《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.1 朝
「起きて、しーん。もう朝だよ」
顔まで布を被っていた僕は、呼びかける聲と同時に大きく揺れた。
僕の妹である茜あかねだろう。
しかし、可らしい妹が起こしに來てくれるのはありがたいが、僕は眠たいのだ。
ということで、二度寢に挑戦する。
「ほら、早く起きて!」
「ぐはっ!?」
布団の端が引っ張られ、僕はベットから転げ落ちた。
「あーあ、早く起きないからだよ」
落ちた衝撃に思わず目を覚ました僕は、いつものように、茜に尋ねる。
「時間は?」
「7時頃かな?」
相変わらず、適當だ。
そんな事を考えながら、僕は自分の枕元を手で探った。
「......あれ?」
「はい、眼鏡。いつも、落ちて踏みそうになるから先に取っておいたんだよ」
「......ああ、ありがと」
落としたのは、茜じゃなかったかという、僕の疑問はさておき、け取った眼鏡を僕は両耳にかけた。
先程までぼやけた視界がクリアになり、レンズ越しに妹の顔がくっきりと見える。
「今、朝ご飯が出來たから。後、早く降りて來いってさ」
「分かった。先に行っといてくれ」
「う、うん......」
曖昧な返事をした茜は、僕の部屋から出て行った。
「……まだ、慣れないな」
去り際にそう言い殘して......。
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