白バイのメンテナンスもやる程の腕だと言っていた。バイクの乗り方も教えてもらった。免許は、ユウキも一緒に取りに行ったのだが、和さんが、ユウキがバイクを運転するのに反対した。それもあって、後部座席専用になった。

ヘルメットは、ユウキが気にいるようなを買ってやった。それで、バイクに乗れない事への不満が解消できたようだった。

高校卒業したら、バイクの運転もOKだと和さんが言っている。それまでは、俺の後ろに乗ると言っている。

そんな話をしていると、ユウキが著替えて戻ってきた。

俺も、制服に著替えに行く。制服で行く必要も無いのだが、なんとなく制服の方が楽なのだ。バイクに乗る時には、下だけ制服で上は作業服にライダージャケットを著る事が多い。ユウキのズボンとライダースーツもユウキの部屋に置いてある。

「ユウキ。制服は?」

著替えてきたのは、シャツを來て、スエットの下を履いて、荷として、洗濯したを持って帰ってきたから、優先輩が不審に思ったのだろう。

「え?制服は、タクミのところにあるから、著替えだけ取って、今日のシャツを來てきただけですよ。あっタクミ。Tシャツは後で洗濯するね」

「おぉ!」

制服に著替えて、先輩たちが待つリビングに戻った。

「おまたせしました」

「あぁもう・・・。梓。行きましょう」「そうだな。僕も一気に疲れたよ」

 今日も、梓先輩が運転するようだ。

優先輩が助手席に座って、ユウキが先に乗り込んだ。學校の授業で使うらしい荷が、大荷になっていたので、俺が荷を持って、先に乗せた格好だ。

「梓さん。トランク使っていいですか?」

「なぜ?あぁ構わないよ。実習の荷か?」

「えぇ俺は、パソコンだけですが、ユウキの方がし荷が多いので、後ろに置いたほうがいいでしょ?」

「わかった」

開く音がした。ユウキの荷を積み込んでおく。後部座席に乗り込んだ。

「それで、なにかお話があるのですよね?」

「あぁそうだった。優。いいよな?」「えぇ」

「キミ。旅行だけど、僕の優に任せてもらえないかい?」

「え?」

「キミには、いろいろ・・・本當に、いろいろ世話になったので、借りを一つ返しておきたい」

「いいですよ。では、スケジュールと場所を決めてください。資金は俺が出します」

「タクミくん。違うの。全部私たちに任せてもらえないかな?」

「え?どういう事ですか?」

「あぁ優が、言っているとおりだよ。宿泊代と通費は僕たちに負擔させてもらえないか?」

「え?いいのですか?もともとは、ユウキとお二人への報酬ですよ?」

「そうだな。それなら、こういうのはどうだ?宿泊代と通費は僕と優が負擔する。キミは、ユウキの旅行先での費用と、全員の夕ご飯代を負擔する」

「それでいいのなら・・・俺はかまいませんよ?宿泊先を任せてしまうのなら、食事の予算をお伝えして、予約もお願いした方がいいですか?」

「そうだな。そうしてくれたほうが嬉しいかな」

「わかりました。それで、一泊二日ですか?」

「え?僕が、ユウキから聞いたのは、7泊8日とか言っていたけど?」

「え?」「梓先輩!」

急にユウキが慌てだした。

以前からこの話をしていたのか?まぁいい。旅行には違い無い。

「別に俺は大丈夫ですし、ユウキも・・・和さんさえ反対しなければ」「大丈夫だよ。ミクさんにお願いして説得してもらった!」

「・・・って事なので、大丈夫です。先輩方こそ・・・あぁ大丈夫ですね。7泊は多いので、5泊くらいにしませんか?」

「ユウキが言った通りだな。わかった、それじゃ5泊6日で伊豆に行くよ」

「伊豆ですか?まぁわかりました。食事は、全部で40くらい用意すればいいですか?」

「キミは、どこの料亭で食べるつもりなのだね?」

「え?だって、夕ご飯に、一人一萬で、晝は3千。朝は、ホテルで食べるとしても2千円で、一人一日一萬五千円。それが、6日で36萬円。し余裕を持って、40萬で妥當だと思いますが?」

「梓・・・・」「優。ユウキの苦労が・・・」

「え?ユウキの苦労?なんですかそれは?」

「キミ。予算は、その半分もあれば十分だよ。殘ったお金は、ユウキに使ってあげてくれ」

「はぁまぁわかりました。そのくらいで考えておきます」

そんな話をしていると、學校の教師用の駐車場に著いた。

ここでおろしてもらって、ユウキの荷を持って、學校に向かう。何やら言いたさそうにしている先輩たちを無視して學校に向った。

今日も一日忙しくなりそうだ。

--- とある車の中の會話

「ねぇ梓」

「なんだい?」

「ユウキ・・・下著・・・著けていた?」

「うーん。ブラは間違いなくしていなかった、下は履いていたと思うぞ?」

「やっぱり・・・それに、あのTシャツ。タクミくんのだって言っていたわよね?それに、した、ショーツは履いていたとしても、それだけだったわよね?」

「あぁ・・・そうだな。まぁそういう事だろうな?」

「でも、全然そんなじしなかったわよ?」

「もう當たり前になっているのではないか?僕は、それ以上にユウキが著替えと稱して持ってきたの中に、ユウキの下著はもちろん、タクミの下著やシャツがっていた事の方が驚いたよ。それに、制服はタクミと一緒に著替えに行ったからな」

「やっぱり見間違いじゃなかったのね。それじゃやっぱり・・・」

「そうだな。タクミとユウキは・・・」

「それじゃ親さん公認になっているって事だよね?」

「そうじゃなければ、ユウキが、タクミの家に住・ん・で・い・る・理由にはならないだろう?」

「そうね。それにバイクを見たけど、おそろいのヘルメットにライダースーツまで買ってあったわよね」

「そうだったな」

「學校もよく何も言わないわよね?」

「言えないが正しいのではないか?タクミだぞ相手は?」

「そうね。裏番だって言われているし、後ろに春日家が居るのだったわね」

「怖い。怖い。それに、僕も、父に話を聞いてびっくりしたぞ!ユウキの父親、あの森下さんだし・・・な」

「え!有名なの?」

「あぁ一部ではすごくな。一度會ってみたいと思っているのだけどな」

「珍しいわね。梓がそこまで興味を示すなんて」

「おっ焼いてくれるのか?僕のおしい、優は!」

「バカ。でも、私は、タクミくんの父親の克己さんに會ってみたいかな。すごい人らしいからね」

「そうだな。あの二人の父親ってだけでもすごいとは思うけどな。でも、ユウキとタクミがね・・・こりゃぁ旅行も楽しめそうだな」

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