《俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です》第十話 リリース
システムは、十倉さんと安池さんの、卒業式の前にリリースすることが出來た。
この數ヶ月、電脳倶楽部の面々だけではなく、勉強會に參加していたメンバーも頑張ったと思う。
プチデスマになりかけたこともあったが、乗り切った。
本番サーバに移行したら、SSL関連で問題が出た、大騒ぎになったが、TLS1.2に対応させ無ければならなかっただけだった。報が乏しいなかで、対応方法を模索していたが、錯綜してしまっていたのだ。
サーバ側での対応も可能だったが、TLS1.1は使わないと決めて、アプリケーションをTLS1.2対応にした。Visual Studio のC#では宣言を行うだけで終了する。
おまじないSystem.Net.ServicePointManager.SecurityProtocol = System.Net.SecurityProtocolType.Tls12;を、Program.cs の先頭にでも記述すればいい。これだけなので、すぐに問題は解決した。
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リリースは、週末を選択した。
すぐに、全校生徒が使い始めたが、機能がメッセージの送付だけなので、使いみちは限られている。
リリース直後には、問題は発生しなかった。
しばらくしたら、機能追加の要が寄せられ始めた。
やはり多いのは、アプリのように通知が出來ないのかということだ。
戸松先生から相談があると言われた。通知の件だろう。
放課後に、職員室に行く。
「おぉ悪いな」
「いえ。通知の件ですか?」
「そうだ。どの方法がいい?」
「電脳倶楽部のメンバーは、何を考えていますか?」
「ブラウザの通知機能を使おうと思って、報を集めている」
「急いでいますか?」
「要は多いが、急いでいない」
「そうですか・・・。それなら、アプリを作しましょう」
通知では、ブラウザ依存になってしまう。iOSでは通知はけ取れなかったと記憶している。
「ん?」
「Android と iPhone 向けのアプリを作しましょう。公開してもいいと思います」
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「公開?何を?」
「アプリを公開して、在校生/教諭(科別)/保護者/卒業生の區分を作して、報共有ができるようにしたらどうですか?」
梓さんに、できるようなら考えてしいと頼まれていた容がある。
卒業証明書の発行依頼が出來ないのかということだ。卒業生だという認証をする必要があるが、それさえクリアしてしまえば、依頼を出すだけなら難しくない。戸松先生に、卒業生に対する利點や保護者に対する機能を説明する。
今年、卒業する十倉さんたちは、すでにデータベースに登録されているので、大きな問題にはならない。
「アプリの容は、わかったが、公開の意味は?」
「ん?せっかくだから、電脳倶楽部に経験を積んでもらおうかと・・・」
「そうか、確かに経験は必要だな」
アプリで対応することに決まった。
戸松先生は、パソコンから電脳倶楽部のサイトにアクセスして、一斉通知を出した。
返事が続々と來ている。
了承する返事だ。
「アプリを作ろうと思う。それで、問題は・・・」
「iOS・・・」
「そうだ」
「Xamarinで作ってみるのは?」
「そうだな。Macを用意出來ないし、現狀では、それが一番いいのかもしれないな」
「はい。報も出揃っていますし、大丈夫だと思います」
それに、それほど複雑な処理を行うわけではない。
「わかった。開発が可能になり始めたら、配布用のアカウントを作すればいいよな」
「そうですね。最初から必要になるとは思えませんので、エミュレータ上でのテストを開始したら、アカウントを作すればよいのではないでしょうか?」
「わかった。學校の名前で作れるか?」
「流石に知りませんよ。學校から問い合わせをして下さい」
「ハハハ。そうだな。わかった」
戸松先生との話は終わった。
あとは、電脳倶楽部が作業を擔當する。俺は、サポートにはるがメインではかない。
今の1年生が中心になって開発を行う。俺たち2年生は就職や進學の準備がある。話を聞いた限りでは、大學験を考えているメンバーは居なかった。電脳倶楽部での活が楽しくて、専門學校に進學する者は居るようだが、推薦をけるようだ。
卒業式の前日。
十倉さんと安池さんを呼び出した。もちろん、先輩たちが手伝ったツールを使ってだ。
もう、休みにっている先輩たちだが、俺の呼びかけに學校まで來てくれた。
「篠崎。暇だからいいけど、何のようだ?」
「あぁそうですね。用事は、俺ではなく・・・」
勉強會のメンバーが、俺に先輩たちを呼び出してしいと依頼してきたのだ。
システムのリリース後にすぐに先輩たちは休みにってしまった。
免許を取得したり、準備をしたり、忙しかったようだ。さすがに、卒業式の前日なら大丈夫だろうと、津川先生が言ったので呼び出したのだ。
「なんだ?なにか、問題なのか?」
「そうですね。システムのリリースが出來て學校で使い始めたあとで、打ち上げをしていなかった。大事なことなので、十倉さんと安池さんに來てもらいました」
「は?」「打ち上げ?」
「はい。大將の店にある。二階を貸し切っています」
「はぁ?二階は、居酒屋だろう?」
「はい。でも、頼んだら、OKをくれました。料理は、大將のおまかせですけどね」
「おま・・・。まぁいい。俺が、サッカー部の打ち上げで頼んでもダメだったのに・・・」
「大將には、大きな貸しがあるので、大丈夫です。料金は、戸松先生と津川先生のポケットマネーですので、気にしないで食べて下さい。あっ飲みだけは、持ち込んでしいと言われていて、電脳倶楽部のメンバーが買い出しに走っています」
「はぁ・・・。まぁいい。それじゃ、俺たちは、大將の店に行けばいいのか?」
「はい。勉強會の面々が待っていると思います」
「わかった」
スマホを取り出して、ユウキにメッセージを送る。
すぐに返事が帰ってきた。森下家で夕飯を食べて帰ってくると返事に書かれていた。メッセージを読んだじだと、ユウキの手伝いも今日までのようだ。
明日からは、ユウキは専門學校の試に向けて勉強をする。
合格は間違いないだろうが、合格が目的ではない。その先に本當の目標がある。
皆が移し終わった。大將の店に向かう。
二階には、外の階段を上がっていく。
すでに、料理が運び込まれている。大將の先輩にあたる人が設置した、料理を運ぶためのエレベータがある。
「よし。皆が揃ったな。コップを持て」
戸松先生が乾杯の挨拶をする。最初、俺に、挨拶をしてしいと言われたのだが、丁重にお斷りした。
話は、自然とシステムの話になっていく、俺は話には加わらない。
「篠崎」
「十倉さん。お疲れ様です。明日、生徒代表なのでしょ?」
「あぁ・・・。誰かの策謀で、本來なら、俺じゃない人がやるはずだったのだけどな」
「そんなひどい奴が居たのですね。殺したほうがいいですよ。それとも、後ろから刺しますか?」
「ハハハ。そうだな。篠崎」
「はい」
「すまなかった」
「え?」
「本當なら、俺が會頭を停めなければならなかった」
「それは終わった話です。それに、知らなかったのなら、止めようが無いですよね」
「それは・・・。でも、お前が恨まれるようなことは、避けられたのではないかと思っている」
「そうですね。でも、それこそ、今更ですよ」
「わかっている。わかっているが・・・」
「十倉さん。俺は、大丈夫です。それに、ユウキも大丈夫です。あいつは、弱く有りません」
「・・・」
學校に卒業式を邪魔するという警告が來ている。俺とユウキを名指しで批判する容が書かれていた。俺もユウキも気にしないが周りが気にしてしまっている。特に、知り合いになった3年生からは謝罪の言葉を貰っている。
二日前に、犯人が逮捕された。出會い系サイトの”サクラのバイト”を斡旋していた先輩の一人だ。俺に、人生をめちゃくちゃにされたというのが機らしい。
打ち上げは、思った以上に盛り上がった。遅い時間まで2階を専有してしまった。
途中から、大將も上がってきて、話に加わっていた。戸松先生や津川先生とも面識があって、話が盛り上がっていた。
そして、翌日の卒業式はなんの問題もなく終了した。
短い休みのあと、俺たちが3年生となる。
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