突然、上半に適度な重みをじ、閉じていた目をゆっくりと開けた。

いちごの頭が俺の右肩付近にある。

えーと。どうなってるの？

「知実く……っ、ごめん。もう、やだよ……っ」

いちごがの上で、嗚咽をらしながら泣いていた。

恐る恐る右手をあげて、生まれたばかりの赤ちゃんをるくらい慎重にいちごの頭をでた。

特にいやがられなかったから、そのままでながら考えてみる。

それで、たぶんだけど、結論が出た。

あーこれ、いちごにとって渾の、“いやらしいこと”だわ。

無理して一生懸命こたえてくれたのかと思うと、笑ってしまいそうになった。

一旦、眉間を寄せて堪えて、なるべく心を落ち著かせて。

「なんで泣くの。そんなに嫌なら、こんなこと、やめたらいいのに」

「ちがっ……！」

この子、本當に天然でおもしろいわ。

……だからずっと、この子のこと目で追ってたんだろうな、俺。

「いちごちゃん。顔、見せて？」

「泣いてて変だから、無理」

「大丈夫だって。いちごはどんなときでも可いよ」

「うう」

全然顔をあげてくれない。俺の肩がそんなに好きなのだろうか。

「ほら、俺眠いし。あんま見えてないから」

「うう……」

やっと肩から顔が離れてくれた。

だけどしっかりとを起こせばいいのに。

恥ずかしがってちょっとしかあげないから、逆に顔が近くなる。

髪をすいていた手を頬に移して、流れたままの涙を親指でぬぐった。

それでも溢れた涙が、自分の顔に落ちて來た。

（噓つき。目、バッチリ開いてるじゃん）

そんな目で責められたけど、超絶に慈に満ちた瞳で封殺しておいた。

それからまばたきを３回する間、瞳に吸い込まれていくように。

最後に目をつむったとき、がる覚がした。

人生で一番、重くじたまぶたをゆっくりと開けて、真っ赤になってボロボロと泣いているの子を目の前に捉えて。最初にじた気持ちがまさかの“絶”だったから。

俺はふたたびまぶたを閉じ、暗闇に意識を落とした。