《俺はショートヘア王が大嫌い》Episode2 皮かぶりのモンスター

坂木 亜実と一緒に帰ることになった俺は、自転車置き場に向かった。俺は家から高校が近いため、チャリ通なのだ。自転車を押して校門まで向かう。校門へ行くと既に坂木が待っていた。

「ご、ごめん、待った?」

「ううん、だいじょぶだよ!」

「じ、じゃあ行こうか」

何かくすぐったい會話だな。初デートの待ち合わせみたいなじ。やだ、私ったらまた勘違いしちゃう!

「そういえば坂木って歩きなの?」

「亜実」

「えっ?」

「亜実って呼んで!」

「わ、わかった」

いつも大人びた雰囲気な坂木、じゃなくて亜実が口を膨らませてむぅ〜と唸っている。めっちゃあざといんだけど亜実すると違和ないんだよね。こんな表もするのか、と新しい一面を知ることができた。

「あ、亜実は歩きなの?」

「そうだよ〜、近いから自転車で行きたいんだけど持ってなくて」

「そうなんだ」

「海七渡くんも近いんでしょ?」

「まあまあ近いよ」

「確かO中だよね?」

「そうだけどなんで知ってるの?」

「私E中だったから!」

「E中!隣じゃん!」

驚きだ。亜実は隣の中學出らしい。ってことは家も近いのかも。聞いてみるか。

「家ってどこらへん?」

「この道真っ直ぐ行ったとこ!」

「じゃあ俺の帰り道の途中だ!」

「ほ、ほんと?!」

「お、おう」

「あの…さ」

「ん?」

「これから…一緒に學校行かない?」

「…え?」

こ、これどうなってるんですか。天変地異でも起こんのかおい。これ、どう答えるか。う〜ん。ここで軽くokしたらそれ目當てだと思われそうだし、ここは一回ワンクッションれておくか。

「俺は構わないけど、チャリだよ?」

「もし…よかったら……後ろ……乗せてもらえないかな?」

oh〜完全にKOされました。上目遣い封印してもらえませんかね。心臓がもたないんですけど。

「って、言われたかったんでしょ?」

「え…」

返ってきたのは凍てつくような視線と冷たい言葉。いや、イマイチ狀況が飲み込めてないんだが。イマイチというか全く。さっきまでのかわいい亜実はどこに行った?今俺の目の前にいるのは、目で見たものを全て石化するメデューサの目を持ち、雪のような寒々しい雰囲気をまとった子だった。

「ほんと、調子乗りすぎ」

「…え……」

「ちょっとったぐらいでいい顔しちゃって、ほんとからかい甲斐があるわあなたみたいなタイプ」

「ど、どういうことだよ!」

「私があなたなんかに興味を持つとでも思ったの?」

そう言って亜実はニヒルな笑みを浮かべる。もう皆の知ってる坂木 亜実ではない。こいつは坂木 亜実の皮をかぶった偽だ。そんな覚に陥った。しかし、

「これが私の本よ。八方人の私は作りのわたしよ。このことを知っているのはあなただけ。だからただで返すわけには行かないわ」

「ちょ、ちょっと待てよ!お前が自分でバラしたんだろうが!何で俺のせいになるんだよ!」

「それは…」

「それは?」

「あなたを利用するために決まってるでしょ」

そう言ってまた悪魔のような笑みを浮かべる。この。チョロい男だと思って調子に乗りやがって。

「いい加減にしろよお前。俺を利用するだぁ?ふざけんな。ていうか何のためだよ」

「私の彼氏にするためよ」

「………は?」

「何だよ彼氏って」

「そのままの意味よ。あなたには私に釣り合う理想の彼氏になってもらうわ」

「何でそんなことしなきゃいけないんだよ!さっきは興味なんか持ってないって言ってただろうが!」

「それは今現在の話よ」

「は?」

「私って、勉強も學年トップだし運神経も抜群、それに加えてとっても可いでしょ?」

「いや、そうかも知れんけど。自分でいうかそれ」

ほんとなんなのコイツ。出會ってすぐキャラ崩壊し過ぎでしょ。出會って○秒でバ○ルとかしちゃいそうな勢いだよこれ。

「だから、男もほっとかないのよ。だからあなたには彼氏のフリをしてもらう。それで本當に私の彼氏として私を認めさせることができたら、あなたの彼氏になってあげるわ」

「おい、何でそんな上からなんだよ。俺のメリットが1つも見當たらないんだが」

「何言ってるのよ。こんな超絶と付き合えるのよ。むしろお釣りが返ってくるぐらいでしょ。それにあなた、私のことそういう目で見てたじゃない」

「いや、今のお前を見たらそんな気も失せたというか」

「まあとりあえずそういうことだから、これから毎日向かいに來なさいね。私の家ここだから。また明日」

「お、おい!待てよ!」

どうなってんだよこれ。超絶の正は男を弄ぶクソってことか。なんだよそれ。せっかく期待してたのに、全部ひっくり返ったじゃねーか。ほんとに天変地異起こっちまったじゃねーか。ラブコメの神様め、結局こうなるじゃねーかくそが。

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