家に帰ると靴が三足あった。

(父さんと茜と......誰だ？)

初めは父さんのお客かと思ったが、子供用の靴だった。

「ただいま」

僕はとりあえず、帰宅の報告をする。

途端、家の中に足音が響き渡りそれは僕の目の前で止まった。

「しん！メール見てないでしょ！！」

「メール？」

メール四九件。著信九四件。

なんというか、數字が不気味だった。

「何かあったのか？」

メールの中を見るのが面倒なので、直接茜に尋ねてみる。

「ええと、とりあえずリビングに來てくれる......そしたら説明しやすくなると思う」

そして僕は言われるがまま、リビングへと向かった。

するとそこには、父さんと見覚えのあるが座っていた。

「あっ、信義さん。お帰りなさい」

見覚えのあるどころか數日前會った、木霊朱莉がそこにいた。

「......茜、どういうことかちゃんと説明してくれ」

「う、うん。ええと、まず木霊朱莉ちゃんは、私達の従兄弟いとこでして......」

「そうだったのか......ん？ちょっと待て」

「うぐっ」

「茜、確か朱莉のこと知らないって言ってたよな」

「言、言ってないよー」

「茜」

「ううう......、実はね朱莉ちゃんが従兄弟だってこと、私知ってたんだ」

「知ってた？どうして噓をついたんだ？」

「だって......」

突然、口篭る茜。

すると、茜の代返をするように木霊朱莉が口を挾んだ。

「僕が、黙っていてしいと言っていたんです。ここに下宿することは、前から決まってましたし」

「僕は聞いていないんだが......」

僕はわざとらしく父さんの方を向いた。

しかし、相変わらず無口のまま父さんはティーカップにれた飲みを飲んでいた。

(コーヒー？)

角度が悪く、ちょうど父さんの腕で隠れていたので何を飲んでいるかは分からないが、どうやら言うことがないという意図らしく、僕は再び茜の方へ向いた。

「まぁ、別に下宿することは構わないよ」

『構わないんだ』 

茜と朱莉が、同時に呟いた。

(朱莉には、聞きたいことが山程ある。だからこの機會は僕にとって、記憶の手がかりになるかもしれない)

「じゃあ、朱莉ちゃん。分からないことが多いと思うけれど、これからよろしくね」

「はい。茜さん、信義さん」

木霊朱莉は、僕の家に居候することになった。