《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/3(火) 日野 苺⑨

そういえば、もうすぐ來るって言ってたな、彼氏。

後ろには革ジャンを羽織ったガラの悪そうな男と、もうひとり赤いジャケットの茶髪の男が二人で立っていた。

「ふーん? 男が寄ってたかって、俺のになにしてくれたわけ?」

革ジャンの男が顎を上げながら言った。アップにした前髪が鋭い目つきを強調する。

はは。見れば明らかに、怪我の度合いは俺のほうがやばいっしょ……。

「アホがよく言う口上かよ」

煽ると案の定、男はイラついた態度をむき出しにして、足元のバケツを蹴飛ばしつつ近づいてきた。

赤いジャケットのほうはニヤニヤしながら、突っ立っている。

ってことは、目の前の革ジャンだけ相手にすればいいみたいだな。

「どこのガキか知らねえけど、口のきき方には気をつけろよ。年上には敬意を払えって學校で習わなかったのか?」

「……さっきからさぁ、どこかで聞いたことあるようなセリフしか言わないのって、あんたは量産型村人Aなの?」

「はい、ぶっ殺す」

相手が毆る前に、全重をかけて倒れるようにして毆りかかった。

生まれて初めての対人パンチはうまくカウンターのように頬にり、相手は後ろに飛んでもちをついた。

「うっわ、今のうまくコマンドれたな。ってか、なっちゃん大丈夫!? なんで迎撃してんの!? バカなの!?」

勢いが抑えきれず前に倒れ込んだところを、野中に支えられた。よろよろと立ち上がりながら、相手を見據える。

革ジャンも立ち上がり、ぷるぷると震えて怒りをあらわにしながらジャケットからを取り出した。

すげえな。半信半疑だったけど、今どき本當にこんなバカいるんだ。

「うわ、まじかよあいつ頭やべえだろ」

野中ですら引いている。

「これが見かけだけだと思うなら、試してみるか?」

革ジャンは右手でナイフを2度小さく振ってからニヤリと口角を上げた。

……前報と、単純バカのおかげで助かった。

野中の腕を振り切って、俺は革ジャンに向かって歩いていった。近づきながらも、相手の顔を観察するのは忘れない。

一瞬、ピクリと驚いたようだったが、ナイフがあるから始終強気だ。

それに俺って見た目弱そうだし、負ける気はないんだろう。その通り、弱いしね。

たださっきも言った通り、ちょっとだけ普通とは違うってだけ。

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