今日は１１月からの院についての話を聞きに來たのだが、原さんが先週の検査のカルテを見ながら首をひねっている。

「……」

何か言われるのだろうか。固唾を飲んで見守ることしかできない。

余命宣告をけてからもうすぐ半年。

あっという間だったけど、やりたいことはやり盡くしたと思う。

「小鳥遊、必ず院はしてもらうんだけどね」

カルテから顔を上げて、原さんは苦笑した。

「不思議と數値が安定しているのよ。まあ悪いにしては悪くないってことなんだけど」

「はあ……」

「學校がよっぽど楽しいのかしら。タフねえ」

結構無茶はしてきたけど、経過は悪くないらしい。

「院日は、海外からドクターが來る日に合わせようと思って」

スケジュールや院についての説明がされる。

とうとう明確なＸデーが出た。

メモを取りながら、殘り時間までどう過ごそうかと考えた。

でも特になにかするわけでもなく、普通の日々を過ごすんだろうな。

「でも次倒れたら、日程繰り上げて即院だからね」

「あ、はい」

……昨日までのはノーカンだよな？　黙っとこ。

「小鳥遊」

名前を呼ばれて、メモから顔を上げた。

「……この半年どうだった？　あなたが言ってた心殘りは減らせたの？」

スクエアの眼鏡の奧に、穏やかなまなざしをじた。

「……うん。もうほぼほぼ片付けてきたよ」

「そう」

原さんは頷いた。

「……優秀じゃないの！」

そう跳ねるように強く言ってくれた原さんの眼鏡の奧の瞳が、蛍燈の反なのかっているように見えた。