《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第二話 準備

塾は、夕方に行けばいいようだ。

ユウキを見ると、幸せそうな顔でフルーツジュースを飲んでいる。BOTを使って、ゲームをしているという話も気になる。最近のゲームでは、BOTがかしにくいようになっている。通信パケットもそうだが、プロセスからの力ができないようになっている場合が多い。規定の力デバイス以外からの力はけ付けていない。

何にでも抜け道は用意されているが、本的なことをいうとBOTでキャラクターを強くしても、売れないゲームが増えている。

もしかしたら、俺が知らない方法が有るのかもしれない。

「なぁユウキ」

「・・・。ん?」

「飲み込んでからでいいぞ」

ユウキが、ジュースを飲み込んだ。

「なに?」

「さっきのBOTの話だけど、なんてゲームか解るか?」

「え?・・・。ごめん。忘れた。今度、聞いておくよ」

これは、忘れるな。

ユウキが聞いてきてから、考えればいいか。

「そうか、それなら思い出したら教えてくれ、それで、ユウキ。塾だけど、どうする?」

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「ん?一緒に行くよ?」

「そうじゃなくて・・・」

「ん?」

ユウキに塾の説明をする。

前のときには、講義形式の授業をけていたけど、同じクラスにしたら、塾の中を自由に調査できない。

誰が犯人かわからない狀況では、できるだけ自由にけるようにしておきたい。

短期コースは、自由にクラスが選べるようになっている。そのために、授業をけるのか、場所や資料を借りての學習をするかを選ぶ必要がある。俺は、フリー學習のクラスがいいと思っている。

「僕も同じでいいよ?」

「ん?ユウキ。俺は、調査で行くけど、お前は勉強する為に行くのだよな?」

「そうだよ?」

「それじゃフリー學習じゃ、お前勉強しないだろう?」

「ひどいな。するよ・・・。多分」

「・・・。まぁいいけど、勉強していても、手伝ってもらうからな」

「もちろん!報酬は期待しているよ?」

「わかった。わかった。オヤジに聞いておくよ」

「やった!」

「それとも、オヤジと渉するか?」

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「うーん。そうだね。克己さん、僕に甘いからな。その方がいいかな?」

「あぁそうだな。そうしろ。そうしろ」

「わかった!」

俺の報酬は、作業部屋!

ユウキの報酬は、オヤジが決めればいい。

塾に行くのはいいとして、調査の方法を考える必要がある。

盜聴を行っている裝置を、ネットワークのどこかに仕掛けている事は間違いない。

ネットワーク図を見る。オヤジたちが構築したネットワークなので、このネットワーク図が間違っているとは思えないし、この通りに敷設してあるのだろう。

そうなると・・・。

そうか、フリー學習の部屋か・・・。

ネットワーク図を見ていると、4系統に分かれているのが解る。

一つは、塾講師たちの部屋に繋がっている。こちらには、先生たち専用のWIFIが敷設してある。パソコンも間にルータを挾んで別セグメントとして運用されている。

眺めているログには、ここの報は流れていないから、この部分はシロと判斷して良いだろう。

一つは、講義を行う部屋用だが、こちらにはWIFIを設置していない。専用の端末しか繋がってない事になっている。野良WIFIの可能もあるが、それならそれで調査すればすぐに解る。

あ!野良WIFIはユウキに調べてもらえば楽にできそうだ。ヒューマンコミュニケーションが必要になる。塾生に聞いて回るのならユウキの方が間違いなく優秀だ。

ユウキにやってもらう事ができた。講義の部屋は、ユウキの返答待ちでいいよな。

もう一つは予備で何も繋がっていないし、ルータで切られて死んでいるはずだ。

ルータを調べてから、生き返っていなかったら問題ないと思っていいだろう。そもそも、オヤジたちがすでに調べているだろう。

もう一つが多分本命になってくるだろう。

フリー學習の部屋にひかれているラインだ、

WIFIが敷設してあって、生徒が自由に使えるようになっている。別セグメントでの運用にはなっている。資料用のサーバは、大本に置かれている。ログから、多分ここのセグメントを盜聴しているのだろう。各機にネットワークの口が出ている。ノートパソコンを持ってきた場合に接続できるようになっている。

さて、大筋は見えてきた。

ログの容から、小型のパソコンか何らかの端末が仕込まれていると見て間違いないだろう。

そこまでして見たい容が流れているのか?

ログを眺めてみるがよくわからない。

そう言えば・・・。

監視カメラの容も流れているけど、監視カメラは本筋の方に直接繋がっているよな。

フリー學習の部屋だとして・・・。

行けば解るか?

ふと橫を見ると、ユウキが俺の顔を見ている。

「なんだよ?」

「ん?ごめん。タクミ。考え事をしているときの顔が克己さんにそっくりと思っただけだよ」

「え?」

「気がついてないの?」

「そりゃぁ自分の顔なんて見ないからな」

「それもそうだよね。それで何かわかったの?」

「ん?」

「だって、わかったって顔していたよ?」

「そうか?あぁわかったと言うよりも、方向が決まったというじだな」

「そう・・・。僕にできる事はあるの?」

「あるぞ!」

何も無いと思っていたのだろう。

今回は働いてもらうぞ。主に、俺の作業部屋の為にな!

「え?なに?」

「まずは、簡単な方で、古くから塾に通っている奴を見つけて、話を聞いてしい」

「どんな?」

のWIFIがないか?とかだな」

「えぇーぇ。おかしいよ。あそこの塾、WIFIがつなぎ放題なのでしょ?」

「そうだよ」

「だったら、変に思われない?」

「うーん。そうだな。ユウキの事を知らない人間なら、例えば『なんか塾に監視されているみたいで嫌だから』とか言えばいいと思うぞ」

「そうか・・・。わかった、なんとか聞いてみる。それだけ?」

「塾のWIFIが急に遅くなったり、繋がりにくくなったり、していないかも聞いてくれ」

「わかった!」

「あと、塾の噂話をいろいろ仕れてくれると嬉しいかな」

「なんだ、そんな事なら簡単だよ。わかった。そうだ、克己さん。今晩は帰ってくるのかな?」

「え?予定では、帰ってくる事になっているな」

「わかった!それじゃ今晩にでも報酬の相談をしてくる!」

「はい。はい。塾まで時間が有るけど、どうする?一眠りするのか?」

「ううん。塾に行くなら、著替えた方がいいから、一旦帰るね。勉強道を持ってこないとね。あと、ママが今日居ると思うから話してくる」

「わかった。15時30分には出るからな」

「わかった。バイク?」

「そのつもり。どうする?乗っていく?自分のバイクで行く?」

「帰りが遅くなるのなら、タクミの後ろがいいかな」

「わかった。それじゃ乗っていけよ。帰りはわからないからな」

「了解。そのつもりの服裝にしてくるね」

「了解。それじゃ時間になったら作業部屋に來てくれ。中に居ると思うからな」

「はぁーい」

ユウキが、パタパタとしたじで家に戻っていく。

和さんが居るのなら、こっちで寢たりこっちで風呂にったりする必要はないよな?

今更ながら疑問にじてしまった。

---

「ママ。ただいま!」

「ユウキ。タクミの所じゃなかったの?」

「ん?なんか、塾に行く事になったから、勉強道と著替えを取りに來た」

「そう?それで、タクミとはどうなの?」

「うーん」

優希は、はっきりと自分の気持ちを認識している。

両方の母親が認識させたと言った方が正しいのかもしれない。

「まぁいいわ。タクミは、克己君とパパに悪い所だけ似てしまったようだからね」

「悪い所?」

「そう、の子の気持ちを考えない所ね」

「え?パパはともかく克己さんも?」

「そうよ。どちらかというと、克己君の方が酷かったかな」

「えぇそんなじには見えないよ?」

「今はね。あの人も専門學校と最初にった會社とかでいろいろ有ったからね」

「そうなの?」

「そうよ。多分、直接な・・・ううん。なんでもない」

「えぇ知りたい!」

「ユウキがタクミを捕まえられたら教えてあげるわよ」

「本當!」

「えぇ本當よ」

「わかった!頑張る!」

「ユウキ。タクミもモテるでしょ?」

「・・・。うん。だから、本當は、塾には行ってしくない・・・。けど、仕事だって言うし、タクミの馬鹿。僕の気持ちにも気が付かないから、他の娘の気持ちなんて、全然気にしないから・・・」

「はぁ・・・やっぱりね」

「うん。あのね。ママ」

「なぁに?」

「タクミと一緒に塾に行くけど、それはタクミの仕事を手伝う事になるの」

「そう?それで?」

相変わらず、ユウキの話は、いきなり飛ぶし、要領を得ない。

でも、和は予め事を聞いているので、ある程度の予測ができていた。しかし、次にユウキが発した言葉は、そんな和の予想を越えていた。

「僕ね。タクミが、この仕事の報酬は、克己さんに直接貰ってくれって言ったから、僕、克己さんにお願いしてみようと思っている」

「何を?」

「・・・。ママ。怒らない?」

「いいから、話してみて」

「うん。ママ。僕ね。克己さんに、タクミと一緒に住みたいとお願いする。これを報酬にする。ダメ?」

(え?この娘・・・。家の事は、知らないはずよね?)

(克己君は、タクミに、作業部屋を渡すとだけ伝えると言っていた)

和は、驚いて、ユウキを見てしまった。

ユウキは、和に見られた事を、”ダメ”と言われると思って、怒られると思って、涙目になっている。

和は、涙目になっている自分の娘を見て、自分が高校生の時にこの行力があれば、もっと違った結果になったかもしれないと思っている。刑務所の中に居る。馴染の井原聡子のことを思い出していた。

(あれから、25年。また、顔を見に行かないと・・・)

「ママ?ダメ?」

「うーん。いいわよ。そのかわり、パパと克己君が大丈夫と言ってから、沙菜さんにもしっかりお願いするのよ」

「うん!」

嬉しそうにする娘の頭を和はなでながら、素直に育ったなと本當に娘に謝している。

森下桜と篠崎克己という同級生はしじゃなく異常だ。2人が異常だという事もあるが、同級生に異常なのが多い。

桜の母親は生きているが、ほとんど顔を見せない。家に呼ばれる事もない。そのかわり、克己君を呼び出して、二家族分の魚や練りやみかんを持たせる。一度、タクミが呼び出されたのだが、バイクで行って怒られて帰ってきた。車の免許を取ったら間違いなく呼び出されることになるだろう。ユウキの祖母なのに、タクミに連絡してくる。桜も、それで問題ないと言っている。

克己と沙菜は天涯孤獨だ。そういう和も両親がすでに他界している。

そんな両家だが、隣あった家に住んでいるのも理由がある、しかしそれを言い出すと10萬文字の小説が書けてしまうので割する。

「ママ!」

「なに?」

和は記憶の渦から現実に引き戻される。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。夕ご飯は、タクミに作ってもらうのよ!」

「うん。解っている。それで、そのまま、克己さんを待つから、今日は帰らないと思う」

「わかった。パパにメールをれておきなさいね。私からも、パパに連絡しておくからね」

「わかった。ママ。ありがとう。行ってきます!」

和は、玄関を勢いよく開ける娘の姿を想像している。

タクミの事だから気が付かないだろう。ユウキが、著ている服の殆どがタクミの好きなで統一されていることを・・・。

和は知っている。ユウキが本當に好きなとは違う服ばかりを選んで著ていることを・・・。

(本當に、変な所臆病になって・・・ユウキも無自覚なのだろう。タクミが、ユウキの事を好きなのは間違いない。沙菜さんも同じ意見だ。私から見ても、タクミは克己君と桜君の悪い所が似すぎている。嫌いな事や気にらない事には、指の一本もかさない。興味も示さない。だから、ユウキのご飯を作って、ユウキ以外のの子を側に置かないのもそういうことだろう。さて、私もやることをやりましょう)

---

優。和さんはなんだって?」

「ん。旅行の事での相談と、一度タクミとユウキを家から遠ざけたいけど、なにか方法はないかという相談」

「旅行も、両家の母親が絡んでくるとは思わなかったな」

「えぇそうね。おかげで、私達が出すお金がなくなってしまったわよ」

2人は苦笑するしかなかった。

旅行の計畫を知った、森下家と篠崎家は全面的に協力すると言ってきた。

2人は最初に和に呼び出された時に、タクミとユウキを連れての旅行に反対をされると思ったのだ。

それが全面的な協力で、できれば、タクミとユウキを二人部屋に押し込めとまで指示が出ている。

2人は、両親に確認したが問題ないという返答が來ているのに苦笑するしかなかった。

それから、2人は両親の計畫を聞いて唖然とした。

タクミとユウキには緒にするように厳命された。

「それで、梓。どうしたらいいと思う?」

「どっち?」

「まずは、家から2人を遠ざける方法」

和さんが顧問をしている東京の會社にタクミを行かせるのはダメなのか?」

「それ!いいわね。和さんに伝えておく。もう一つは?」

「うーん。浮いたお金でなにか買うか?」

「そうね。それがいいわよね」

「梓。今度のお休みに一緒に見に行きましょう」

「もちろんだよ。優。僕たちの部屋で使うも見てみよう」

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