《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/3(火) 日野 苺⑤
観念したみちるが吐いた話によると、いちごは友だちの好きな男を取ったとして悪名高く、それが原因で學校中の人から遠巻きにされていたらしい。
「男子の前ではぶってるし、子の前ではサバサバしてるっていうか」
どっちも今のいちごの姿からは想像できない。
「仲良くないのになんでそんなに知ってんの」
野中が聞くと、みちるはスマホを出して作し始めた。
「有名人だし、今だってまだたまに書き込みあるよ、SNS」
と畫面を俺たちに向ける。
文章に特化したSNSで、プロフィールには『いちごちゃんのお部屋』と書かれていた。それに21人がフォローしている。
「公開アカウントか」
「あの子スマホ持ってなかったから、作った人が余裕ぶっこいてるんだと思う。公開アカだから、多分21人より多くの人が見てるんじゃないかな」
スマホを借りて見てみると、みちるが言ったようなことがずらずらと書かれていた。
最近の書き込みは……10月26日。いちごが転校して半年経ってんのにまだ生きてんのかよ。
「って、は?」
最新の投稿を見て固まっていると、隣から野中も覗き込んできた。
「……俺こういうことするヤツ、いちばんイラつく」
指先に表示されていたのは、ファンスタで歩いている俺といちごのツーショット寫真だった。俺の顔は見えていないけど、いちごは橫顔が見えて、本人と識別ができるものだった。
「別に肩持つとかじゃないんだけど、あの子に恨みがある子たちがよく報復って言って呼び出していて。そのときにあの子にしていたこと、結構ひどかったから……。あれってもういじめなんじゃないかなって、そう思ってる子、ほかにも結構いるし」
野中の隣に座ったみちるが、下を向いたまま言った。
しかし転校した後もこうやってしつこく追っているのは、かなりたちが悪い。
「26日の投稿に、『ファンスタで捕まえて、今の家の住所特定した』って書いてるな」
野中が書き込みを読み上げた。
あの日、別行している間に接もしてたのか……。
ギリギリと奧歯を噛み締める。
「でもさ! あの子……」
「なあ、それやめてくれない?」
みちるの言葉を遮る聲が、自分でも冷たいとわかった。
「あんたさっきから、あの子あの子って……。あいつには、いちごっていうめちゃくちゃかわいい名前があるんだよ。俺たちが大事にしてる子をそうやってないがしろにしてくれるなよ、マジで頭がどうにかなりそうなんだけど!」
一気に吐き出して頭をかかえる。完全に八つ當たりだったけど、腹の蟲がおさまらない。
しの沈黙のあと、みちるは素直に「ごめん」とつぶやいた。
「えっと、日野、さんのこと呼び出してた子たちが、多分書き込んでるんだと思う。でも確証がないし」
「なっちゃん、こういうのって音和セキュリティグループでなんとかならん?」
「その辺ノータッチだからわかんねえんだよな……。音和に連絡してみるか」
「え。セキュリティ? 警察?」
「いや、校の風紀を守るのインターネッツがいてな」
「??」
みちるが首を傾げて俺たちを見比べる。
うん、わかるわその気持ち。でもいるんだようちの學校、謎の人が。しかもたくさん。
「日野とトラブってたヤツって何してんの、今」
「あ、えっと……。今日はテニス部に出てるんじゃないかなあ」
テニス部のコートは、學校からし離れた場所にあるらしい。
「好きな男子を取られたのが海恵麻。その友人で、かなりキツくて學校でも一目置かれてるのが野田原いのり。二人ともテニだよ。あっ、告げ口じゃなくてこれは周知の事実ってやつだから! ね、たっくん!!」
「どうでもいいんだけど……」
面倒そうに野中がみちるの手を振り払うと、みちるはぶーっと頬を膨らませた。
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