《栴檀禮賛》天才が一つ申す

「先輩、よく考えてください。先輩達が練習參加OKの條件として出された『欠點者向け再テスト』の合格......再テストまで約1ヶ月。その1ヶ月を頑張れない人間が、甲子園出場まで頑張れると思いますか?」

「あぁん??」

「先輩、落ち著いてよく考えてください。この1ヶ月......もしこの『たった1ヶ月』を頑張ったなら、先輩は恐らくけた再テストがかっても落ちても『俺は1ヶ月頑張れたんだ』と考えられるハズです。

でも、もし仮にこの『たった1ヶ月』すら頑張れなかったなら、先輩は恐らくけた再テストがかっても落ちても『俺は1ヶ月も頑張れなかった』と考えるハズ。

要は、向かうべき目標の結果では無く、過程こそ大事なんです。勿論、テキストの模範解答を機械的に丸暗記すれば、先輩が欠點になった科目はかるかもしれない。

でもそれでは意味が無いんです。それはまた『誤魔化してる』だけ。『分かったつもり』で終わらせてるだけ。

その誤魔化しを、先輩は甲子園への練習の時も、卒業して會社に就職した後も、これから先ずっとずっと続けていくおつもりですか?」

「......」

「確かに、學校で勉強する事は社會に行ってから使わないかもしれない。先輩が言うように勉強するなんて意味が無いのかも知れない。

でも、學校で勉強するという行為の過程にある『事を考える』というのは、社會に行ってからも充分使うし、その為の訓練でもあるのです。だからそういった面では、こういう勉強も案外役に立つんですよ?」

アミは僕が回収したテキストの山から、ある一つのテキストを拾い上げ、ソレをしパラパラとめくってみた。

「例えばアキバ先輩用に作ったこのテキスト。アキバ先輩は最初、數學がダメだとアンケートで回答していました。そこで1回目の補講にて等差數列を試しに出してみたのですが、分からなかったようで、何が分からないのか書き出して下さってました。

そこで私が、のカップ數を例に『のカップ數はAカップが初項10で、大きくなる度に公差2.5の等差數列になってるんだよ』とイメージしやすい例を手がかりとして與えてみた所、なんと今回は等差數列の問題アッサリ解けてしまっています。

別に巫山戯てなどいなくて、これは『數字とアルファベットを並べただけ』という取っ付きにくさを、私なりに取っ払ってみただけです。

でもアキバ先輩はそれによって、ニガテをちゃんと克服している。ケンジ先輩も、アキバ先輩みたいにニガテに勝ちたくは無いですか?」

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