《僕はまた、あの鈴の音を聞く》No.34 知った時知っている時知っていた時

「どうでした?」

病室から出たばかりの僕に、嬉野が訪ねてくる。

「嬉野、その.......他にも、あるんだよな。僕が見てないものが......」

「さぁ、どうでしょう」

嬉野は、はぐらかす。

「……學校でさ、僕が神崎と話している時、嬉野にはどう見えてた?」

「私には、見えない何かに向かって話しているように、見えてました」

「.......」

この時、心の奧底で、僕はあることに気づいてしまった。

しかし、愚かなことに僕がその事実と向き合うことになるのは、まだ先のことだ。

僕はその日の帰り、寄り道をすることにした。

主な理由はない。

ただ、家に帰りたくなかっただけだと思う。

そして、僕は出會ったのだ。

ーー鈴のに。

「久しぶりだな」

僕は、そう話しかける。

ーーチリン、チリン

「悪いが、今日は話したくないんだ。また今度......ん?」

立ち去ろうとする僕に、はある紙束を差し出した。

ーー手紙だ。

僕は一度、こんな手紙をこのからもらったことがある。

は、僕の個人報のようなものだけだった。

しかし、その文面の最後には、こう書いてあった。

ーーこの手紙には、続きがある。

そう、そしてきっと、これがそうなのだ。

意を決して、中を読む。

そして、僕は知ることになるのだ。

僕は、人生で何度も、記憶をなくしているということにーー。

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