《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》5/31(日) 蘆屋七瀬
練習が終わって著替えて、山に到著するころには午後2時を回っていた。
いちばん日差しが強い時間だ。慣れないリレー練習で七瀬はかなりバテていたのに、山登りもしたので力も限界にきているのだろう。とりあえず木に連れて行くが、つらそうだった。
「今日はやめとくか」
「……し休んだら大丈夫だし」
「無理するなよ。俺先に行ってくるわ」
シャベルを擔いで立ち上がると、七瀬が手をばして俺のジャージをつかんだ。
「ちょ、パンツ! 見える!」
「あ、ごめん!」
ぱっと手が離れる。
「なに?」
「あ、あのさ、お、お弁當あるんだけど……食べない?」
彼は下を向いてトートバッグを手繰り寄せる。そこから重箱が出てきた。
「え、マジで? これ手作り? お母さんの?」
「あたしが作ったに決まってるでしょ! さっきまで虎蛇の冷蔵庫にれてたし、たぶん腐ってないからっ」
そう言いながら、弁當を包んでいた風呂敷の結び目をほどいている。
その手がし震えているのは見ない振りをした。
なんていうか。
まじでか!
の子の手作り弁當って、それだけでうれしいんですけど!
「もし腐ってたら食べなく」
「わーい! すげー!!」
なにこれうれしすぎるんですけど!!!!!!!
小さなレジャーシートの上に腰を下ろす。二人の間に置かれた重箱が開かれると、さらにしてしまった。
「え、料理できるの?」
「うん、まあ好きだから」
ゆかりおにぎりと高菜のおにぎりが鮮やかに並び、卵焼き、ブロッコリー、から揚げ、煮などのおかずがバランスよく配置されていた。
「超やばい。俺と結婚してくださいっ!」
「なによそれ、バカ!」
烏兎うと(眉間)と霞かすみ(こめかみ)にパンチが飛んできた。プロポーズすると確実に急所狙ってくる系子だったか……。
「人に作るのなんて初めてで……頑張ったんだから茶化さないでよ。なっちゃんのこと、友だちとして大事に思ってるってこと、よく噛み締めなよ」
うわめっちゃ“友だち”を強調されてるっ。フラグ立たさねえつもりね。
「かみ締めるよサンキュ。ほら七瀬も箸持って」
いつものクセで世話を焼いてはっとする。七瀬もきょとんとしていた。
いかん、強行しよう。
「いただきまーす!」
二人だけしかいない山の中で気がまったくない話をしながら、俺たちは晝休憩を取ったのだった。
俺……チャラいな。
┛┛┛
ゴツン ゴツン
サク サク サク
作業が始まってすぐ、疑問に思っていたことを聞く。
「そういえば、なにを見つければいいの?」
「知らなかったの? 歯だよ。歯の化石」
「歯か。どれくらいの大きさ?」
「10センチくらいじゃないかな」
「……いまいちわかんないな」
「なっちゃんのなっちゃんくらいじゃんー?」
「ああ、なるほどな。……って、もっとあるわバカー!!!!」
振り返って抗議する。(頑張ってるときの話だけど言わなかった)
七瀬は背びし、やれやれというポーズをして見せた。
「やだあ……僕もうお婿にいけないよう……」
作業に戻ったが、半泣きである。
しかし、結構でかい歯なんだなあ。本も大きいのだろう。
一度博館にそのほかのパーツを見に行ったほうがイメージが沸くかもしれない。
でもああいうところって、たいてい夕方4時5時で閉館してるよな。
「あそだ、とりあえずなんでもいいから、見つけたものはこの袋にれといて!」
小さな麻袋をけ取る。
「お、おう」
「売れるものは売るから!」
「いやあ! がめつー!!」
この子、そういうところあるよっ!!
「それに……おじいちゃんみたいに、あたしにとってこれもいい思い出にしたいし」
しはにかみながら。
「や、なっちゃんもいるから“あたしたち”、かな! ははは、なーんて」
そんな顔をされると、がぜん頑張ろうと思っちゃうのは男のサガなのか。
この日も日が暮れるまで堀りまくった。
気合いとは裏腹に、手応えをじられることはなかった。
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