《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/3(火) 日野 苺⑦
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學校から歩いて10分ほどのテニスコート近くまで行くと、部活を終えたばかりらしくラケットを持って歩くテニス部の子たちを見つけた。
聲をかけて海恵麻と野田原いのりの名前を出すと、の子たちは関わりたくないという表で、面倒臭そうにコートの奧の建を指差して居場所を教えてくれた。
仲間たちからも、あまりよく思われてなさそうな印象。
「野中はその辺で待ってていいよ。彼氏出てきたら危険みたいだし」
なにも言わずに付いてきてくれてるけど、危ない目には合わせたくない。
「誰がを回収するんだよ」
「うわやめろよ、縁起悪いわ」
それでも足を止めようとしなかったから、そのまま二人でテニスコートの奧へと向かった。
薄暗い倉庫裏へと回ってみると、スマホをいじっている二人をすぐに見つけることができた。
倉庫と逆側のフェンスの向こうは、1メートルほど下の方に川が流れて、その奧にヘクタール級(たぶん)の畑が広がっていた。
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大ごみから拾ってきたっぽい茶のソファにブランケットを敷いてひとり、その向かいのビール瓶の空き箱にもうひとり、運著のままの子が座っている。
ラケットは壁やフェンスに立てかけていて、二人も部活終わりという様子だった。
そんな二人の空間に立ちった俺のことにはすぐ気づいて、同時にこっちを見た。
俺は靜かに、二人の名前を呼ぶ。
「海恵麻と野田原いのりか」
「……誰?」
二人とも警戒しながらも、く様子はない。
「日野苺の友人のなっちゃんです」
「は? あー、へえ」
さっきから喋っているのは、ビール箱に座っている格がいい子の方だった。茶のストレートの髪は腰までびていて、存在がある。
もうひとりの子は髪のは肩につかないくらいで、目が大きく鼻は通って、ハーフっぽい顔立ち。目立つ子だけど、口はつぐんだままだ。
「あいつに言われて來たの? 男二人で、か弱い子になにするつもり?」
言葉とは裏腹に、俺たちのことはしも恐れていない様子で、挑発するように見上げてくる。
「いや、勝手に調べて勝手に來ただけだけど」
「顔はいいもんねえ、いちごちゃん」
彼は鼻で笑った。
「でもあの子はこっちでも、男を顔やでしてたんだよ? あんたが思うようなじゃないと思うけど」
嫌な言い方に思わず顔を歪めてしまった。だけど拳を握って我慢する。挑発に乗らない。話し合いに來ただけだから。
「金際いちごにつきまとわないでほしいんだけど。SNSにいちごの部屋みたいな名前で投稿してるの君ら? あれもやめて」
すると面倒くさそうに、髪をかきあげて睨みつけてきた。
「そんなの知らないし、うぜーんだけど」
「いちごがこの學校にいたとき、お宅らが嫌がらせしていたのは裏が取れてんだよ。ごまかしても無駄だし、逃げるなら職員室に持ち込んでもいい」
証拠はないからハッタリだけど。
「だから知らないし、なんならエマのが被害者なんだよ! 都合の悪いことは聞かされてないんじゃない?」
ハーフっぽい子がサッと下を向いた。
あっちが鳴海恵麻か。たしかあの子の好きな男子を取ったとかそういう話だったな。
「結局、償いも半端に逃げてったんだよ。エマはまだ傷ついてるんだけど」
「償いって……」
いちごを呼び出してひどいことをしていたって聞いたけど、どこまで追い詰めたら気が済むんだろう。
顔をしかめていると、野田原いのりは立ち上がって俺の目の前まで歩いて來た。
「あんた、日野の代わりに償えるの?」
俺よりし背の高いの子に睨みつけられる。
凜々姉とはまた違った威圧。
その堂々とした佇まいは、學校の人が誰も反論できないという言葉に説得力を持たせた。
「だったら、ひとまず土下座でもしろよ!」
言い終わらないうちに腳を蹴られて、一瞬のうちに地面に倒された。
「おいっ」
野中が野田原に詰め寄るが、強くを突き飛ばされる。
野中がガシャンとフェンスにぶつかる音が聞こえたのと同時に、こっちは頭に重い衝撃をけた。
ぐわんぐわんと頭が回り、そのまま橫に転がる。
ちょっと待って、の子まで兇暴だって聞いてないんだけど。この人、躊躇なく耳蹴ったよ!?
いちご、こんなヤバいやつになにされてたんだ!?
考える暇なく、今度は腹に一撃。意識が飛びかける。
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