《豆腐メンタル! 無敵さん》薬袋水無人傍若無人②
「しかしまぁ、いくらムカっ腹の立つ野郎が相手だろうとも、一方的に有利な狀況で殺すのは、俺の男としての筋すじに反するんでな。これを使うにゃ、俺にもそれなりのリスクがある。そいつぁ、この銃が中國製だってぇことだ。この黒星、暴発が多いことで有名でな。おめぇの運が強ければ、死ぬのは逆に俺だってことも有り得るわけだ。つまりは、てめぇの命を奪う為、俺も同様のリスクを負っているってぇことなのさ」
「へ、へぇ。そうなんですか……」
このイケメン、外見だけかと思ったら、中もかなりイケていた。殺されようとしているのも忘れ、一瞬ちょっと惚れてしまいそうになった自分がいる。お、おう。これが男に惚れるってやつなのか。戦國ものの時代小説なんか読むとこういうのが良く出てくるから憧れていたんだけど、まさかこんな形で葉うとは。でも、死と引き換えはイヤなんですよね。
それにしてもおかしい。俺の學園生活はラブコメになると確信していたはずなのに、今日はなんでハードボイルド劇畫みたいになってんの? こうなるとラブコメ神がしくなる。助けてくれよ、ラブコメ神。俺、そっちのが合ってるよぉ!
「さて、んじゃ、そろそろ死ぬか?」
イケメンが撃鉄を引き起こした。人差し指が引き金に添えられる。一応確認してみると、安全裝置も外れていた。これであとはちょいと指に力をれるだけ。ただそれだけで俺は死ぬ。え? マジで? 俺、そんな簡単に死んじゃうの?
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺、どうして殺されなきゃならないんだ? その引き金を引く前に、せめてそれくらいは教えてくれ」
これだけ説明されても、分かったのはその銃がどうも本くさいってことだけだ。肝心なところは何も教えてくれていない。一分一秒でも長くこの世に留まる為、俺はそのことをぶっちゃけた。もう敬語なんか使っている余裕もない。現実が無さ過ぎて意外とフツーに話してたけど、そろそろケツに火がついてきたじだ。なんか変な汗が出てきてるし。
「ああ? んなもん、てめぇのに聞いてみろよ」
「そんな無茶な。心當たりがないから聞いているんだ。俺、殺されるようなことはしていないはずなんだが」
「はぁ? すっとぼけやがって。てめぇ、無敵さんに何をした?」
「何って……」
聞かれたところで返事に困る。何をしたとか言うよりも、何かされた方だよね、俺って。出會って三日。たった三日でありながら、俺の壽命を著しく削っているのが無敵さんだと思うんだけど。今まさに命の燈を消されんとしているのも、やっぱり無敵さんのせいだよね?
「ほらみやがれ。言えないようなことをしたってぇことだろが! 無敵さんが純真無垢なのをいいことに、言葉巧みに家にまで上がり込み……、てめぇは……、てめぇはっ!」
「あ、ええっ? いや、ちょっとちょっと。どんな想像してんの、お前? それ、本人に直接確かめたわけじゃないんだろ? あと、無敵さんが純真無垢って。お前、無敵さんとの付き合いってどれくらいあるんだよ?」
こいつは壯絶な誤解をしている。そう思った俺は、ついそんな質問をしたのだが。
「どれくらい? もう十年以上の付き合いだぜ! 俺が無敵さんについて知らないことなど、何も無いっ!」
「マジで言ってんのかよ、お前!」
びっくりした。そう、びっくり仰天とはこんな場面にこそ當てはまる。そんだけ付き合いがあるってのに、あいつの変態っぷりを知らないなんて! てゆーか、こいつホントに何なんだ? 仮にだけど、本當に俺が無敵さんに何かいかがわしいことをしたとして、殺すまで怒るってどういうこと? 素直に考えれば、こいつは無敵さんが好きってことなんだろうけど、これはかなり異常だろ! 異常なやつをするやつは、やっぱり異常だってことか。それなら納得も出來るかも。
「ああん? マジに決まってんだろが。何を驚いてやがんだか。お前、なんかムカつくな。もういい。もう死ね。すぐ死ね。今死にやがれ」
「うええ? 待て待て! お前、絶対に誤解してるから!」
「誤解なんかしてねぇよ」
何斷言してやがる! てかこいつ、引き金に力れてる! ホントに撃つ気だ! な、なんとかしないとマジで死ぬ! 何かないか、何か! こいつを思い止まらせる何かが! ……あっ!
「お、おい。俺を撃つにしても、ここじゃまずいぞ」
「あん? なんで?」
「気づいていないのか? このエントランス、防犯カメラがあるんだぞ。俺がここで死んでたら、警察が真っ先に調べるのってこのカメラの映像だ。お前、ソッコーで捕まるぞ」
こ、これでどうだ。後先ちゃんと考えるなら、これで止めないはずがない。
「はっ。んなもん、全然関係ねーよ」
「えっ? ええっ? な、なんでだよ?」
「だってそのカメラ、俺が付けたヤツだもん」
「はぁぁぁぁ!?」
なんじゃそりゃあ! 意味が分からん!
「意外か? 俺はな、無敵さんを守る為にいるんだぜ。怪しい奴が潛り込んだりしていないか、監視するのが當然だろ? ったく、犀田のじーさんめ。警備會社に払う金をケチりやがって」
犀田? ん? どっかで聞いたような名だ。でも、それより。
「守る? お前、一何者なんだよ? もしかしてストーカーか?」
はわわわわ。萬策盡きた。一つしかなかったけど。くっそー。せめてこれぐらいは言わないと気が済まん。
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