《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.11 鈴の
次の朝。僕はいつものように茜に起こされ、朝食をとり、學校へと出かけた。
學校では、いつも通りに授業をけ、神崎と晝食をとり、放課後になると、穂波と他のない會話をした。
そして、帰宅部の活を全うすべく、家へと帰宅する。
夕食を食べ、適當に時間を潰し、眠たくなったら睡眠をとる。
その繰り返し。
そんなじで一週間が経過した。
誰でもない、僕の経験した一週間。
そして語は、休日、日曜日へと移る。
「しーん、早く起きて。もう朝だよ」
茜の聲が遠くから聞こえる。
「......今日は日曜日だし......晝まで寢る」
僕なりに聲を出したつもりだったが、自分でも驚くほど、掠かすれた聲だった。
しかし、茜はちゃんと聞き取っていたようで、
「別にいいけど、しん。今日、穂波ちゃんと約束があったんじゃないの?」
(......HONAMI?)
僕はその名前を頭の中で連呼する。
(ほなみ......あっ、穂波......!!)
意識が覚醒した。
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「やべえ、すっかり忘れてた......。茜、今何時か分かるか?」
「えっと、九時十分」
穂波と約束してた時間は、午前十時。そして、待ち合わせの場所は、例の公園だ。歩いても一時間あれば間に合う。なら.......
「よし、今から走ればまだ間に合うな」
「走るのはいいけどりやすいから気をつけてね。はい、眼鏡」
「ありがと」
その後、僕は著替えを済ませ、窓のカーテンを開けた。
「......噓だろ」
町は一面雪景だった。
どこもかしこも雪だらけ。夜に降ったのだろう。
當然、僕の家も例外じゃない。屋は真っ白。庭に植えてある小さな木でさえ、雪が積もっている。
しかし、庭は真っ白.......ではなかった。
僕の家の庭に、足跡がある。
無論、僕以外の家族が先に歩いたと考えるのが普通だ。
しかし僕は、そうは思わなかった。
(もしかして......)
『ーチリン』
確かな証拠はない、ただの勘だ。でも、無視は出來ない。
僕は勢いよく部屋から飛び出し、玄関へと向かった。
「茜!悪いが朝ごはんは......」
「あっ!ちょっと待って、しん!」
急いで出かけようとする僕を茜が引き止める。
「はい、これ」
茜が、風呂敷で包んだ箱を渡してきた。
「これは?」
「朝ごはん要らないんでしょ。一応弁當作ったから持って行って」
「本當か!それは助かる」
「はい、はい。じゃあ、お兄ちゃん。気をつけてね」
「ああ、行ってきま......。茜、今僕の事なんて言った?」
「しん!さっさと行く!穂波ちゃん待ってるんでしょ!」 
「そうだな.......。あっ、その前に一つだけ。茜、今日外に出たか?」
「いや出てないよ。それがどうしたの?」
「何でもない。......行ってきます」
「......行ってらっしゃい」
「さてと、まずはこの足跡からだな」
足跡は一度庭を通り、道へと繋がっていた。
僕はその足跡を辿って行ったのだが......
「あっ......」
驚くほど呆気なく、僕の予想は的中した。
家から約百メートルといったところだろう。たまたま僕の部屋からは見えなかったが、もし別の窓から見たらすぐに気づいた筈だ。
本當、毎朝窓を眺めていたのはなんだっだろうか.......。
「久しぶりだな」
僕は目の前にいると思わしき人に、話しかけた。
というのは、あくまで僕の推測だ。
は、毎度妙なお面を付けている。
今つけているのは、羊の顔をしたお面だった。
顔を判別出來ないが、つきからと思われる。
ーチリン、チリン。
僕の問いかけに対し、は手に持っていた銀の鈴を鳴らし答える。
鈴には紐がついており、はその紐を手首にかけていた。
ーチリン、チリン。
「またその鈴、そしてその変わったお面。やっぱりあの時の人なんだな......。一つ聞かせてくれ。あの手紙• • • • .......あれは、一どういうことなんだ?」
ーチリン、チリン。
「どこに行く気だ!?」
が軽やかに駆け出す。
ーチリン、チリン。
正直、力には全く自信がないが、追いかけるしかない。
ーチリン、チリン。
そして僕は、彼の後を追った。
......というか、チリンチリンうるさい!
鈴のを追いかけて、し立った頃だ。
ー僕は転んだ。
雪でって、勢いよく転んだ。
もう、見っともないほど勢いよくだ。
痛いよりも、恥ずかしい。
それからしばらく、僕はじっとしていた。
転んだ痛みと、力が回復するのを待つためだ。
決して、恥ずかしさのあまり、うずくまっているわけではない。
だが、そんな悠長なことしていたら、はどこかに行ってしまうのかなんて、始めは思っていた僕だったが、どうやら違うようだ。
僕がじっとしていると、はじっと待っていたし、僕が走り出すと、は走り出した。
彼は、僕をどこかに連れて行きたいのだろうか。
そして、數十分が経過した。
「はあ、はあ」
下を向き、息を整えようと試みるが、力の限界だ。
ここがどこかも確認出來る余裕がない。
彼は、まだ、僕の前に立っているのだろうか。
額に汗が流れる。
『じゃあ、今度は私が逃げる番だね』
突然、頭に知らない聲が響いた。
「はあ、はあ、はあ」
(ヤバイ。このままじゃ......)
僕は、そのまま倒れた......いや、倒れる直前だった。
(誰かが支えてくれたのか?)
「しん君、どうしたの!?大丈夫?」
今度は耳馴染みのある聲だ。
『大丈夫、今度こそ戻ってくるよ......』
僕の意識は、そこで途切れた......。
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