「じゃあお弁當、音和ちゃんに屆けてくるね」

「本當ごめんな、ありがとう」

「ううん！」

學校に著いたら知実くんからお弁當をけ取って、３階へと向かった。

音和ちゃんもう來てるかな……と教室をのぞいてみると、仲の悪かったの子たちの席で、頭をなでられているところだった。

音和ちゃんって、すごいなぁ……。

あっけにとられていると、の子たちがこっちに気づいた。

なのでにっこり微笑みながら小さく手を振る。

「あ、日野さん……」

気づいた音和ちゃんがり口まで來てくれたから、持っていたお弁當箱を差し出した。やっぱり全然元気ない。

「今日はお晝どうする？　虎蛇なら子しかいないよ？」

「ん……。クラスで食べよかな」

「そっか。もし來たかったらいつでもおいでね」

帰ろうとすると、「待って」と音和ちゃんに呼び止められた。

「……知ちゃん、どーかな？」

泣きそうになりながら、探るように瞳を覗き込まれる。

「うん、やっぱりちょっと元気はないかな。可い誰かさんのせいでっ」

不安げな音和ちゃんのほっぺをぷにぷにとつつくと、かわいらしくをよじらせた。

「大丈夫だよ、待ってるから。心の準備ができたら、また一緒に登校しようね？」

「……うん。ありがと。でももうちょっとだけ時間ほしい。……また可がってくれるかな」

その言い方が可くて、つい、笑ってしまう。

「當たり前だよ！　あたし、音和ちゃんにちょっと嫉妬してるんだよ？　音和ちゃんはきっと、ずっと、知実くんにとって代わりのいない唯一無二の存在なんだろうなって」

「うん……」

「うちも弟妹いるでしょ。がつながってる家族の絆って強いなって思うんだけど、音和ちゃんはがつながっていなくても、そういう特別な人なんじゃないかなってじるよ」

よしよしと頭をでて、背中を押した。

「はい、じゃあまた。お友だちとも仲良くするんだよー！」

「ありがと……」

手を振って送り、奧で怪訝そうにしていたの子たちにもにっこりと微笑んで、今度こそ教室をあとにした。

教室に戻って、知実くんに音和ちゃんの様子を話す。

すると眉をしかめて泣きそうになったあと、速攻メッセージを送っていたからなんて送ったのか聞くと

「超かわいがります」

とだけ書かれた畫面を見せてくれて笑ってしまった。

最高だよ、知実くん！