《彼たちを守るために俺は死ぬことにした》11/9(月) 小鳥遊知実①

恐る恐る、玄関のドアを開ける。

「おはよっ」

「おはよう、いちご」

いちごがはにかみ、俺もちょっと照れる。しだけ二人の間を取り巻く空気が違う。毎日のルーティーンが、し特別なものに変わった気がした。

「おは大丈夫?」

「うん、さすがに打ちでちょっと痛いけど。あ、見せないよ!?」

「いや、別に見なくていいけど」

「!!!」

「なんなの? 何で怒ってるの!?」

なんだか不満げにしているけど、見といた方がよかったのだろうか? 子、謎すぎ。

「あ、リュックちょうどいいっぽいね。似合うじゃん」

膨れていたいちごの顔が、花が開くようにぱっと明るくなる。いつも持っている學生バッグではなく、黒のカーハートのリュックを背中に背負っていた。よく見ると、知らないぬいぐるみのキーホルダーもついている。

「うん、ありがとう! バッグがダメになっちゃったから助かった! それよりなにより、知実くんのリュックなのがうれしい」

やめて、可い無理。

昨日、いちごはあのあと大事を取って帰宅することになった。俺も興したから帰ることにして、その帰り道に家に寄り、自分のお気にりリュックを授けたのである。

「いちごちゃんーー!!!」

隣の家から音和が出てきて、いちごに飛びついた。

「大丈夫!? 心配した!!」

「うん、大丈夫だよ〜。ありがとね音和ちゃん!」

犬のようにまとわりつく音和を機嫌よくでていた。

いちごにひっつく音和はすぐに、いつもとカバンが違うことに気づく。

「あ、知ちゃんのリュック借りたんだね」

「え、あ、うん、そうだよ!」

答えてから、いちごのするどい視線が飛んでくる。

(知実くん! 音和ちゃんにあたしたちのこと、説明したほうがいいよね!?)

(おう、俺が言う。まかせとけ)

(こういうの、先に延ばさない方が絶対にいいもんね!)

「……」

き、切り出し方がわからん……。

(知実くん? だ、大丈夫?)

(え、うん、頑張ります、ちょっと待ってね! タイミングがね!)

「……なにコソコソしてるの?」

「え、そんなことないよ!」

いちごに抱きつきながら、音和が俺を純粋な目で見上げてくる。それはもうとても純粋な目で、視線を合わせていられないほどの……。

(知実くん!)

(ひぃ!!)

しかしそれを許さないいちごだった。

「……まさか、付き合ってたり……??」

「!!!」

音和のするどくそれでいて的をた答えに思わず、わざとらしい笑顔で固まってしまう。

それで察したのか音和はいちごを見上げ、抱きついていたから離れて1歩下がり、再び俺を見上げた。

「でも、知ちゃん……」

「あ……全部話したよ、いちごには。それでもいいって、言ってくれて」

「……そっかぁ。そうなんだ。おめでと。いちごちゃんなら、仕方ないかな」

音和が俺たちを見比べてペカっと笑った。

そして、パタリと倒れた。

「えええええ!? 音和ちゃん!? あたしたち、それでもなんにも変わらないからね!?」

「そだぞ、お前のことは超大事だから! 俺も、いちごも!! しっかりしろーーー!?」

二人で音和を抱えて聲をかける。

朝のすったもんだのせいで、3人とも遅刻となった。

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