《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》10/25(日) 日野 苺⑤
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何気ない會話をわしながら歩いていると、気持ちも落ち著いてきた。
いちごもキョロキョロしながら、単純に散歩を楽しんでいるようだった。
パレードは見えずとも、音は聞こえる。
曲に合わせて歩きながら、いちごがふと思い出したように聞いてきた。
「ねえ、そういえば知実くん、最近になってあたしの青春を駆け足で葉えてくれている気もするけど、どうして?」
「ん? ああ『青春回収ごっこ』? 期間限定にしようと思って詰め込んではいるかな。今まで分の回収は手伝うけど、そのあとは自分で作っていけよー」
「そういうことかぁ〜」
「まだやりたいことがあれば、なんでも付き合うしさ」
パーンと、お城の向こう側で花火が開いた。俺たちは歩きながら、それを見上げる。
「青春、ね……。恥ずかしいけどあたし、こうやって、男の子とデートってしたことないんだな。知実くんはあったりする?」
「え? ああ〜……」
口ごもりつつ考える。
凜々姉との遊園地もデートっていうのかな?
ほたるとも遠出したし……。
ああでも、今年はいろんな子と二人で出かけたな。
「そっか、きっとあるよね。みんな普通のこと、なんだよね」
隣で寂しそうにいちごがつぶやく。
「あ、いや、手を繋いでってなると……1回しか……ていうか、あれも事があってですね……」
「え、事? うん? どういうこと?」
いちご、急に詰めてきたな!?
「えっと……夏にさ、中學生のの子と二人で、蛍を見に遠出したんだ。そこ山だし、危険かなと思って手をつないであげようと思ったんだけど、『遠慮したくないから1日だけでもカレカノになりましょう!』ってキッパリ言われて」
「ひゃー……最近の子ってすごい。でもその子とはその日だけだったの?」
「うん。もう、手が屆かないから……」
そうか、ほたると出かけてからもう2カ月も経つんだよな……。
まだ、ついこの前のような覚がある。
彼の時間が止まってからも、俺は自分の人生を歩いて、普通に笑って過ごすことにした。
だからって忘れたわけじゃない。手が屆かなくなったとしても、彼の殘した思いはいつだってすぐに心から取り出せる。
だけど俺の殘された時間はもう、サッカーのロスタイムほどのわずかな時間だけ。
それをこれから目の前にいる人たちに、全力で使い切りたいと思ったんだ。
「知実くん?」
黙って考え事をしていると、いちごが顔を覗き込んできた。
俺が難しい顔をしていたのか、いちごも真面目な表だった。
慌てて話の続きを探す。
「あっでもさ、いちごは、その……かわいいのに……。本當に今までそういうの、ないんすか」
「え、聞こえなかった。いちごは、なに?」
「なんにも言ってねえよ」
大墓をかましてしまい、思いっきり顔を背ける。
隣で笑い聲が聞こえる。照れながらも、心地よさがあった。
「いないよ」
はっきりと、いちごは言った。
「誰かを好きだっていう気持ちも、あたしにはよくわからないから。……わっ!」
いちごがよろけて、手が一瞬だけ離れそうになった。
足元を見ると、低めのヒールを履いていた。
それで今日はよく転んでたのかと、なんとなく納得してから手を摑み直そうとしていると、指が人つなぎのように絡む。
「ご、ごめんね! ありがとう」
いちごは小聲でつぶやきながらも、の前で組み合った手を振りほどこうとはしなかった。
それどころか、わずかに指に力がったようにもじた。
「でも……どうしよ。今はしどきどきする」
小さな聲でそう言って瞳を潤ませたまま、し目を伏せる彼。
そんな顔をされるのはずるい。
「えっと……それ、って……」
いつしか、パレードの音なんか耳に屆いていなくて、鼓がうるさくて恥ずかしいということしか頭になかった。
つい指先に力がる。
呼応するように、彼の指もきゅっと締まる。
それが小さな自信になる。
目の前のの子がキラキラと輝いて見えるんだけど、これって、もしかして…………。
「ねーねー! 全然キスしないよあの人たちー!!」
「!!」
誰かの大聲に、俺たちは思わずパッと離れた。
顔から火が吹き出しそうになりながら周りを見回すと、し離れたところで小學生男子がニヤニヤとこちらを指差し、近くのお母さんに引っ張られて行くのが見えた。
ちくしょうあの目……わざとだ。
俺も昔、海辺に來ていたカップルを冷やかして、いい雰囲気をぶち壊してやったことがあるからわかるんだよな。
「あっ、あっち歩こっか!?」
「そうですね……」
あああ、クソガキーーー!!
それから過去に気まずい思いをさせてしまったカップルも今だから言える、あのときは本當にすみませんでしたーーーー!!
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