《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第七章 家庭ネットワーク 第一話 認識
先輩たちは、俺とユウキを家まで送ってくれる。
「梓さん。優さん。ありがとうございます」
「素直なタクミ君も悪くないな」
「どういう意味ですか?」
「ククク」
「なんですか?」
「いいねぇ優。僕たちも手を握っていようか?」
梓さんは、俺とユウキが手を繋いでいるのをどうやって確認したのかわからないが、からかってくる。
手を繋いでいるわけではない。ユウキが、俺の腕に摑まって寢ているのだ。
梓さんと優さんに聞いて知ったのだが、ここ數日、ユウキは考えすぎて、ペンション以降はあまり眠れていないようだ。
それなら、言えばいいのにと思ったのだが、言えないな・・・。
自分の気持ちを認識してから、俺は怖くなった。
ユウキの気持ちが解っていなければ、俺は素直に言えただろうか?
梓さんがチャンスをくれなかったら、俺ははっきりと口に出來ただろうか?
ユウキが俺を好きでなかったら・・・。
ユウキを、俺は離したくない。俺は・・・。どうしたいのか?わからない。でも、わかっている。ユウキが好きだ。
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「タクミ君?」
「あっ。すみません」
「いや、いい。それで、君はこれからどうするのか?」
「これから?」
「學校は、別にを止していない。でも、知っていたか?ユウキは、人気があるのだよ?上級生にも下級生にもね。もちろん、同級生にもね」
「え?」
「いつも、側に君が居たから、表立って告白するような輩やからはなかったけどね」
「え?なかった?」
「知らなかったのかい?ユウキは、何度か告白されて、斷っているのだよ?」
「知らなかった・・・」
「そうだろうね。君は、いつも近くにユウキが居るのが當たり前だと思っていたようだからね。やっと解ったみたいだね」
「そうですね。いろいろ、わかりました」
「おっ悪い顔だね。そういう表は好きだな。僕たちに何が出來るかわからないけど、相談には乗るからな」
「大丈夫です。もう、手放しません」
「はい。はい。著いたよ。ユウキ!」
「え?ユウキ?起きていたのか?」
「えへ?」
「”えへ”じゃないよ。梓さん。優さん。今度、ゆっくりとお・禮・をさせてください」
「期待して待っているよ」「うん。またね」
俺は、ユウキと車を降りた。
荷をトランクから取り出した。
「優先輩。梓先輩。いろいろありがとうございました」
「ユウキもまたね」「おやすみ」
先輩たちは、それだけ言って走り去ってしまった。
「タクミ?」
「なに?」
「ううん。嬉しい!」
ユウキは、また抱きついてくる。
「ほら、荷を持って、家にるぞ」
「うん!」
ユウキは自分の荷を持って、何の躊躇もなく”篠崎家”にっていく、今までは違和がなかったが、なぜか今は違和しかない。違和だらけの狀況をなぜ違和もなく普通だと思っていたのだろう。
ユウキを意識してしまってから、今までどうやってユウキに接していたのかわからなくなってしまっている。
普通の行ってなんだ?
これは、俺らしい行なのか?
ユウキが好きだと言った俺の行で間違いないのか?
不安になってしまう。
じたことがない不安に押しつぶられそうだ。
「タクミ?」
「あっすまん」
「ううん。それよりも、沙菜ママとパパとママは、明日、帰ってくるらしいよ」
「ん?あぁ掲示板か?」
「うん。タクミ。今日の夕ご飯は食べてこいって書いてあるけどどうする?」
「うーん。ユウキはどうしたい?なにか作るか?」
「いいよ。面倒でしょ?なにか、食べに行こう!」
「近くでいいか?」
「うん。なんでもいいよ!あっ魚はしばらくいいかな・・・。僕、沢山食べたから、おがいいかな」
「そうか・・・。久しぶりに、サイゼリヤにでも行くか?」
「うん!僕、ミックスグリル!」
「わかった。ピザもつけよう」
「うん。ドリンクバーもいい?」
「いいよ」
「あっ」
「どうした?」
「久しぶりだから歩いて行こう?」
「いいのか?30分くらい歩くぞ?」
「いい!タクミと歩きたい!デートだね」
「そうだな」
「えへ」
「どうした?」
「ううん。タクミ。僕ね。嬉しい!」
ユウキが俺の手を取って走り出しそうなのを制した。
「ユウキ。スマホとサイフだけでも持つから待てよ」
「そうだね!忘れていた!」
嬉しいを全で表現してくれる。
俺も嬉しくなってしまう。
サイフの中に二人で食べてもお釣りがくる金額がっているのを確認した。スマホにも連絡が著ていない。メールも大丈夫だ。
近くだから、誰かに見られても・・・。いいのか、周りに見せつければ、ユウキに告白しようなんて奴は現れない。
サイゼリヤまでは30分歩くが、ユウキと歩いていると自然と遠くじなかった。
食べ慣れているサイゼリヤの料理が味しくじた。
ユウキがいろいろと話をしてくれる。
何も変わっていない。俺が、自分の気持ちを認めただけだ。ユウキは、小學校の時から何も変わっていない。俺とユウキの関係は、何も変わっていない。変わらない。
「タクミ。ほら、このジュース。覚えている?」
「あぁ唯が好きだったな」
「うん。また、唯ちゃんにも會いたいな」
「そうだな。今度、連絡をしてみるか?」
「うん」!ハルちゃんとナルちゃんもって、遊びに行きたいな」
「晴海と鳴海な。しっかりと呼ばないと、晴海が怒るぞ?」
「大丈夫だよ。そうそう、聞いた?ハルちゃんと唯ちゃんが付き合いだしているって?」
「そうなのか?ユウキは誰に聞いた?」
「ナルちゃんが教えてくれたよ?」
「そうなのか?あの二人が・・・」
「あ!」
「なんだよ?」
「ううん。なんでもない」
なにか思い出したのだろう。
ユウキは、一度話さないと決めたら絶対に、口を開かないし、説明しない。だから、聞いても無駄だ。
そうか、晴海と唯か・・・。中學校卒業以來會っていないからな、ユウキは時々遊びに行っているみたいだけどな。
「そうだな。同窓會みたいながあれば・・・。でも、オヤジも桜さんも同窓會はダメだと言っているからな」
「そうだね。他の子の親も同窓會は絶対にダメって言っているみたいだし、會うなら數で會うように言われているみたいだよ?」
「うん。和さんもなにか知っているみたいだけど、教えてくれないし、ミクさんも知っては居るらしいけど・・・」
「だよね。でも、僕とタクミと晴海と鳴海と唯なら大丈夫!」
「そうだな。タイミングが良ければ、ってもいいな」
「うん!」
そうだ。
昔から、ユウキは俺と二人の時でも、こうしていた。
他の誰と一緒でも常に俺の隣にはユウキが居た。
俺は、ユウキに甘えていたのだろう。ユウキを甘やかしていたつもりで居たけど、俺がユウキに甘えていたのだな。
「おっオヤジだ」
「克己パパj」
「あぁ」
ユウキを殘して店の外に出る。
『タクミ。今、どこだ?』
「サイゼ。ユウキも一緒」
『わかった。ユウキの気持ちはけ止めたのか?』
「え・・・。あぁ」
ユウキが言っていたな。
『そうか、よかった。もう出られるのか?あっでも、バイクじゃないな。先輩と一緒なのか?』
「ユウキが歩きたいと言ったから、歩いてきた」
『そうか、迎えに行くから待っていろ』
「ん。わかった。駐車場でいいのか?」
『そうだな。道路脇で乗せる』
「わかった」
座席に戻って、ユウキにオヤジが迎えに來ると伝えると、飲みかけのジュースを一気に飲んで立ち上がった。
會計をすませて、外に出る。道路脇で待っていると、3分ほどでオヤジの車が近づいてきた。
後ろに乗り込む。
「ユウキ。良かったな」
オヤジの第一聲だ。
「はい!」
「なんで?」
「そりゃぁわかるよ。タクミは、今までユウキと腕を組むのは、家の中以外ではしなかったのに、道路で堂々と腕を組んでいれば、流石にわかるぞ」
「あっ」「ふふふ。克己パパ。僕の勝ち!約束は守ってね」
「解っているよ」「ん?ユウキ?オヤジ?なにか、賭けをしていたのか?」
「それに関しては、家に帰ってから説明する。ユウキは、今日は家に帰れ、桜も和も帰ってくるからな」
「はぁーい」
ユウキのニコニコ顔がなんだか怖い。かなり前から仕組まれていたようだ。
それに、桜さんと和さんも帰ってきている?今日は、帰ってこないはずでは?
5分もしないで家に著いた。
ユウキは、オヤジに言われたとおりに、自分の家に帰っていった。
俺は、オヤジに続いて家にった。
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