《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/3(火) 日野 苺⑩
革ジャンの目の前までまっすぐに歩き、握っているナイフにためらいなく手をばした。
取られないようにと革ジャンがナイフを振ったせいで、指がし切れてが飛んだ。
「っ! おい、次はそんなもんじゃ……!?」
言い終わらないうちに腕を振り上げ、ナイフを叩き落とすために振り下ろした。
今度は腕が切れた。
制服から染み出してがぼたぼたと地面に落ちる。
めっちゃ痛い。
「そ、そいつやべえよ、目が據わってる!」
赤いジャケットの男がぶ。
「うるせえ! そんなわけ……!」
革ジャンがナイフを突き出すと、いとも簡単に制服に刺さった。
幸運なことに脇腹の橫をかすめただけだったけど、自分から刺したくせに革ジャンは顔面蒼白だった。
「……は? なんで避けな……!?」
肘を落として今度こそナイフを叩き落とすと、革ジャンは腰を抜かして座り込んだ。
ナイフを拾って、ゆっくりと視線を革ジャンから野田原に移す。
海とを寄せ合って顔を引きつらせていた。
「こっちの要求は、いちごに関わらないって約束を守ること。SNSアカウントを今日中に消すこと。今後、それらが守られていなかったり、ネットでいちごの寫真を見たりしたら、問答無用でお前らを疑うし社會的に抹殺する」
野田原はこくこくと何度も頷いた。
よし。
「んで……あんたもナイフ持ち歩くのもうやめなよ、超絶ダサいから。それに、がレザーについたら嫌でしょうが……」
革ジャンもこくこくと頷く。
無駄に世直しをしてしまったな。守るかは知らんけど。
後ろでおろおろしているだけの赤ジャケットにナイフを投げて返した。
それから不満げな様子の野中のもとへ、よたよたと戻る。
「……すみません、肩貸してください」
「もうこういうやり方は絶対にやめろよ」
怒りながらも肩を支えてくれた。
ゆっくりと歩きながら野田原と海の橫を通り過ぎるとき、なぜか野中の足が止まった。
この人怖いから、一刻も早く立ち去りたいんだけど。と、隣を伺うと、じっとの子を見據えていた。
「あんたが男を取られたんだっけ」
海は怯えながらもゆっくりと頷いた。
「俺もうざい敵がいるから、あんたのこと気の毒だなとは思う。でも相手を責めるとか思いもつかなかったわ。わざわざ自分を慘めに落としたくないし」
海の顔がサッと曇る。
「あんたはあんたでしかないし、誰にもなれない。いちばんいい自分で、振り向いてもらうしかないだろ。……と、思いました」
野田原は怪訝そうに鼻のを膨らませ、海は下を向いた。二人とも無言だったから、俺たちは再び歩き出す。
「あの!」
後ろから海が呼び止めた。
野中だけが振り返る。
「もし良かったら、友だちに……」
「……」
野中はし間を置いたあと、
「俺、好きな子に一途になるって、クラスで宣言したんで」
と言った。
通行人にギョッとした目を向けられながらも、俺たちは來た道をゆっくりと戻る。
「なっちゃん、だらけじゃん。今からでも止しとく?」
「大丈夫。怪我は軽いから……」
「マジで絶対もうああいう無理はするなよ。止め方がパスりサイコパスすぎ……」
「はは……。異様な生のフリしたら、怖いかなと思って」
「ナイフ持ってるバカだぞ。効かなかったらどーするつもりだったんだよ……」
「ああいうの持ってるやつって、自信のなさの裏返しだからさー」
「んじゃナイフ出さずに、毆られたらどうするつもりだったの」
「ひとまず人目のあるところまでダッシュで逃げる」
「その足腰でよく言ったわ」
學校のそばまで戻ってくると、みちるが校門前に立っているのが見えた。制服に著替えてからも待っていてくれたらしく、俺たちに気づくと走ってきた。
「えーーー!? 全っ然、顔やられてんじゃん!! たっくんも!? 無理しすぎバカ! ほら早く! 手當するから!!」
みちるは涙を拭うと、力強く俺たちの腕を摑んだ。そして彼に引かれるがまま、保健室に連れて行かれる。
先に俺の処置を終えて野中が消毒されている間、SNSを見ておこうとスマホをつけた。
“いちごちゃんのお部屋”のアカウントは、すっかりと消えていた。
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