《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第四話 特定作業
津川先生は、俺の話が聞けたので、警備員に連絡をいれるために、部屋から出ていった。
「戸松先生。辭めた奴の連絡まで來るのですか?」
「在籍していた確認と、辭めた理由の確認だな」
「それは、自分から”辭めた”のか、”辭めさせられた”のかですか?」
「それもあるが、北山の場合には、辭めた理由が辭めた理由だからな。バイト先に、言っていない可能があるだろう?」
「・・・。あっそうか、この學校が、バイトOKなのは、近隣の人たちなら知っている。年齢的に、高校生だと言ってバイトを始めている可能がある」
「高校を中退していると、理由を書かないと、バイトは出來ないだろう」
「あぁ・・・。そうか、だから、學校に問い合わせが來たのですね」
「津川先生が、愚癡っていたよ。あの件で退學になった奴ら、津川先生が差しべた手を払っておきながら、面倒事を持ち込んでいるからな」
「ん?」
「そうか、篠崎は知らなかったのだな。津川先生は、北山だけじゃなくて、退學処分になった奴らを、ギリギリまで粘って、定時制への切り替えをっていたのだけど、全員が退學処分をけれた」
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「へぇ。まぁプライドの塊の様な連中だったから、ダメだったのでしょうね」
「そうだな。それで、北山が初めてじゃなくて、他にも何人か、バイト先で問題を起こして學校に連絡が來た」
「・・・」
「そんなわけだ。それで、ハッキングに関してだが、面白い事が解ったぞ」
「え?」
「篠崎が、電脳倶楽部が狙われていると言っただろう」
「はい」
「皆でログを見直したら、當初はアクセスもない狀態だった」
「まぁそうでしょう」
當初からアクセスがあったら、電脳倶楽部のメンバーを疑ってしまう。
「それでな。パソコン倶楽部のメンバーで最後に処分が決まった奴が學校を辭めた3日後から攻撃が始まっている」
「・・・」
図式が見えてきたけど、狀況証拠だけだ。
學校としては、狀況証拠だけで十分なのかもしれない。
俺も考えを改めなければならないな。今までの行や言や、昨晩のユウキの話と、津川先生の話で、ハッキングを仕掛けてきているのは、北山かと思ったが・・・。そうだよな。奴なら、俺を直接のターゲットにしてくるだろう。會社のウェッブサイトに名前を出している(ユウキの名前ももちろん出している)。北山なら、俺の管理しているサイトにアタックしてくるはずだ。それに、ユウキの事をまだ狙っているようなら、和さんたちが始めたサイトへの攻撃も考えられる。
しかし、俺の管理している場所へのアタックは、流しのハッキングだけで、電脳倶楽部が観測しているような集中的な攻撃は見られない。
「なぁ篠崎」
「なんでしょう?」
「お前、早い段階から、北山とか學校の関係者を疑っていたよな?」
「え?あっ・・・。まぁそうですね」
「なぜだ?」
「流れのハッキングでないのは、ログを見れば解ります。ログを見て、すぐに違うと判斷しました」
「そうだな」
「それなら、あとは、部か、元部の人間が犯人です」
「・・・。しかし・・・。いや、それで?」
「部の人間には、まずやらないでしょう。外部から侵する必要がありません」
「そうだな」
「そうなると、元部の人間で、電脳倶楽部が専用に近い回線を持っているのを知っているのは、一部の人間です。攻撃対象から、パソコン倶楽部の関係者だと考えました」
「・・・」
「あとは、電脳倶楽部に恨みを持つ人間ですね」
「そうか」
「はい。長々攻撃をしてくるのは、部か元部の人間と考えるのが自然です」
他にも、IPアドレスを知る為の手順がないので、かなりの人間が犯人候補から排除できる。
電脳倶楽部が出來た當初から攻撃を行っているのだとしたら、考えられるのは、學校を辭めていった奴らだけだろう。
「それで、篠崎。今後はどうする?」
「なんとなく、ハッキングをしている奴の素が見えてきました。強固にガードしていれば、ハッキングは失敗し続けるでしょうが、気分が良くないのも事実です」
「あぁ」
「まずは、電脳倶楽部が見つけた、攻撃が始まった頃のログを調べます。何をしがっているのかわかれば、罠を張れます」
「罠?」
「はい。しがっているデータを盜ませます」
「え?」
「ハニーポットを置きます。毒がったを熊攻撃者に舐めてもらいます」
「そんな事ができるのか?」
「わかりませんが、やってみる価値はあると思います。報を盜み出した事で、攻撃が止まってくれれば嬉しいですからね。それでダメなら・・・」
「ダメなら?」
「外向けのIPアドレスを変える申請をします」
「そうか・・・。でも・・・」
「それに攻撃が収まらなければ、IPアドレスのれた経路を考えればいいだけですからね」
「ん?」
「俺が手配して、戸松先生が承認して、ルータの設定を変更すれば、部からがいぶに繋げない限りはIPアドレスが解ってしまう可能は低いです」
「おい」
「そこまでは必要ないとは思います」
「わかった。まずは、ログの解析だな」
「はい。手配お願いします。量が多いと思いますので、DVDやBDに焼きて下さい」
「持ってきている」
戸松先生が、64GBのメモリーカードを取り出す。
メモリーカードはあまり好きでは無いが、データのけ渡しだけなので、問題は無いだろう。メモリーカードをけ取って、中を確認する。
生ログが大量にっている。
コピーを自分のパソコンに作して、メモリーカードを戸松先生に返す。
戸松先生とは、他に電脳倶楽部が調べた報を共有してもらった。
家に帰って、ログの解析を行う。
面白いを拾い上げる事が出來た。
ユウキの案件だ。
解析が終わって、ログから報を拾い上げているところで、ユウキが帰ってきた。タイミングがいい。
「ただいま!」
「ちょうどよかった」
リビングでユウキを出迎えた。やはり、小腹がすいたと言うので、ホットケーキを焼きながら、質問を投げつける。
早速、ユウキを頼りたい。
「ユウキ。マリとエリって子がいたよな?」
「うん。二人がどうしたの?」
「あぁ二人は問題じゃない。あの二人に、いいよっていたパソコン倶楽部の奴を知らないか?」
「うーん。すぐには名前が出てこない。二人に聞いて良いのなら、聞くよ」
「頼めるか?」
「うん。いいよ」
ユウキは、スマホを取り出して、二人にメッセージを送ってくれた。
ホットケーキを食べながら、今日の出來事を聞いていると、マリ嬢から返事が帰ってきた。
どうやら、當たっていたようだ。
ログの始まりで、マリ嬢やエリ嬢の名前や名字で、サイトにアクセスしていた。メールアドレスの形式にしていたもあった。執拗に、同じ様なアクセスを繰り返している。80番ポートや443番ポートへのアクセスで、404になってしまっているのにも関わらず、関連しそうな名前でのアクセスを繰り返している。
接続のIPを見ると、市のプロバイダーからのアクセスのようだ。しっぽを捕まえた。
ハッキングが始まるのは、そのアクセスから二日後だ。最初は、二人の名前や標準的に使われる名前でのアクセスだ。3日後には、俺や戸松先生や津川先生や電脳倶楽部の面々の名前に変わっている。
ユウキには、先に寢てもらった。
今日は、ログの整理を進めたい。やっと捕まえた尾だ。うまく本までたどり著く方法を考えたい。
これだけ、連続でハッキングを行っているのは、俺たちがハッキングを仕掛けられていると気がついていないと思われているのだろう。それを利用して、ハニーポッドにえないか?
もうツール云々ではなく、騙し合いになってきてしまっている。
うまく騙せるかわからないが、やって見る価値はあるだろう。
どんな罠がいいのか、いくつかの方法を考えて草案とする。放課後に、戸松先生と電脳倶楽部の面々と話し合いをすればいいだろう。実際に、手をかしてもらうのは電脳倶楽部の面々になる。
不本意だけど、ハッキングが功したと思わせてハニーポットに導する方法を考えたほうが良いだろう。
ハッキングを一度功したと思わせないと、今後も継続して攻撃をしてくる。
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