《僕はまた、あの鈴の音を聞く》2章 No.5 忘れた......

僕を訪ねてきた、嬉野紬に話を聞くと、彼はどうやら、僕の知り合いらしい。

「それで、僕は君と學園生活を送っていたんだね?」

僕はそう訪ねた。

人の気持ちも忘れた僕は、そう聞いた。

「そうなんだよねー、本當無事そうで何よりだよ」

不思議なことに、嬉野紬は笑顔で會話をしてくる。

何かが引っかかる。

不思議......と言わざるを得ない。

「う、嬉野さん。今日はここで、一緒に夕食を食べませんか?」

何やら重い空気の中、茜がそう切り出す。

「ううん、もう帰らなくちゃいけないから......信義君の様子が見れて良かったよ」

そう言って、嬉野紬は帰っていった。

「......」

どんよりとした空気。

確か、僕が目覚めた時も、こんな空気

に包まれていた。

僕が目覚めたのは、今から半年前• • •、病院のベッドの上だった。

俗に言う記憶障害。それも、自己に関するものだ。

生活面では基本的に問題なく、ただ困しかなかった。

自己否定、アイデンティティの崩壊。

僕は、俺は、誰なんだ。

そんな日が、しばらく続いた。

ーーチリン、チリン。

そんな時、僕は鈴の音を聞くのだった。

    人が読んでいる<僕はまた、あの鈴の音を聞く>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください