《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》6/2(火) 葛西詩織③
虎蛇のドアを開けると、會長と音和が目を閉じて向かい合っているところだった。
「よし、今どうなってる?」
「あたしがバトンを渡して日野さんが走った。日野さん超はやくてもう蘆屋さんにバトン渡してる」
「そう。生徒會は?」
「『稅〜』ってきながら緑のを垂れ流し、高速ほふく前進で蘆屋さんの後ろを追いかけてる」
「ええ!? あたしゾンビと走るのやだよ!?」
「…………なにやってんの?」
ぱっと二人が目を開き、り口で立ちすくむ俺を見た。
「穂積とイメトレをしていたのだけれど?」
ポーカーフェイスを崩さない會長。音和と遊んでいたらしい。
窓際の七瀬は首を揺らして、俺の後ろを見ようとした。
「おかえりー。あれ、しおりん先輩は?」
「ひとりで戻らされたんだよ……」
口を尖らせて、會長のもとに行く。
「どうした?」
「會長。育館、とれましたよ」
「……え?」
「つーわけで、お前ら全員著替えて育館に來い。練習だ」
ぽかんとしている音和と七瀬に伝えた。
すると素早く音和が席を立った。自分のかばんを覗き込み、著を引っ張り出す。さすが音和。素直で従順で大変よろしいな。
「チュン太」
「なに?」
「いつまでそこにいる気?」
「……あ」
音和はすでに上著のボタンに手をかけていた。
會長と七瀬の明らかに軽蔑している視線が刺さる……。
俺が慌てている間に、シャツをバサッと上からぎ、頭を引き抜いた狀態で音和がこの空気に気づく。
「???」
「じゃ、じゃあ僕、育館で待つんでっ!!!」
それだけ伝えてると、俺は急いで虎蛇を出て扉を閉めた。そして著替えるために育館へと走る。脳裏に浮かぶピンクの下著は、どうにか消そうと努力はした。
┛┛┛
育館のコートは全て埋まっていたが、地下のダンスクラブのコートが空いていて、俺たちはそこに集まった。
育館のフロアよりは若干小さいがダッシュや筋トレすることにはまったく問題ない。
「すご。さすが知ちゃん!」
著の音和が俺の背中に抱きついてくる。それを丁寧に引っぺがしながら、後から來た會長と七瀬を手招きした。
「まさかここが空いているとは不覚だったな。ありがとうチュン太」
「あ、いや。お禮なら俺じゃなくて葛西先輩に言ってよ」
「詩織に?」
「うん。先輩が見つけて運部の先生に掛け合って、使用許可をとってくれたんだ」
ちょうど奧のトイレから葛西先輩が出てきた。みんなが集まっているのに気づいて丁寧に會釈をくれる。その奧ゆかしさが先輩らしかった。
「よし、みんなうちの有能マネージャーに謝しよう! せーのっ!」
「詩織、助かったよありがとう」
「しおりんせんぱーい、ナイスッ!」
「あ、あ、ありがとござますっ」
各々でお禮を口にする俺たちに先輩は一瞬驚いた顔をしたが、にっこりと笑って手を振ってくれた。そしてハンカチを敷いて、フロアに座り込む。
「じゃあ今日はいちごがいないから音和と會長で組んでもらっていい? 俺は七瀬の上げの監視をするわ」
「……この悪魔」
俺たちは自主練のため、それぞれ散った。
橫目で葛西先輩を見る。もう迷いは吹っ切れたんじゃないかと期待して。
でもその期待にはまだ不安が殘った。葛西先輩は複雑そうな表でコートを眺めていたから。
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