《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第三話 調査

「ユウキ?」

「なに?」

「いや、なんでもない」

なんでもなくはないが、何かユウキが隠しているような雰囲気がある。

気にしてもしょうがない事だと割り切るしか無い。聞いても答えるとは思えない。

「タクミ。先生には?」

「話が通っている。調査を開始するけど、ユウキはどうする?」

「僕?うーん。タクミの作業を見ていてもわからないから、適當に話を聞いているよ」

「頼む。”ネットが遅くなった”とか聞いてくれると助かる」

「わかった」

ユウキが、知り合いを見つけて話しかけている。

俺が頼んだ古株を見つけるつもりのようだ。

持ってきた、ノートパソコンを起する。

塾のWIFIには接続しないで、PocketWIFIに接続する。

まずは、パケットの盜聴を開始する。

ツールの準備ができたので、パソコンの通信を切斷してから、PocketWIFIの電源を切る。

ノートパソコンは通常のWindows10だがバーチャル環境のLinuxを搭載して、そちらでパケットの収集を行うことにしている。

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見たじだと野良WIFIもなさそうだ。

○○のiPhone なんて、アクセスポイントがあるがテザリングを有効にした狀態になっているだけだろう。

この部屋を使っているのは、20名くらいだけど、勉強しているのがほとんどだから、パケットはそれほど流れていないだろう。

解析は家に帰ってからだな。

さすがに、ここで解析を始めるにはツールが足りない。家につないで解析を行えばいいのかも知れないが、いつユウキが帰ってくるかわからないし、見られるのはあまりよくない。

それだけではなく、誰が仕掛けたのかわからない狀況でこちらが調べている事を悟られるのも面白くない。

「タクミ!」

ユウキの奴もう何か摑んだのか?

「どうした?」

「えぇとね。なんか、3ヶ月位前から、フリースペースでフリーWIFIが繋がり難いらしくて、実習室のWIFIを使っているって話だよ」

「ん?どういう事?」

「えぇとね。そうだ。フリースペースって有るでしょ?」

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「あぁ」

「あそこにも、WIFIが設置されていて、それが繋がりにくいから、実習室のWIFIを捕まえて、フリースペースでゲームとかするって話だよ」

「ユウキ。その話は、誰から聞いた?」

「えぇ忘れちゃったけど、商業の子だよ」

「悪い。その話、他の學校の奴にも聞いてくれ」

「わかった。ちょっと待ってね」

ユウキの話が本當なら、かなりまずい狀況になっていたかもしれない。

塾にはフリーWIFIの設定はない。アクセスする為のコードが公開されているからフリーWIFIだと勘違いされるが、そうではない。

なくても、塾の関係者にならなければ接続する事ができない。

フリーWIFIをそれらしい名前で設置して、ログを取っていたのだが、何らかの理由で接続が・・・・。ん。違うな。

野良基地局を塾に設置しても無意味だ。

有線LANに接続をしなければならない。有線LANに接続するだけなら配線をたどればなんとかなるかもしれないが、オヤジから提供されたルータの設定コンフィグを見ると認証されているMACアドレスしかDHCPの割當がされないようになっている。

中継地點としての野良基地局を立ち上げたのか?

なんのために?

盜聴だろうけど、処理が追いつかなくなったのか?

「タクミ!」

仕事が早いな。

「どうだった?」

「ん。話をまとめると・・・」

まとまらない話をユウキから聞いて、まとめてみる。

「それじゃ、フリースペースのフリーWIFIは商業の生徒だけが使っていたのか?」

「うんうん。そうだと思う。ほら、工業だと、タクミが言っていた・・・・。そうそう、”フリーWIFIは何されているのかわからない。最低でも、メール認証がなければ使うべきではない”を覚えていて、使わなかったみたいだよ」

「そうか・・・」

それは嬉しい事だけど、そうなると商業を狙った?

「それでね」

「あぁ」

「どうも、使っていた生徒も工業の生徒が使わないから気持ち悪くなって徐々に使わなくなっていったみたい」

「ん?それじゃ繋がりにくいという話は?」

「うーん。わからないけど、繋がる時とつながらない時があるって話だよ」

「わかった。フリースペースという話しだよな?」

「うん?」

そうなると、フリースペースで探すのがいいのだろうけど、今すぐに調査は無理だろう。

オヤジにメールして、塾の擔當者に話を通してもらったほうがいいかもしれないな。

オヤジ。反応が早いな。メール出してからまだ5分くらいしか立っていないぞ?

『話はつけた。塾の講義が終わったら、今日は皆を帰す事になる。ユウキは殘してお前が責任持って連れて帰ってこい』

言われなくてもわかっている。

ユウキを1人で帰すなんて事はしない。

「ユウキ。し帰るのが遅くなるけど大丈夫か?」

「僕?大丈夫だよ?タクミと帰ると言ってあるよ?」

なぜ、全部を疑問系にしたのかはわからないが、ユウキの承諾も取れたので、塾の講義が終わるまでの時間を有効利用する事にしよう。

「ユウキ。塾の講義は次が最後か?」

「ちょっとまってね・・・。ううん。今やっている講義の後に二コマあるよ」

容は?」

「うーん」

「な・い・よ・う・は?」

「・・・」

「ユウキ?調べればわかる事だから、さっさと言った方がいいと思うぞ」

「地理と歴史」

「なら、ユウキは、地理と歴史だな」

「・・・。タクミは?」

「ユウキの隣でユウキが講義をけるのを見て・・・って、腕引っ張るなよ」

俺が言い切る前に、ユウキが腕を引っ張って講義が行われる部屋に移した。

まだ人はない。講義を行う部屋の2割に満たない程度だろう。

ユウキは、地理と歴史と言っていたが、講義は”地理から見る歴史”というどうも験とは関係がなさそうな講義だったが、ユウキ以外には楽しくもためになる講義だった。ユウキは、20分くらいまでは頑張っていたのだが、そのくらいで意識を手放したようだ。本當に、地理とか歴史とか嫌いなのだろうな。

45分×2で途中に10分の休憩を挾んで、1時間40分の講義が終わった所で、塾に放送が流れる。

『本日、場の點検のために、1階待合室以外の場所は10分後から立ち止です』

同じようなアナウンスが3回ほど流れた。

皆が何か文句のような事をいいながら、準備を始めている。1階にある待合室で、迎えが來るのを待つようだ。

「篠崎巧さんですか?」

職員らしき人から聲をかけられた。

「はい。そうです」

「こちらでしお待ち下さい」

「もうひとり居ますが一緒で大丈夫ですか?」

「はい。お話は聞いております。森下優希さんですよね」

「はい」

通された部屋は、面談を行う部屋のようだ。

テーブルの上にお茶が用意されている。

「20分くらいはかかると思いますが、お待ちください」

「大丈夫です。ありがとうございます」

部屋にって待っている事になったのだが、テーブルには4つの椅子が有るのだが、お茶が並んで用意されている。

もしかしたら誰かが後から來るのかもしれない。奧にユウキと並んで座って待っている事にした。

「タクミは、高校卒業したらどうするの?大學?」

前は、普通に大學や専門學校に行こうかと思っていた。

オヤジや桜さんや、未來さんを見ていると、なんか違うようにじてきてしまっている。

「うーん。し考えている」

「そうなの?」

「あぁ大學に行って、卒業してオヤジの會社で手伝いをしながら・・・。とか考えていたけど、違う道もいいかなと思っている」

「違う道?」

今考えているのは、弁護士や警察の手伝いを主に行う技屋だ。

民間協力という言葉があると教えられたが的にどうしたらいいのかわからない。桜さんや和さんや未來さんに聞いてみる所から始めてみようと思う。それに併せて、未來さんの所のバイトの時間を増やそうと考えている。

「あぁ未來さんや和さんや桜さんの手伝いができればと思っているけど、的にどうしたらいいのか考えている所だな」

「へぇそうなの?東京や大阪や京都には行かないの?」

「そのつもりだよ。今は、どこに居てもそう違いは無いし、この街もし行けば新幹線や飛行場もあるからな」

「うん!うん。そうだよね。そうだよね」

ユウキが嬉しそうにしているのが嬉しい。

「それでユウキは?おふくろのようになるとか言っていたけど?」

「うーん。それも魅力的だけど、僕・・・。獣醫になろうかと思って・・・。変かな?」

「獣醫?」

「うん」

「なんで?」

「言わないとダメ?」

「ダメじゃないけど、大変だぞ?」

「うん。わかってる。でも・・・」

ユウキが俺を見つめる。

頭にいくつかのはてなマークが浮かんだのだろう。

「でも?」

「なんでもない!」

ドアが開けられて、全員が帰った事を知らされた。

さて、調査しますかね。

「ユウキ。手伝ってくれ」

「うん?でも、僕?何を?すればいいの?」

片言になっているのは、さっきの話しで揺しているのからかもしれない。

気にしてもしょうがない。

まずは、依頼から片付けよう。

「ユウキは、俺のパソコンを見ていてくれ」

「見るのはいいけど、何を見たらいいの?」

そう言われてしまうと、説明するのが面倒だな。

逆にするか?

「ユウキ。このアンテナを持って、部屋の中を、そうだな壁際をゆっくりと移してくれ」

「わかった」

フリースペースの壁沿いをゆっくりと移してもらう事にした。

アンテナは、USBで繋がっている。WIFIの電波を信する設定になっている。飛んでいる電波の一覧から、探している基地局を探してみる事にする。

どうやら、窓辺りが怪しいようだ。

「ユウキ。右側の窓の所に移してくれ」

「わかった」

度を上げる。

必要ない電波の報をグラフから削除する。

「うん。その位置で今度は、天井の近くから床まで移させてくれ」

「はぁーい」

ユウキが天井付近まで手をのばすと、服がめくれて、し焼けたが見えるようになってしまったようだ。

悔しいけど、綺麗だと思ってしまった。

「タクミ?」

「ん?あっ悪い。もう一回頼む。もうしゆっくり頼む」

「わかった」

ユウキに見とれる見惚れて、グラフを見ていなかった。

そんな事を、ユウキに言うわけには・・・。絶対にダメだ。ユウキを意識してはダメだ。ユウキは、隣に住んでいる馴染。ユウキも同じしか持っていない。

グラフは、床の近くの反応が一番強い。

微々たる違いだが、床に近づくほど強くなっている。

「ありがとう。ユウキ」

「もういいの?」

「あぁでも、ちょっとそこで待っていてくれ」

「わかった」

「あぁそうだ。アンテナは床に置いて、なるべく壁際に置いてくれ」

「はぁーい」

壁際には、機は無い。そのかわり本棚が設置されている。

本棚?

「ユウキ。その本棚・・・。鉄製か?」

ユウキが、俺の問いかけで本棚を叩いている。

「うーん。よくわからないけど、木やプラスチックじゃないと思う。アルミ?みたいな奴?」

そうか・・・。アルミだと、特定の電波は通しにくいよな・・・たしか?

「悪い。ユウキ。もう一度アンテナを持ってくれ」

「うん。どうしたらいい?」

「本棚に沿って、下から上に移してみてくれ、そうしたら、窓際までアンテナを移させてくれ」

「わかった」

やはり、窓際の電波が強い。隙間があればそこから電波が出ているのだろう。

「ユウキ。窓際に隙間はある?」

「3cm位だけど有るよ?」

かせるか?」

「本がった狀態だと難しいと思う」

「そうか、さすがに本を全部どかすのは・・・」

「いいですよ?ちょっと待ってください。職員を呼んできます」

俺の後ろで作業を見ていた、案してくれたが口を挾んできた。

5分くらして、職員が來てくれて、本をどかして本棚を移した。

予想通り、フリーSIMの安い端末が出てきた。

電源は本棚の後ろに有ったを使っているようだ。

そういう事か・・・。

電池が死んだ端末を使っていたのだな。

SIMが刺さっていれば、持ち主がわかるかと思ったけど、ダメだろうな。

Android 端末をけ取った。

すごい熱を持っている。當然だろうな。テザリング設定を有効にしながら、充電をしていればこうなるのだろうな。

端末の調査は、家に帰ってからにしよう。

今日は、他に怪しそうな電波が無い事だけを確認していこう。

ユウキがアンテナを持って、俺がパソコンを持って、塾を歩いて他に電波が出ていないかを確認したが、他には怪しい電波はなかった。

殘っていた職員のスマホや使っているパソコンも調査したが、問題はなさそうだ。

見つけた端末が一番怪しい事になるのだが、これで、塾に來ている生徒は除外して良いだろう。

本棚の移は、生徒では難しい。設定だけして投げれる事はできると思うのだが、電源を用意する事は実質的に不可能に近い。

「あの本棚はいつからありますか?」

「1年以上前ですね」

「そうですか、ありがとうございます」

これで、生徒は無視できそうだ。

「タクミ?」

「ん?商業の生徒を疑っていたけど、これで、生徒は無視できそうだ」

「え?なんで?」

ユウキは、俺が商業を気にしていたから、そう思ったのかしれないが、多分商業は関係なく、誰かが気がついた事を友達に対してだけ伝えていたのだろう。

別途調査が必要だとは思うが、本筋とは別だと考えて良いかもしれない。

さて、ユウキへの説明は家に帰ってからでいいだろう。

端末の調査を行ってから報告をまとめればいいよな。

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