《豆腐メンタル! 無敵さん》薬袋水無人傍若無人③
「お前に教えてやる義理はねぇ。いいから死んどけ」
これ、ヤバい。ゲロヤバ(死語)だぁ!
カチッ。
げっ。こ、こんな時に〈ブレイン・バースト〉來ちゃったよ!
この狀況だと、発された弾丸が、自分の額に食い込んで、ゆっくりと脳みそを貫通し、後ろの壁にめり込むところまで認識出來るに違いないぞ! ほげぇぇぇ! そんなん、いくらなんでも酷すぎる! 死ぬなら痛みなんかじる間も無く死にたかったぁぁぁ!
人は死に様を選べない。いつ、どんな風に死ぬかなんて、その時が來ないと分からない。そんな當たり前な事実がやけに殘酷に思えた時、スローモーションになったイケメン野郎の人差し指が、引き金をフルに引き切った。
額からわずか數センチのところにあった黒星のマズルから、蛇が舌を出したような、真っ赤な炎が飛び出した。同時に広がる音がのんびりと鼓を揺らし、炎までがやけに鮮明に見えている。スーパースローで撮影された畫を見たことがあるけど、まさしくそんなじだ。今日の俺は調子がいいらしく、今なら牛の王冠だってはっきりと見えるだろう。なんの嫌がらせだよ、神様。そう呪ってみるも、吐き出されたものは戻らない。こんな時でも目を閉じない自分にかなり驚いちゃったりする時間までありやがる。でも、そういえば走馬燈は出てこないな。こんだけ時間があると、返ってそういうのは無いのかも。ちょっと殘念な気もするな。
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銃弾はどこだろう? もう俺の額に食い込んだ頃だろうか? もしそうなら、そろそろ飛び散る鮮が見えてくるに違いない。それで、終わりだ。痛いだろうなぁ。嫌だなぁ。
「……?」
とか考えているうちに、〈ブレイン・バースト〉は解除されていた。これが分かるってことは、俺はまだ生きているということか。弾、外れた? アホな。この距離で外れるわけがない。暴発だってしていないのは確認済み。火薬の匂いだって漂ってる。て、ことは……?
「ふぅん。まさか、目も閉じずにいられるとはな」
煙を立ち昇らせた銃を俺に向けたまま、イケメン野郎が呟いた。口元がにやりと歪んだ。
「てめぇ、見どころあるじゃねぇか」
吊り上がった口の端から、白い歯がきらりと覗く。このイケメン、どうやら笑っているようだ。なんで? だが、これだけは分かった。
「モデルガン、だったのかよ……」
「そういうこった」
力が抜けた。全から、どっと汗が噴き出した。
「ふふん。見事に騙されてくれやがった。ま、モデルガンを本の銃だと信じ込ませる俺の演技力と説得力が、それだけ凄いってことだがな」
「は、はは。ちくしょ。悔しいけど、何も言い返せない、ぜ」
ふっとマズルを吹くイケメンに、その場にへたり込んだ俺が言えたことはそれだけだ。
やられた。噓もリアリティをまぶすことで真実に見えてくる。これ、俺が無敵さんを説得しようとした時に、自分でやってた事なのに。いざ自分がやられてみると、なかなか見抜けないもんなんだな。でも、今回は相手を褒めるべきだろう。いかにも銃を持っていてもおかしくないような風と雰囲気を纏った男なんだから、騙されても無理ないだろ。にしても、何のためにこんなことしたんだよ、この野郎。
「ほらよ。忘れもん、返しとくぜ」
イケメンが俺に向かって何かを放った。俺はぱしっと華麗にキャッチ。それは。
「あ。これ、俺のスマホか」
そうだ。俺、スマホ無いままだった。無くても別に困らないから忘れてた。……これ、かなり寂しいな。このままショップに持ってって、解約してもいいレベル。それで浮いた毎月の攜帯代で、薄い本の定期購読した方が有意義だとか本気で思えるくらい。よし、後で泣こう。トイレにこもって。
「ああ。お前がこの前、無敵さんちに落としていった攜帯だ」
「なんでお前が?」
「無敵さんはてめぇの事を『ただのクラスメイトです』って言うんだが、素直に信じられなくてな。『じゃあそれを渡してくれ。無敵さんの電話番號やメアドが登録されていないなら信じるから』つって渡されたのを、俺がそのまま持ち逃げした」
「おいおい……」
「ま、いいじゃねぇか。最後には、こうしてちゃんと返すんだから。もしもやっぱり無敵さんとおかしな関係だったりしたら、そのままドブにでも捨てているところだしよ」
「ん? て、ことは?」
「そういうことだ。そのスマホ、通話やメールの履歴を全部見させてもらってる。あと、登録しているサイト、特にSNSについては重點的に調べさせてもらったが、結果はシロだと判斷したぜ」
「は。そりゃ、どうも」
イケメンが差し出してきた手を取って立ち上がる。冷靜なフリをしてみたものの、心はもうドキドキだ。べ、別にイケメンの手を握ったからとかじゃあないんだからね。そんなんで喜ぶのは後藤田だけなんだもん。
心拍數が上がっているのは登録サイトまで見られたからだ。だってさ、ほら、やっぱり俺だって男の子であるわけで。當然、ちょっとエロいサイトなんかもブックマークとかしたりする。SNSは、多分、特に問題ない。俺って基本ロム専だし、LINEももうれてない。あってもスタンドアローンみたいになってたからな。コミュニティアプリなのにスタンドアローン化してるとか、結構奇跡的な使い方してたと思うけどな、今となっては。
それにしても、俺、一応ロックしておいたはずなんだけど。こいつ、もしかしてハッカーか? アノニマスメンバーとかだったりしたらどうしよう。何も隠せる気がしないぞ。
「そのスマホを分析して分かったのは、てめぇが俺には理解出來ない趣味してるってことだけだ。最近の若いヤツって変だよなぁ。俺が高校生くらいの時は、っていえば気があるほど良かったもんなんだがよ。どうしてそう、モロにガキ、みたいなのがいいのかね? そりゃあ、俺だって可いなぁくらいは思うけど、そんだけの話だ。ガン見したり畫像漁ったりまではしないしな。そうそう、そういうことまでするヤツって、確かロリコンとかペドフィリアとか」
「うおわあぁぁぁぁ! おま、それ以上は何も言うなよぉぉぉぉぉ!」
ほげぇぇぇ! やっぱりその辺も見られてるぅぅぅ! もう、そういうのってプライバシーの侵害なんだから! 親にだって知られたくないことなんだからぁ!
そう。”でる”という目的において、俺はロリコンであると認めよう。だがしかし、それは二次元限定でのお話だ。三次元では、俺はちゃあんと的に十分発達したに惹かれている。留守先生とか保健室の先生とか、無敵さんにベビーカーをぶん投げられたなんか経産婦だ。……俺、改めて考えるとちょっと守備範囲広いかも知れない。待てよ。留守先生なんか大人と子供が同居しているような存在だから、あの人が一人いればいいわけか。決まったな。もう結婚するしかない。
と、やかな決意を固めている俺に、イケメンがぐっと顔を近づけた。親父のつけていたブルガリに良く似た大人の香りが、俺の鼻腔をくすぐった。
そして、思わぬことを言い出した。
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