《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.8 実は......

「実は僕は......」

ーガラガラガラ

僕が穂波にそう切り出した途端、教室のドアが開いた。

「おーい、親友。お前いつまで経っても來ないから心配したぞ」

そこには、先程帰った筈の僕の友達、神崎冬夜がいた。

「神崎?お前さっき帰ったんじゃなかったのか?」

「何言ってんだよ。一緒に帰る約束してただろ?」

「そうだったか?」

本當に覚えがないのだが......。

「そうだよ。.......ということで、伊藤ちゃん。中々雰囲気の良いところで悪いが、コイツは借りてくぜ」

「えっ、何言ってんの!?」

穂波が近くの機に手をつきながら、勢いよく立ち上がる。

「まぁ、まぁ、穂波ちゃん。落ち著いてって。ほら、信義行くぞ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ神崎。僕は穂波に話があるんだ」

すると、神崎がため息をつきながらこう言った。

「信義。お前時計見てないのか?」

「時計?」

僕は、先程見た教室に掛けてある時計を確認する。

と短針がピッタリ一直線になっている。

ーヤバイ

「悪い穂波。話はまた今度」

「えっ、ちょっと!」

「じゃあな!」

そして僕と神崎は、教室から出て行った。

「しん君……」

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