《栴檀禮賛》彼との最初の出會い
彼と出會ったのは二年前の事だ。僕は彼と初めて出會った瞬間、僕の脳に電撃が走ったのを覚えている。
真夏のあっっつい日なのにも関わらず、長袖を著て萌え袖にし、マスクをつけて顔がよく見えないようにし、そしてなんと、布を膝にかけていたのだ。
まぁ一応、部屋の冷房は効いていたのだが、その冷房は別に効き過ぎという訳でもなく、至って適溫だと僕はじていた。
僕と彼が初めて出會った場所、それは中學二年生の夏の、陸上記録會の日だ。
僕はその日、短距離走の走者として走る予定だったのだが、アップ中に不覚にも捻挫をし、保健室へと擔ぎ込まれた。
その時保健室にいたのが彼だ。その陸上記録會は僕の通っていた中學のグラウンドで行われ、普通に他校の生徒たちも出りしていた。彼も他校の生徒だった。
もちろん選手だって僕の中學の選手のみならず、他校の選手だって出場していた。
僕が初めて違和を覚えたのは、彼がどう見ても選手では無かった事だ。
この日、この保健室を使うのなんて、怪我した選手ぐらいなものだろうと勝手に決めつけていた僕は、何故彼がこのような季節外れの格好で居るか分からなかった。
「すみません......捻挫しちゃって。」
「どれ......見せて。」
僕は保健室の先生に処置してもらってる間も、異様な存在を放つ彼に気がいっていた。
「この怪我じゃ記録會は無理ね。どうする? ここで休んでいく?」
「そうします......」
僕は彼の橫に座った。すると僕は面食らうことになった。なんと彼は、この日、この場所で勉強していたのだ。
実際は勉強と言えるが分からないが、當時の僕からしてみれば、何やら難しそうな本を睨みつけて、何かをノートに書き込む行為は、勉強以外の何にも見えなかった。
「勉強してるんですか......?」
僕は訪ねた。しかし、彼から返答は無かった......いやホントは5分後にあった。しかし、この時の僕は無視されたようにじた。
5分後、いきなり彼は口を開いた。
「そうよ。勉強してるの。あと、勉強中は集中してるから返答が遅れるわ。決して無視してるワケじゃないから。ゴメンなさいね。」
「な、なるほど......どこの中學ですか?」
5分後。
「西よ。生徒全員で応援なんて馬鹿げてる。私が溫度変化に弱いの知ってるのに。」
その後、この奇妙な5分インターバル會話は夕方まで続いた。
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