《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.21 一言
ーチリン、チリン
音が近づく。
ーチリン、チリン、チリン
その音は僕の後ろで鳴り響いている。
「隨分と早いんだな」
ーチリン
彼は鈴で答えた。
「それで、いい加減教えてくれる気になったのか?後喋ってくれ」
僕は彼に背を向けて問いた。
ーチリン、チリン
(半年近く、喋らないんじゃ今更話すわけないか)
などと思っていると、後ろから鈴以外の音がした。
「またね」
「......!!」
その時僕は初めて、彼の聲を聞いた。
それが別れの言葉と分かり、後ろを振り返る。
すると彼は既に走り出していた。
(あの服.....。この學校の生徒なのか?)
それから僕は彼を追いかけた.....のだが、結果を言うと既に遅かった。
鼓の奧に鈴の音が殘るのをじ、ひとまず僕は家に帰ることにした。
この時の僕は、まだ知らない。
自分の攜帯の通知が、とんでもないことになっているということを......。
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