《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/4(水) 日野 苺②

だけど知実くんは、ポカンとしていた。

「あれ、ちょっと待って……。ごめん、事が変わるぞ」

安心してもらうどころか、どんどん顔がひきつる。

「……」

そしてしばらく考え込んでしまった。待っている時間がすごく不安で、つい聲をかける。

「知実くん、なにか変だった?」

「……いちご、今のままじゃダメじゃん」

「え?」

なんで? あたし、何か間違ったこと言った?

「こんな友だちの作り方じゃ、ダメなんだよ」

「こんなって、みんな素敵だよ?」

「みんな素敵だけど、自分はどうなのって話」

「それは……そんなに素敵とかじゃないけど……」

何言わせたいんだろう。

嫌だ、なんか知実くん、変。

「それはどうしてかわかってるよな?」

「えっ、人間とか……」

「俺前にも言ったよね? いちごが最近繕ってるって。あれなんとなく言ったんだけど、本當にそうなんじゃないかなって思ってる。もしそうなら、本當にそのままで青春を過ごしていいの?」

「それは……知実くんの思い過ごしで……」

がうずく。だって、その理由を知っているはずがないから。

じゃあ、どうして……。

「普通に考えて、繕っていて“本の友だち”ができるとは思わないんだけど」

「!」

耳が痛い。

けどあたしは、それでも現狀を変えたくないから。

「……あたしは今の自分に正直に、満足して生きてるよ。憶測で話すのはやめてもらっていいかな」

あたしがちょっと強めにそう言うと、知実くんは眉間をみながらスマホを耳に當てた。

「……ごめんねお待たせ。ってきていいよー」

「な、なに?」

「あ、虎蛇會呼んだ。いちごに緒で、青春回収お疲れ會しようと思って待ってもらってたんだけど……。正直、こんな話が重くなると思わなかった。いちごに“本の友だち”って言われるまではね」

どうしよう。なんだか嫌な予しかしない。一、どうするつもりなんだろう——。

ガチャリとドアを開ける音が聞こえた。

會長にしおり先輩。七瀬ちゃん、音和ちゃん、野中くんまで……。知実くんが言っていたように、ガヤガヤ話しながら虎蛇會のみんながってきた。

そして重苦しく対峙してるあたしたちを見て、みんなが困し始めた。

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