《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/3(火) 日野 苺③

そして俺たちは遠路はるばる、集森高校に來て今に至るというわけだ。

「で、野中の親戚って部活とかってないの?」

「知らん」

「連絡してみてよ〜」

「絶対ヤダっ!」

「えーなんでー? 知らない人を捕まえるよりも効率的だと思うんだけどー」

「あのなー、俺はなっちゃんになにかないように・・・・・・・・って、ついてきてるだけだから」

えー冷たっ。親戚となんかあったんかコイツ……ありそう。

仕方ない。嫌だけど子にかたっぱしから聲かけていくか。

休日でも登校している生徒は多かった。部活に強い學校なんだろうか。こちらとしてはありがたいけど。

校門前で、他所の學校の制服を著ている俺たちはもれなく目立っていた。さらに野中は否応なく目を引くから、存在のアピールはバッチリなのだが。

「あの」

「キャーー!!」

聲をかける前に、子たちは野中を見て逃げてしまう。シャイかよ!? もういいよ、男に聲かけるし……。

けれど校門を通る生徒たちはみな俺たちを不審者を見る目つきで避けて行き、なかなか聲をかけられなくて四苦八苦する。そんな俺たちを遠目から見に來るやつらも増えてきた。

見に來るくらいなら聲かけてよ〜〜〜。

「噂のイケメンあれじゃん!?」

「えっ、噓!? たっくん!?!?」

を放つ絶が聞こえて聲の主を探すと、育館り口にいた運著姿の子たちの中のひとりが口をおさえ、俺たちを凝視しているところが見えた。

た っ く ん ?

「げっ」

「たたたたっくん、あたしに會いに來てくれたんだ! ヤヤヤヤヤバい!! マジすか學園ーーー!!!」

「きゃーー! みちるの言ってた王子!? 生で見てもガチ王子なんだけど!」

「うわーもはや蕓能人じゃん!」

「え、どっち……ああ、ね!!!」

おいコラ、最後!

「だから嫌だったんだよ!」

野中が俺の後ろに隠れて背中を向けた。どうやらいとことバッチリ會えてしまったらしい。

あの人だれー?

じゃまー!

王子見えなーい!

そして心無い聲が飛ぶのを、俺は想笑いで耐えるしかなかった。

「すまん。つながってるからって、油斷してたわ……」

つながってても! いとこ同士は結婚できるんですー!!」

突然、俺の前にふわふわの金髪ショートが迫ってきた。

野中みたいに背は高くはないけれど、素の薄いきれいな見た目は野中の伝子だなと心する。

「つか、あんた誰よ」

「えっと、野中のハニーです」

の前に手を掲げ、一禮。

「は!? え!?!? ま、ま、まじでたっくん!?」

「うるせえ、そうだよ!」

「あたしが……こんなそんなでもない男に、魅力で負けるなんて……」

「そんなでもないとか言うな!」

がくりとその場に膝をつく親戚だった。

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