《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.3 記憶喪失

今から、ちょうど半年前の事。

俺が目を覚ますと、まず白い天井が目に付いた。

橫には、點滴が付いており俺は......いや、僕は、ここが病院の個室だという事を理解した。

何故こんなところにいるだろうかと、狀況を整理する為に、し思考を巡らせると、僕は、とてつもない違和にみまわれた。

まず、自分の名前が分からない。

そして、自分の年齢、職業、通っていたもしくは、通っている學校、好きなもの、嫌いなもの、そして、家族や、友人や、知り合い......自分に関わる全ての事が、全く思い出せない、というよりも、そんなものがあったのかが分からない。

僕は、自分が置かれている狀況に対して、そこまで危機を覚えていなかった。

ーー実がわかないからだろうか。

不幸中の幸いというべきか、言語能力の低下は、今の所見られない。

虛無や、違和じながら、僕はもう一度辺りを見回す。

一般的な病院の一室。僕は、し大きめのベットに座っており、點滴がある方の逆側には、窓があるのだが、大きな木で外の景は隠れており、場所を、確認する事が出來なかった。

仮に景が見えたとしても、場所なんて分からなかっただろうから、その點に関しては、特に問題はない。

ーーいや、それ自が問題なのか?

その後も、落ち著いて狀況を把握していると、一枚の紙が床に落ちていた。

僕は反的に、その紙を手にとった。

『しんへ、し飲みを買ってくるから、待ってて下さい。 茜より』

しん......というのは、恐らく僕の事だろうか。

イマイチしっくり來ず、思わず首を傾げる。

茜という人もやはり覚えがない。

やはりこれは、記憶喪失のようだな......。

なんて、呑気な事を推測していた僕だったが、他にも何かないのか、ベットから立ち上がって探してみることにした。

ーチリン。

その時、どこからか鈴のような音がした。

今思えば、その時から僕の人生は始まっていたのだと思う。

そして、鈴......。これが何を表していたのか、僕には知るよしも無いことだった。

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