《俺はショートヘア王が大嫌い》Episode4 文化祭に向けて

「ただいま〜」

今日はなんか々疲れたな。試合見てあいつと話しただけなのに、アイツといるとエネルギー使うわ。

「おっ!お帰り兄ちゃん」

「なんだ、いたのか脩。今日塾ないのか?」

「今日は塾ないよ!そんなことよりなんかめっちゃ疲れてそうだけど…」

こいつは俺の弟の荒井 脩(あらい しゅう)。10歳である。

「まぁ々あってな。今日母さんは?」

「今日も夜遅くなるって。何か適當に作って食べてって書き置きがあった!」

「そっか」

うちは父親がアメリカに単赴任中でなかなか帰ってこない。母も夜遅くまで仕事で帰ってこないので、俺と脩は、大いつも自分で家事をこなしている。家のために働いてくれているから、しは休ませてあげたいという思いもある。

「じゃあオムライスでも作るか!」

「やった!俺兄ちゃんのオムライス好きなんだ〜」

「それは嬉しいな〜」

と言って軽く頭をでる。いつも遅くまで一人で待ってくれてありがとな。母さんは忙しいし、父さんはアメリカにいるから、親と遊んだりとか親との関わりをあまり経験してこなかった脩は、同い年の子と比べると幾分か落ち著いていて、急に寂しそうな顔をする。だから俺はこいつに寂しい顔をしてほしくなくて、家では脩とずっと一緒にいる

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「あっ!そういえばね!」

「ん、どした?」

「今日お姉ちゃんが帰ってくるってさ!」

「涼姉が?」

うちは、長の涼(すず)姉、長男の俺、そして次男の脩の3姉弟だ。それより涼姉が帰ってくるのか。

「面倒くさくなりそうだな……」

「??」

脩は知らないがうちの姉はほんとに面倒くさい。

「やっほ〜!久しぶりだね〜海七渡っ」

「おい!出會って早々抱きついてくるなよ」

「な〜に〜、嫌なの〜?」

「はぁ〜……」

これがうちの姉、荒井 涼(すず)だ。俺がショートヘアーで、唯一好きになれない人だ。あ、今はもう一人いるな。

「姉ちゃんお帰り!」

「お〜、脩か〜ただいま!」

「今兄ちゃんがオムライス作ってくれるよ!」

「涼姉の分はねぇよ」

「お願〜い」

上目遣いされてもなんとも思わんし可くない。

「兄ちゃん、姉ちゃんの分ないの?」

「んぐ……」

脩が悲しそうに俺を見る。そんな顔されたら無いなんて言えねぇじゃねーか。

「今から作るからちょっと待っててくれ」

「ほほう、海七渡も脩には弱いのね〜」

「うるせ」

やっぱうぜぇこの人。なんでこのタイミングで帰ってくるかな。涼姉は都の一流大學に通っている大學2年だ。一応獨り暮らしなのだが、たまに実家に帰ってくる。そして俺をからかって帰る。ホント何してんだか。でも小さい頃は、涼姉が俺達と一緒にいてくれた。こう見えて良い姉なのだ。

「で、なんで急に來たの」

「ん〜?みはほほぼはんがはへはふへ(海七渡のご飯が食べたくて)」

「飲み込んでから喋れよ」

「ゴクン。母さんに頼まれてね。たまには帰ってきなって。」

「また母さんか」

いつも帰りの遅い自分を申し訳なく思っているのだろう。特に脩は、まだ親に甘えていたい年頃でもある。そこを気遣って涼姉に頼んだのだろう。

「いつもありがとな」

「え?///」

「何でもねーよ」

たまには謝するのも良いだろ。

そして月曜日の放課後、サッカー部は大會を控えている。しかし、俺は文化祭実行委員なので、ずっと部活に出れずにいる。今回の大會のスタメンは厳しそうだな。今週は文化祭、來週は試合。イベント盛りだくさんで力持つか不安だな。今はクラスで何の劇をやるかを話し合っているところだ。俺が黒板書記で亜実が教壇に立ち、皆の一つ一つの意見に「それいいね!」とか「そんなのあるの?」とか想を述べている。やっぱ人前のこいつはパーフェクトヒロインだな、本を曬す隙がまったくない。

だが、ここで不合が生じた。

「劇とか、だるいしつまんない」

クラスカーストのトップに君臨する子、海 友梨乃(なるみ ゆりの)がそんな一言を放った。ここに來てそれ言いますか。不満があるなら多數決のときに言えばいいのに。だからって通ったかはわからないけどな。俺は、亜実に『どうする』っと視線で伝えると、亜実は首を橫に振った。これはどっちの意味だ。とりあえず、ここは亜実に任せるしかない。

「友梨乃は、劇が嫌なの?」

「劇が嫌っていうか、準備とかセリフとかもの作ったりとかだるいし」

「そっか。でもどれをやっても面倒くささは殘るよ?」

「それはそうだけど、劇以外じゃないと私はやんないから」

クラスの空気は完全に凍っている。俺も心焦っている。亜実がブチギレて本を現さないか心配でならない。だが、杞憂だったらしい。

「そっか。でも文化祭は皆で楽しまないとね!なら他に何かやりたいものある人〜?」

おお〜。流石坂木 亜実。クラスの凍った空気を明るいテンションで緩和させ、海の意見も配慮している。だが、劇が出來ないとなると當初の狙いは達できなくなってしまうが、どうするのか。

「ちょっといいかな」

「はいっ!蒼月くんどうぞ!」

「ライブとかって……どう?」

「ライブかー!」

「なんかすげー楽しそうじゃん!!」

「私もいいと思う!」

一瞬にしてクラスの流れを乗っ取った蒼月が俺の方を向いて、スマートにウィンクをした。うわっ、今の、子だったら一発で惚れるとこだったぞ。

「誰か楽弾ける人ー?」

「俺ドラム叩けるよ」

「私ベースできるよ〜」

おっ、いいじだ。これならスムーズに決まるんじゃないか、と思ったが。

「ギター弾ける人は………いないかな」

マズイな。人が集まらなきゃ演奏のしようがないぞ。クラスの皆が焦っていると

「ならギターは私がやるね!」

亜実が元気よく手を上げた。こいつギターも弾けんのかよ!やべぇなほんとに。

「あともう一人ギターしいかな」

確かに演奏する曲によってはギターが二人いなきゃ立しないこともあるしな。でもギターはいなかったけど、どうするんだ?

「もう一人のギターは海七渡がやるからとりあえず揃ったね!」

「…………………は?」

「いやいや、無理だよ!俺ギターなんて弾いたこともったこともないぞ!」

「大丈夫!私がしっかり教えるから!」

「だからって今週だぞ!経験者でも厳しいスケジュールなのに俺なんかのド素人ができるわk」

「大丈夫、私を信じて」

う……。そんな自信に満ちあふれた顔されたら何も言えねーよ。

「ってことで、今手挙げてくれた人は放課後殘って練習しよう!じゃあ、がんばっていこー!」

「「「おーーーー!!」」」

なんか盛り上がってきたな〜。って思ったけど他人事じゃねーな。マジでギターとか弾けねーけどアイツを信じるしかねーな。

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