《學園一のお嬢様が風呂無しボロアパートに引越してきたんだが》第二十三話 私の獲に手を出すのは百萬年早い……ですわっ!
テーブルには鉄板料理やらスイーツやらが所狹しと並び、勉強會の『べ』の字もじさせない雰囲気の今。香ばしく焼きあがった牛を口いっぱいに頬張る志賀郷を俺は橫目でぼんやりと見ていた。
それにしても味そうに食べるよなあ。育ちの良いお嬢様というだけあってナイフとフォークの使い方は完璧だし、食に対する敬意を存分にじる。この點については俺も見習うべきだろう。
「……そんなじっと見つめられても私のおはあげませんわよ」
「いや、別に食いたいわけじゃないって」
志賀郷は牛を守るように両手で覆いながらこちらを睨んでくる。まるで小の威嚇のような態度だな。面白そうなのでしからかってみようと思い、ガードされた牛へ手をばすと志賀郷は「シャーッ!」と謎の鳴き聲を発してきた。なにこの可い生き。
「私の獲に手を出すのは百萬年早いですわ」
「々スケールでかすぎだろ。それサ○ゼの格安ステーキだぞ」
なんてやりとりが繰り広げられた訳だが……。
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五分後。
志賀郷が必死に守っていたはずの鉄板料理が何故か俺の手元にやって來ていた。しかし牛は既に跡形もなく消えていた。殘っているのは緑の粒が々、角切りにされた橙のが二つ。
「……お前の獲に手を出すのはまだ早かったんじゃないのか?」
「それとこれとは別ですわ」
完全な手のひら返しだった。どうやら志賀郷はグリンピースと人參が嫌いなようで、俺に後始末をしてくれと頼んできたのだ。まったく、先程の食への敬意はどこに行ったんだか。殘された野菜達が泣いてしまうぞ。
俺はやれやれと溜め息をつきながら皿の上に乗っていたフォークを手に取って、野菜の山を口に運ぶ。味は普通に味かった。
一口、二口と食べたところで、テーブルを挾んだ先に座る四谷と目が合った。彼は不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「さーくんと咲月ちゃんって……。間接キスとか普通にしちゃうくらいの関係だったの……?」
「…………え?」
四谷は一何を言っているんだ……? いきなり間接キスなんて突拍子もないことを……なんて思ったのだが、自分の右手に握るフォークを見た瞬間、全に電流が走るような覚に陥った。
このフォーク……志賀郷が使ってたやつじゃねーか!!
全く気付かなかったが、俺は志賀郷と間接キスをしてしまったのだ。なんてことだ……。學園一とも噂されるお嬢様のにれていたが俺の口に……って考えたら余計に恥ずかしくなってきたぞ。
「な、なななな! 違いますっ! 狹山くんはただのお隣さんですし、キ、キキキキスだなんて絶対にしませんわっ!」
また、志賀郷も指摘されるまで気付いていなかったのか、俺以上に揺していた。そういえば志賀郷ってキスとかそっち系の耐がほとんど無かったんだよな。當事者ではないのにこの慌てっぷりだし。
「わ、悪かったな志賀郷。嫌な思いさせて」
「いえ、狹山くんが謝る必要はありませんわ。こちらこそ汚いを渡してしまって申し訳ないです……」
「いやいや、志賀郷の口付けフォークなんて価値が黃金並だろ。俺なんかが手にしてはいけない代だ」
俺は一何を言っているんだ……? 志賀郷の揺に釣られたのか、自分でもよく分からない発言をしてるぞ。
「さ、狹山くん……! いきなりなんて事言うんですかっ!」
志賀郷は顔を真っ赤にして俯いてしまった。どうやら怒ってるみたいだな。突然セクハラまがいの発言をしたから仕方ないと思うけど。
自を反省しつつ、この重たい空気をどう打破しようか模索していると、またしても四谷と目が合った。今度は気だるそうな顔でこちらを見ていた。
「……なんだよ」
「いや別に……。お二人のアツアツぶりを見せられると虛しくなるなあって思っただけだよ」
「なっ…………はぁ!?」
くそぅ、この立しない會話のドッジボールはなんなんだ。険悪なムードだというのに四谷は火に油を注ぐつもりかよ。
ドンッ
剎那、俺の隣の奴志賀郷は頭をテーブルに打ち付けていた。八方神のお嬢様もとうとう怒り心頭か……?
「あらら、咲月ちゃんったら照れ過ぎてオーバーヒートしちゃったのかな」
「だからお前は何を言ってるんだ」
もしかしたら俺がこの空気を理解していないのだろうか。混が混を呼び、思考回路は既にパンク寸前だ。
それから暫くして志賀郷が正気を取り戻して事なきを得たのだが、本題である勉強會は結局ほとんどできなかったのだった。
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