《殺人狂の隣に》2,兆し

「こりゃあひどい」

なんて傷だ……。ひどい恨みでも持ってたのか?

「橘さん!見てくださいよ。この傷!ぐしゃぐしゃですよ…。どうしてこんなことができるんだか」

「ん…。」

よっしゃ今日は學校が休みだ。殺人事件の影響だろう。おっと遠野からメールだ。あいつ返信遅いんだよな…

《よう!橘!なんか悩みごとでもあんのか?》

《いや…俺らの街で殺人事件が起きただろ…。ちょっと心配で…》

淡々と1人メールを打つ。家には誰もいないし。だって、母親は小さい頃に死んで顔も覚えてない。父親は警察で家に帰れないことが多いから小さい頃は祖母と一緒にいたけど祖母も數年前なくなりほぼ獨り暮らし狀態。まあ気楽でいいんだけど。

ピロン

《そんなこと心配してんのか!?俺は道部だ!殺人鬼なんか吹っ飛ばせるわ!》

《相手は刃持ってるんだぞ!現実甘く見過ぎだろ》

ったく。遠野はこーいうとこ調子乗るから。ホント困るわ。殺人鬼…か。奏は大丈夫かな…。

《もう、7時だぜ。そろそろご飯食いたい。》

ピロン

《OK》

さーて。昨日の余ったカレーでも食べるか。どーせまずくもうまくもない味なんだろうけど。

ピンポーン

「はーい!」

ったく。誰だよ!遠野か?

ガチャ

「ん?父さん?帰ってきたのか?」

「殺人事件の影響で今は忙しい。しばらく帰れないと思う。機報だから詳しくは言えないんだが、気をつけろよ!」

そう言い殘して走って帰っていった。一人だと気楽でいいわ。さーてご飯食べるか。カレー…。うまくないな。奏のご飯食いたい。気楽だって言ったけどやっぱ寂しいな…。テレビでもみっか。

『〇〇市で起きた殺人事件……』

まーたこれか。ま、そうだよなぁ。ん?

『犯人は土地勘があると見られ、大きな刃を…』

マジカ!余計心配になってきた。

ピロン

遠野か?めんどいな!ほんとに…

《今からコンビニ言ってくるぜ!お前がほしいって言ってた、秋限定スナック菓子買ってきてやるわ!お前、外出るの怖いんだろ?金は返せよな!》

《あ…わかった。つか、お前はほんとにおせっかいだな!》

遠野のやつほんとに余計なお世話だな…まあいいやつなんだけど。

―その時から遠野は姿をけした―

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