《俺はショートヘア王が大嫌い》Episode8 Change Up

蟬の鳴き聲が鳴り響く通學路。ジメジメと人々の力を蝕む太の日差し。そんな通學路が、そんな初夏が、とても楽しくて仕方がない。心がぴょんぴょんしちゃっている。隣にいる坂木 亜実は、そうではないとおもうが。あ、そういえば部活どうすっかな。もうずっと忘れてたわ。小林には辭めるって言っちまったし、蒼月とか誠耶には悪いけど、辭めるしかないか。続けた方が、寧ろあいつらに迷をかけるかもしれない。多分、俺が続けたら小林たちは辭めるだろうしな。

「あなた、部活はどうするの?」

「今そのこと考えてた」

「結論は?」

「ん〜、まぁ別に推薦とか狙ってたわけじゃないからな。辭めようと思ってる」

「そう。あなたがいいならいいけど。私にもケジメはつけさせて」

「ケジメって何だよ?」

「小林とかいうろくでなしにしお灸を據えてやるの」

「やめとけ。んなことしても何も変わらんだろ」

「そうかもしれないけど、じゃないと私の気が済まないわ」

「お前の評判も落ちるし、デメリットしか殘らないぞ」

「く……海七渡が言うなら仕方ないね」

「素直に聞いてくれてありがとよ」

最近、亜実が俺の言うことを聞いてくれるようになってきた。口調もたまにらかくなるし、名前呼びになっている。どんどん可くなってくなこいつ。皆の前のこいつより、2人きりのときのこいつの方がダントツで可い。俺だけが知ってる坂木 亜実の一面、みたいな。なんかあれだね、優越というか何というか、それよりも嬉しさが大きいな。あと罵詈雑言を浴びなくて済みそうだしね!だがそんなことはお首にも出さない。それは勿論こいつを惚れさせるためだ。なくとも今現在の段階では、亜実は俺に対して好意を抱いているとは思えない。他のやつと喋っているのを見たりしないから比べようがないが、テンションはそこまで高くないしな〜。だいじょぶ!挫けるなワタシ!ガンバ!

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と脳でOL1年目の俺が応援してくれている。いや、俺のOL姿って想像したくないぐらいキモいじゃねーか。そんな下らないことを考えていると、

「また気持ち悪いこと考えてたでしょ」

「嫌なんでそうなるの。確かに間違ってはないけど。何なのお前、俺の脳丸見えなの?俺深海にいる頭ん中丸見えの魚か何か?」

「ちょっと何言ってるかわかんない」

もう毒舌はないと思ってたのに、もう即効きたよ。もう即効元気くらいガツンと來たわ、俺の心に。てかこいつもこのボケやるんだな。なんか意外。そんなじでぺちゃくちゃしてたら教室に著いていた。時の流れの殘酷さをじすぎて天使のテーゼを歌いたい気分だわ。いや、歌わないよ?

んな一人漫才を脳でやってると、蒼月と視線がぶつかった。蒼月は、俺を悲しいような、何か手の屆きそうなものを摑みそこねたような、そんな顔を浮かべて俺を見ていた。だが、蒼月は俺と小林の電話の件は知らないはずなのに、何故あんな表をしたのだろうか。もしかしたら、小林が自分から言ったのかもしれない。とりあえず、蒼月に事の全てを話そうと思い、立ち上がったが、擔任の南が來た。話はHRの後にしておこう。

いつも通りの南の淡々としたHRが終わった。當たり前だが、脳では呼び捨てだが現実は先生をつけている。だって呼び捨てなんてしたら毆られそうで怖いもん。ここで軽く紹介しておこう。2年8組の擔任、南 涼子(みなみ りょうこ)は、スーツをいつもに纏っているの先生だ。背もにしてはまあまあ高く、スタイルも抜群。髪はロングで、いつも上の方にまとめられている。雰囲気は、大人の気みたいなのが出てて、ドSがスゴい。生徒からは、『涼子先生』とか『涼子さん』とか『涼子お姉様』とか呼ばれてる。おいおい、最後のはアウトだろ。もう先生かどうか怪しいぞ。やべ、そんなことやってる場合じゃなかった。俺はし急ぎ足で蒼月のもとへ向かう。向こうも俺に気が付いたのか、し顔が強張った。さて、どうするか。こういうときどういう風に聲掛ければいいんだ。こういうときのためのYahoo知恵袋だろ。俺が中のないスカスカのマイ知恵袋から何かを捻り出そうと頑張っていると、蒼月が言葉を発した。

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「とりあえず、場所移すか」

「そうだな」

そう言って、俺達は階段の踴り場にいる。

「鼻、大丈夫だったか?」

「ああ、もう全然平気だ。心配してくれてありがとな」

「當たり前だろ?お前はうちの柱なんだから」

「そうかよ。そういえば、大會は?」

「準決勝で負けちまったよ。結構惜しかったんだけどな〜」

「そうか」

「………戻る気は、ないのか?」

「今更戻るのはな……。それに、大勢辭めるより俺一人が辭めたほうがチームが安定するだろ?一人はみんなのために、ってやつだよ」

「お前はそれでいいのか。俺は、お前ともっとサッカーを続けたい。小林とかはどうでもいい。あいつらが辭めようが俺達のするサッカーは変わらないだろ」

「いいや、変わるさ。変わりたくなくてもな。俺が戻ることに賛するのは々3割程度だろ。対して反対派は小林率いるマジョリティー。あいつらが俺らを妨害したり部を辭めたりしたら部活としてり立たなくなっちまう。それこそ本當の終わりだ。だから犠牲はない方がいい。まだ大會殘ってるだろ、そっちに気合いれて頑張ってくれ」

正直なところ、サッカーは今でも好きだ。だから続けたい気持ちはあるのだろう。なぜ、だろうなのかは、確信がないからだ。自分のことは自分がよくわかっているつもりだったが、そんなのは自分を都合よく解釈した偶像に過ぎない。だから結局わからなかった。わかっていたところで、俺が部活に戻ることはないだろう。変わることは、俺がサッカーに悔いを殘すか殘さないかの、そんな小さな心の誤差でしかない。そう思っていた。

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「なら、俺も辭める」

「………は?」

「何でそうなった?お前が辭めたらチームのまとまりもクソもないぞ。部として機能しなくなるかもしれない」

「それでも構わない。俺はお前とサッカーがしたいだけだ。できないなら辭めるだけだ」

「なんでそんな無責任なんだよ。お前らしくもない」

いつもの蒼月じゃない。いつもより無鉄砲で、投げやりで、それでいて何かを貫き通すような力強さをめているようだ。

「それはこっちのセリフだ。お前が無責任にチームを去るからこうなったんだ」

「それは違う。去らざるを得なかったんだよ。俺がいなくならなきゃ俺を庇うお前にも飛び火がいくかもしんないだろ?」

「なら、そう言ってくれよ。なんで何も言わなかったんだ……」

そう言って、またさっきの表になった。やめろ。何でお前がそんな顔をするんだよ。お前を苦しめないためにいなくなったのに、意味ないみたいじゃねーか。いや、実の所、意味がなかったのかもしれない。寧ろ小林たちの悪心を促進させてしまったのか?分からない。どうなってんだ。

「分からないなら………聞けばいいだろ……!」

「!」

俺はその言葉に卓袱臺をひっくり返されたような覚に陥った。そうだ。それで良かったのか。そんな簡単なことだったのか。俺はあの電話のあと、何もかもが分からなくなった。それで全部を投げ出して自暴自棄になった。でも間違っていた。その後にすぐ蒼月に電話をするという選択肢はあったのだ。だけどその選択肢が俺の頭には現れなかった。そんなことを考える余裕がなかったのかもしれない。でも、本當の理由じゃない。

俺は忘れていたのだろう、蒼月のことを。

理由はどうであれ、忘れてしまったことは事実だ。事実は消しゴムでは消せないし、鉛筆みたいに上から塗り潰すこともできない。俺はそんな自分に鳥が立った。反吐が出る。亜実よりも前から俺に関わりを持ってくれていた蒼月を忘れていた。その事実をどうにか誤魔化そうとする自分をぶん毆りたくなった。何が無責任だ、何がお前らしさだ。傲慢にも程がある。俺は他人にばかり自分の理想を押し付けて、自分は自己犠牲という名の現実逃避で辛いアピール。ふざけるな。何だよそれ。そんなことを今の今まで気が付かずに過ごしてたってか?益々自分を嫌いになりそうだ。蒼月は、俺なんかよりもっともっと辛かったのに。俺から聲をかけるまで待ってくれていた。俺はそんなことも忘れて亜実と過ごしていた。自分が怖い。都合の悪いことは全部忘れて脳から削除していく自分が、怖くて恐くて仕方がない。

「ごめん、蒼月。俺は、お前のために部を離れたつもりだった。でも違った。表向きはお前のためと言い張って、本當は自分のためだったんだ。離れたんじゃなくて逃げたんだ、俺は。無責任に自分の都合だけを理由にな。それを誰かの為だと都合よく解釈して自己満足に浸っていた。俺は臆病で卑怯で傲慢でご都合主義のけだものだ」

「それでも、俺はお前とのサッカーが楽しかった……。勝つために練習してたはずなのに、気づいたら練習が楽しくなってた。おかしいよな。お前が部を離れて一週間ぐらい経って、チームがおかしくなった。俺も続けるのが辛くなった。お前に戻ってきてほしかった。でも、小林から話を聞いて、お前を助けられたのにって後悔した。結局お前に支えられっぱなしだったんだなって、そう思った…」

「違う。俺もお前に支えられてた。だから続けられんたんだ」

「最後にこれだけ教えてくれ。俺と海七渡のサッカーは噓じゃなかったよな…。」

俺はその言葉の意味を深く理解して、できる限りの思いを込めて……

「ああ、噓じゃない。俺は、絶対忘れないよ」

そうか、と言って微笑んだ蒼月の顔は、嬉しさと悲しさが連鎖になったような、どっちつかずの微笑みだった。だから俺は、その微笑みに何の言葉も返すことができず、ただ茫然とそれを見ていることしかできなかった。

知らぬ間に放課後になっていた。授業の容は何も覚えていなし、晝を食べたのかすら思い出せない。相當気が滅っているらしい。気づいたら、教室にいるのは俺と擔任の南だけみたいだ。部活をサボり続けて隨分経った。今更だが退部屆を出しに行くか。席を立ってカバンを背負い、教室から出ようとしたら、

「荒井、お前はいいのか」

「何のことですか」

その一言に俺は、焦りと驚きを覚えた。なぜ南がそのことを知っているのかわからないが、とりあえずとぼけておこう。

「私はお前の部活の顧問でもなんでもないが、お前のその選択は間違っている。自分に噓をつくのはやめたまえ」

知ったような口を利くなよ。俺はもう戻ることはない。傷つけたくなくて自分が傷ついて、それで解決すると勘違いしていた。結局傷つけないようにすることがあいつを傷つけることになってしまった。だから、これ以上傷つけないように俺は選択をしたんだ。それに噓も真実もあるか。俺が選んだ未來だ。あんたに口を挾む権利はないだろ。

「踴り場は音が響くからな、気をつけておけ。盜み聞きをするつもりはなかったんだがな。すまん」

「別に構いませんよ。ただ、これは俺が決めたことなので、噓もクソもないです」

「そうか。知ったような口を聞いて悪かったな……。だが、お前の今日の上の空な様子を見て、し心配になってな。本當に困ったときは相談したまえ。私はお前の先生だからな」

そう言って、南先生は爽やかに笑った。俺はその笑顔を見てあっけらかんとしてしまった。普段の大人びた雰囲気からは想像できない、子供っぽくて男らしくて、優しい表だった。

俺は一人で考える時間がしくて、図書室へ向かった。自分には心の整理をするための靜かな空間が必要だと考え、図書室への道のりを行く。階段を登り、お目當ての階につくと、窓から焦げた空のが差し込んだ。オレンジとも茶とも言えないを浴びながら歩く。廊下にはパカパカと、俺の足よりし大きめの上履きがげかけたりはまったり歩いてる音しかせず、音を立てるのが躊躇われたが、鳴ってしまうのは仕方ない。なるべく音を小さくし、図書室まで歩いた。

図書室のり口の扉をゆっくり開ける。中には、司書室にいる司書さんと一人の子生徒だけらしい。俺は靜かに扉を閉め、どこに座るか考えた。間取りは、手前は橫長の機が三つ橫並びになっていて、奧や壁際には本棚が置かれていて、なかなかの數の本が収納されている。子生徒は奧の機で本を読んでいる。相當のめり込んでいるのか、俺が扉を開けたときも、こっちには見向きもしなかった。本が大好きなのだろう。俺も結構読む方だから、思い當たる節がある。面白い本を読んでいると、時間を忘れてのめり込んでしまうことがたまにある。とりあえず俺は手前の機に座り、これからどうするか考えてみる。実の所、もうサッカーへの熱はそこまでない。だけど、蒼月や誠耶が納得してくれるとは思えない。俺はただ逃げただけだからな。自分が何をしてきたのか、分からなくなってしまった。でも、間違ってはなかったと信じている。……あぁ!もうどうすりゃいいんだよ!っと頭をガリガリしてると、

「あの……」

「……はい?」

「図書室なので……し靜かに……」

「へ?」

やばい、聲に出てたらしい。はずかしいよぅ…。顔が真っ赤におたこぷーしてるのをじているでござる。

「すいません。ちょっと落ち著こうと思ってここに來たんですけど……お騒がせしました、失禮します」

流石に騒音ぶちかました後にここにいるのは居心地があまり良くない。そう思った俺は教室に戻ろうとした。

「い、いえ!帰る必要はありませんよ!あ……」

つい大きな聲を出してしまって顔が赤くなっている。この人かわいいな。ショートだし。見た目は大人しめな雰囲気で、背はし小さめ。髪はショートボブぐらいで黒髪。髪のから放たれたふわりとした優しい香り。言う事なしだ。客観的に見ても人にるな。うん。

「でも、読書の邪魔しちゃいましたし」

「ぜ、全然大丈夫です。何か思い悩んでいたようですけど、何かあったのですか?」

「えっと……」

これは言うべきなのだろうか。この人には関係ないし、言ったところで狀況は変わらないかもしれないが、しは気を軽くしたいしな。とりあえず話してみるか。

「実は、俺部活を辭めようと思ってて……でも、俺を支えてくれた仲間から逃げるのが嫌で……辭めるって決めたのに辭めれなくて……自分はどうしたいのかわからなくて」

「そう、だったんですか」

「ごめんなさい。こんなこと話しても意味ないですよね。でも、話してし気が楽になりました。それじゃ」

「ま、待ってください!」

「え?」

「な、なぜ部活をやめたくなったのかは分かりませんが、あなたが原因ではないように思えます。あ、あくまで私の推測ですけど……」

「確かにそうです。詳しいことは話せないですけど、俺は辭めざるを得なくなったんです。それがチームのためだと思ってたんです。自分が犠牲になってチームがなんとかなるなら……って。でも違ったんです。俺はチームのためじゃなくて、自分のためにチームを去ったんです。自分がなるべく苦しまない方を選んで、全部押し付けて逃げたんです。」

言葉がボロボロ出ていく。これ以上は……って思っても、この人の前だと全部掘り出してしまいそうだ。

「あなたは……優しいんですね。人って、知らない間に人を傷つけてしまうと思うんです。悪意はなくても、人は人を傷つけないと生きていけない生きだと思うんです。だけど、あなたはそれを理解しているじゃないですか。それだけで、あなたは十分その人たちを大切にできていますよ。その気持ちをそのまま伝えれば、その人たちに伝わると思います」

優しい聲音ながらも、その中には強い意志が込められていた気がした。この人の言葉には強い説得力がある。首を橫に振ることは絶対にできない。俺はその言葉に強く揺さぶられた。せめて名前でも聞いておこう。

「そうですよね。ありがとうございます。あなたの言葉で勇気が出ました。あの、名前を聞いてもいいですか?」

「な、名前……ですか?」

「はい」

「あ、當 絢幸あたり あやさと言います……」

「あやささんか、ならあやちゃんって呼んでいいですか?」

「ダ、ダメです!あっ…」

また大きい聲を出して申し訳なさそうに恥ずかしがる。うん、どう見てもかわいい。こんな人2年にいたか?それとも1年か?この長だし、1年なのだろう。よし、ここはちと先輩らしさを見せてやろうじゃないか。

「そういえば俺の名前言ってなかったな。俺は荒井 海七渡。今日は本當にありがとう。まさか初めましての後輩に勵まされるとは」

「私………3年です!」

「ほぇ?」

「荒井くんは私を後輩と勘違いしてるけど、私はあなたより先輩ですから」

「マジですか!」

「大マジです」

まじかよ!この人先輩だったのか!あれ?じゃあなんで今も敬語なんだ?

「先輩なのになんで敬語使うんですか?」

「家族以外とは常に敬語だから自然と出ちゃうんです。年下の人と喋るなんて久しぶりだから……」

「ははーん、さては先輩、ぼっちですね?」

「ち、違いますから!私は好きで一人でいるだけですから!別に一人が悲しいとか寂しいとかじたことないですから!」

「先輩、ちょっと落ち著いて」

「あっ……すいません」

「ほら、また敬語。まあ別にいいですよ。先輩が楽ならそれで。あ、そういえば、さっき何読んでたんですか?相當のめり込んでましたけど」

「ニーチェの哲學書を読んでました。ニーチェは、私が一番好きな偉人なんです……」

ほーう。こりゃまた偶然。またもやニーチェ好きと出會うとは。ニーチャー(ニーチェが好きな人)(勝手に命名)はニーチャー同士で引かれ合うのかもしれない。そんなスタンドみたいなのあるのか?

「俺も好きなんですよ、ニーチェ。家に本沢山ありますよ」

「本當ですか!あなたもニーチェの凄さが分かるんですね!初めて會えました!」

スゴい嬉しそうにするじゃんこの人。さっきとは打って変わって子供っぽくてかわいいなおい。

「今度、持ってきましょうか?先輩、絶対ハマると思いますよ」

「是非お願いします!この図書室ではあまり置かれてないので困ってんたんですよ!」

「なら、明日から持ってきますね。それじゃあ俺はこれで」

「あっ、荒井くん!」

「なんです?」

「い、いいえ、何でもありません。さようなら」

「はい、さようなら、先輩」

最後、何を言いかけたのかは分からなかったが、俺は気にせず図書室を後にした。これから職員室へ行って、退部屆を出さなくてはならない。もう覚悟は決まっている。あやちゃん先輩に勇気ももらった。あとは俺がやるだけ。

職員室の扉の前で深く息を吸う。よし、大丈夫。扉をノックし、中へる。

「失禮します。サッカー部2年の荒井です。松本先生はいらっしゃいますか?」

奧から『はーい』と返事が聞こえた。とりあえず外に出ようと言われたので、場所を変え、俺と先生は會議室で今を待つ。

「決めたのか」

「はい。やっぱり勉強が心配で。あそこには絶対かりたいんです。だから、辭めます」

「そうか。こんなことを言うのは卑怯かもしれんが、いい人材を失ったよ。勉強、頑張れよ!」

「はい、がんばります」

それで話は終わった。俺は、勉強に専念するためという理由で辭めたい、と顧問に相談をしていた。流石に本當のことを言う気にはなれなかった。とりあえずこれで一段落。なんかあっけなかったな。もっとずるずる引きずることになるかと思っていたが、杞憂だったみたいだ。さて、これからどうするかな。部活は辭めたから自由な時間が増えるし、バイトでもするか。勉強は毎日しずつやっていけば間に合うし。また生活が変わるな。亜実と知り合ってから、周りの環境も俺自も変わり続けている。今までみたいなつまらないルーティーン生活はもうない。なんか楽しみになってきている俺がいる。亜実を惚れさせるために俺は悪戦苦闘することになるだろう。でもそれもまた楽しみだ。よく考えたらこれから楽しみしかなくね?これがリア充なのか?そうなのか?!

自転車を取りに行って正門で待つ。この時間が永遠にじられるようで俺はそわそわしている。小説を読んでは時計をチラリ、また読み始めてはチラリの繰り返しである。あぁ〜!もうっ!誰だよザ•ワールド使ってんの!邪魔しないでくれる?!そんな現実逃避をふかしていると、こちらに手を振るのが一人。亜実だ。正味2時間ぐらいのはずなのに、3日ぐらい會えなかった覚だ。やばいよ〜。俺完全にオトされてるよ〜。まぁ今度は俺が亜実をオトす番だな。待っとけよショートカット王……!

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