《お悩み相談部!》六章アクシデント

十月三十日、ハロウィンパーティ當日。

教室に著くと道化師の裝いをした海道の姿があった。ちなみに俺はドラキュラの裝いだ。

「何かあったのか?」

近づくと海道の背後に隠れるように栗の髪が見え隠れしている。

「すまん、在原。若菜ちゃんが……」

海道が視線を後ろへ向ける。その視線を追うと海道に隠れるように後ろにマスクで口を覆ったメイド姿の雙葉の姿があった。

「ごめんね……。せっかく練習してきたのに風邪を引いちゃうなんて、私ってばほんとドジだよね」

髪の先端がうなだれるようにまがっている。

「呼び出したのは代わりのボーカルを探してしいんだが、當てはありそうか?」

海道が頭を下げて頼み込む。

「どうだろうな……」

俺は首を傾げる。

部員の誰かに頼むにしても人前でそれもぶっつけ本番で歌うなんて無理がある。練習もなしに歌うなど素人には難し過ぎる。それに、時間も殘っていない。

教室の時計を確認すると開會式開始までは殘り二十分を過ぎていた。

海道のドラムの搬を考えるとけるのは俺だけだろう。調が優れない雙葉には本番まで休んでもらう必要もあるし……。

「だ、大丈夫……だよ。私がなんとか歌うから……」

雙葉が強がってみせるが、

「ダメだよ若菜ちゃん。安靜にしてないと」

海道に宥められる。

ギター兼、ボーカルの雙葉がこれではどうしようもない。せめてしでも歌えるやつが必要だ。

だが、ここで考えていてもしかたない。とりあえず準備だけは済ませておかなければ。今後の予定に支障が出る。

「とりあえず準備だけはしておこう。あとは俺がなんとかしてみせる」

握った拳に力を込める。

みんなのためにも失敗はできない。このライブは絶対に功させなければならない。様々な思いが詰まっているから。

十八時。無慈悲にもハロウィンパーティが始まった。

俺たちは一番最後の四番目。

ステージ上では魔の仮裝をした姫熊先輩が開會の挨拶を行なっている。

「みんなー!楽しんでるかなー!」

「「うおーーーーっ!」」

聲に対する生徒の反応は様々だ。中でも姫熊先輩の格好に目を奪われている男が多い。そりゃそうだわな。そして、始めの出しが始まった。

時間がどんどん経過していく。數分が一瞬のことのようにじられた。

ステージの下では緋野や晝間夜が心配そうに見つめている。

「在原くん。ライブの方は大丈夫?」

ステージから降りてきた姫熊先輩が心配そうに顔を覗き込んでくる。

「いえ、お世辭にも大丈夫とは……」

心配をかけないように無理に笑顔を作ってみせる。

あれからライブの準備は済ませたが未だにボーカルは見つかっていない。

「ごめんね。お姉さん力になれなくて」

姫熊先輩が肩を落とす。

「いえ、ありがとうございます」

緋野たちにも一応聞いてはみたがやはり返事はノーだった。

そんな俺たちの橫のステージ上では二人組のゴスロリファッションにを包んだの子がバンドを組んで楽しげに歌っている。

ん?ゴスロリ?

その景になにやら既近がある。

「そ、そうか!」

急いで姫熊先輩に振り返る。

「すいません、し時間を稼いでくれませんか?海道を使っても構いません」

「げっ、なんでおれなんだよ」

海道が橫で嫌そうな顔を向けるが関係ない。この狀況を打破できるかもしれない可能を見つけたのだから。

ちらと時計を確認する。この時間ならまだ校にいるはずだ。急いでLIMEを起してメッセージを送る。

「まだ、校にいるか?」

送信後すぐに既読が付けられる。

『はい、まだ教室にいますけど……どうしたんですか?』 

俺はその返信に『し待ってろ』とだけ送りつけて急いで教室へと向かう。振り向きざまに海道が誰に會うのか聞いてきたが、行き先だけ告げて俺は駆け出した。

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