《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第四話 學校でもリモート會議の話

昨晩、未來さんには提案書とモックを送った。

朝の段階では、返事はなかった。和さんにも同じを送付したが、返事はなかった。

先輩たちは、朝ご飯を平らげてから、學校に行くようだ。

俺は、昨日と同じように、4人分の朝食を作った。昨晩は、ユウキは離れから寢室に戻ってきた。梓さんが寢室に戻ったほうがいいと言ったようだ。俺とユウキに気を使ったと言うよりも、二人だけになりたかったのだろう。起きてきて、ユウキにシャワーだけでも借りられないかと話していた。

學校には、先輩たちが送ってくれると言ったが、斷った。帰りが困る。

家を出るまで、未來さんからも、和さんからも返事がなかったので、自転車で行く。寄り道しないで帰ってこよう。

學校に著くと、戸松先生が晝休みに職員室に來るように伝言を殘していた。

ユウキに、今日の晝は職員室に行くと告げてから、1限目の実習室に移した。

「先生」

晝に、職員室に行くと、戸松先生が待っていた。

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「おぉ篠崎。悪いな。晝は?」

「食べていません。面倒な用事を済ませてから食べようと思っていました」

「お前な・・・。本當に、そう思っていても口に出すなよ」

「すみません。が素直なので、正直に言ってしまいました」

「はぁ・・・。そうか、晝がまだなら付き合え」

「はぁ?」

「晝をおごってやる」

「解りました。先生が、俺にル・セールのステーキランチをおごりたいのですね。あっユウキを呼びますね」

「まてまて、篠崎。安月給の教師に何を奢らせようとしている!それに、森下が來たら二人前くらいは平気で食べるだろう!」

「え?大丈夫ですよ。おまかせコースの一番高い奴にします。大丈夫ですよ。一人一萬円でしだけお釣りが來ます。あっ消費稅とサービス料がると、一萬じゃ足りませんが大丈夫です。先生ならカード決算も出來ます」

「おま・・・。北街道のカレー屋だ」

「ナン食べ放題の店?」

「そうだ。あの店なら、森下を連れて行っても大丈夫だ」

「うーん。あの店なら、俺でも連れていけるからな。今日は、辭めておきます」

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戸松先生が明らかにホッとした。

そう言えば、あの店では、デザートは別料金だったな。失敗したな。

先生と一緒なら、門から出るのもそれほど難しくない。

晝に外に買いに出る生徒は居るが、理由がなければ許可されない。しかし、先生が一緒なら簡単に出られる。

テーブルに座って注文をする。

「それで、先生。俺に、何をさせたいのですか?」

「あぁ・・・。篠崎。お前、リモート會議には詳しいか?」

「ZOOMとかですか?」

「そうだ。でも、ZOOMは、上からの指示で使うなと言われた」

「え?」

「セキュリティが不安だと・・・。はぁ・・・」

確かに、サービスを始めたばかりのZOOMは、セキュリティのリスクが存在していた。しかし、そのリスクが存在していたという事実だけで、それ以降の調査をしていないのだろう。結局は、どんなサービスでもリスクは存在する。報がもれた時の対応を考えればいいのに、それをやらないで報リテラシーとか言い出す。

便利なは使う。使えなければどうする。自分たちで作るしかない。作れないのなら、リスクを飲み込んで使うか、諦めるしかない。

そんな単純な理屈さえも許されない狀況なのだろう。”上”と言ったが厳には、上司ではないのだろう。

「それなら、Microsoft Teamでいいと思いますけど?面倒ですか?」

「マイクロソフト製品はダメだ・・・。奴らは、俺にどうしろと言うのだろうな」

「あぁ・・・。面倒な人たちからの指示なのですね」

「そうだな。面倒を通り越して、自分たちが無知だと喧伝しているのに気がついていない愚か者たちだ」

「それで、目的は?」

「しらん」

「え?」

「”リモート會議ができるようにしろ”だけだ」

「は?目的もなく?それで、ZOOMはダメで、Microsoft製はダメ?頭、大丈夫ですか?」

「そう思うよな?」

「えぇ目的が解らなければ、製品も絞り込めません」

「俺も同じ考えだが、上は違うらしい、導したという実績がほしいのだろう」

「面倒です。Google Meet でも勧めておいて下さい」

「あ!そうだな。Googleなら文句を言われない」

「同時に何人までだ?」

「たしか、最大25人だったはずです。他にも何か條件があったと思いますが、Google で確認しないとわからないです」

「十分だ。いやぁ助かった。アイツら、”電脳倶楽部に作らせろ”とか言い出したからな。篠崎が居るならできるだろうだとさ」

「・・・。見積もりを作りますか?丁度、今、依頼で作っていますよ。サーバのライセンス料をいれると、300くらいで収まりますよ?月の運営費を貰えるのなら、安くしますよ。月の利用料が15くらいで面倒をみますよ?」

「篠崎・・・。そんなを出せるわけが、無いだろう?」

學校が、生徒にそこまでの金を積めるとは思っていない。

俺が、把握しただけでも、不正ライセンスの製品を使っている科が存在していた。ライセンスを正規に購させた。使えればいいと考えている連中が多い。特に、上の方に・・・。そして、そいつらが言うのは、決まっている。”一度作ったのなら、簡単だろう?”だ。

部活で作らせるのなら金を払うつもりはないという事だ。そんな奴らの為に、指の一本もかすつもりはない。

「だと思います。でも、この晝飯代くらいならきますよ?Google Meetなら、電脳倶楽部でも説明できるでしょ?」

「あぁ大丈夫だ。晝飯代には十分な報だ。すごく助かる」

「それは良かったです。それにしても、本當に、何がしたいのかわからないで導して、意味があるとは思えないのですが?」

「俺も、それは言ったけど、れなければ駄目だの一點張りだからな。どうせ、上の上から言われたのだろう?アイツらが見ているのは、役人だけだからな」

「あぁ普通科の教員たちなのですね」

戸松先生が頷いてくれた。

俺の通っている高校には、厳な意味で”普通科”は存在しない。各科別の教師たちと區別する為に、普通科と呼ばれているだけだ。詳しくは、知らないが、人事のラインが違うのだと教えられている。

「篠崎。助かった」

「いえ、資料はどうします?」

「電脳倶楽部にやってもらう。各部に配布したパソコンも落ち著いている」

「そうなのですね。それなら、電脳倶楽部にマニュアルを書かせるのですね」

「そうだな。報酬は、弁當とジュースだな」

「俺が口を挾む問題ではないので、彼らと渉をして下さい」

「わかった」

話しが終わったので、先生が會計をして店を出る。

學校で必要になるリモート會議は、リモート會議という土臺が必要になるだけで、実際に遠隔地との會議が必要になっているわけではない。工業が他の學校と足並みを揃えて何かを行うとは思えない。

「戸松先生。ごちそうさまでした。次の依頼は、ル・セールのディナーでけます。そのつもりでお願いします。もちろん、ユウキと一緒に前日から飯を抜いてから行きます」

「お前な・・・。まぁいい。もうお前に頼らない・・・。ようにしないと駄目だな。でも、今回は助かった」

校舎にって、職員室まで一緒に行った。

俺は、次の授業の自習室に向かう。先生は、職員室で資料をまとめると言っていた。

戸松先生も大変なのだろうな。

科ごとの確執もあるだろうし、普通科との確執も多いだろう。それだけじゃなくて、部活の顧問からの突き上げもありそうだ。

放課後は、電脳倶楽部に顔を出して、簡単に説明した。

戸松先生からも連絡が有ったようで落ち著いていた。Google Meetは、それほど難しくはないが設定を行うのに癖がある。そして、問題は、Googleという會社の質だ。サービスを辭める可能が高い。人気がなかったりするとすぐにサービスの継続を辭めてしまう。

電脳倶楽部の面々には、報収集を徹底するように伝えたが、彼らが卒業したあとの話しまでは責任が持てない。

しっかりと、戸松先生には理解してもらう。その上で、電脳倶楽部も生徒會も、もちろん中に居る生徒たちには、責任が及ばないようにしてもらう。

未來さんや和さんの所の関係で、リモート會議を調べていたから良かったけど・・・。

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