《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》10/29(木) 日野 苺②
ピロンと音が鳴り、七瀬ちゃんがスマホを取り出す。
「あ、なっちゃんだ。つか近くにいるんだから直接言えっつの」
大きなひとり言をつぶやいて、メッセージを返信しはじめた。そのあと知実くんの席に向かって口を尖らせる。
ついでにあたしも知実くんと目が合った。わー。えへへ。
七瀬ちゃんがスマホを置く音で、また自分たちの會話に戻る。
「はぁー。ノナカのことも、なっちゃんがいるから結構大丈夫なとこあるんだよね……」
「昨日も言ってたよね、話聞いてくれるって。優しいねえ」
「うん! でもねー」
七瀬ちゃんは周りを気にしてから、あたしの耳に口元を思いっきり寄せた。
「自分でも意外すぎて混してるんだけど……あたし、なっちゃんのことアリかもしれない」
……え?
その告白を聞いた瞬間。
お腹から頭にかけて、気球を膨らませるように、ぶわっと正不明な熱が駆け上がってきた。
目の中や耳の先まで熱に浸食されて、振り切りたくても次から次へと火をつけられるみたいに、がうねり、駆け上がってくる。
七瀬ちゃんはあたしから顔を離すと、今度は機にべたっと伏せて、小聲で話しはじめる。
「昨日の夜も電話したんだけど、珍しく泣かずに眠れたんだぁ。認めるのはしゃくだけど、今、あいつがいないとあたし無理かも」
心臓が口から出そうなほど暴れていて、汗がこめかみや背筋を何度もる。
頬も熱い。このままオーバーヒートしそうで、怖い。
「クラスではノナカの方が目立つけど、カップルギャグも不快じゃない見た目だし。男の割にはまあ、気を使えるし。たまにかわいー==≡≡≡≡〓〓〓〓〓■■■■■■■■」
混しすぎて、七瀬ちゃんの言葉を処理できない。
なんでなんで? あたし、どうなってるの?
これじゃだめだ。
目を閉じて呼吸に集中してみると、しずつ、聴覚が戻ってくる——。
「——というか、もしかしたら育祭のときから、気にはなってたのかもしんない……。でも失してすぐこういうのって、軽く見えちゃうかな?」
「え!?」
顔を赤く染めて不安そうに見上げる七瀬ちゃんは、とても魅力的な、するの子だった——。
「あ……いや、それは、思わないんじゃないかな……」
「えへへ〜。クリスマス間に合うかなぁ。実はね、ファンスタでノナカになっちゃんの好きな人も聞いたんだけど、ノナカもね————————」
頭のぼんやりがまた襲ってきて、七瀬ちゃんの聲が遠くなっていく。
ずっと隠れていたのにあらわになった傷の斷面を指でするっとなぞったように、ピリピリとした痛みが神経を走る。
痛い。
うわ、うわぁ、こんなじなんだ……。
やだな、なんでいままで気づかなかったんだろ。
あたし、知実くんにちゃんとしてたんだ。
音和ちゃん以外に、好きになる人がいると思わなかった。
しかも、クラスでいちばん仲良しなの子。
唯一、あたしのことを友だちって言ってくれたの子だった。
仲良しの子と同じ人を好きになっていいの?
そんなの絶対に、無理だよ。
だって、だって。
絶対に嫌われたくない——!
楽しみで、大事にしたかった初だった。でも、こんなの言えるわけない。
あたしはそれをぎゅっと摑んでの奧に閉じ込めて、見なかったことにした。
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