《小さなヒカリの語》3ページ目
ちょうちょ結びを終え、ドアに手をかける寸前。
「いけね、忘れてた!」
大事なことを思い出した。履きかけの靴をぎ、朝の日課をこなしに奧の部屋へ向かう。正座して手を合わせ、
「今日も一日何事もなく過ごせますように」
仏様に祈りを捧げる。毎日欠かさずにやってきたことを忘れるなんて、たぶん今日の俺は學式という言葉に舞い上がっているのかもしれない。母さんは俺の合掌を見屆けて、すたすたと玄関までついてきた。これは毎日のことだ。
「ハンカチ持った?」
「持った」
言うと、しゃもじがし顔から離れる。
「ティッシュもれた?」
「れた」
うーんと母さんは悩むようなポーズをとって、
「あ、保険証のコピー忘れてないでしょうね?」
これはどうだとしゃもじが俺の顔近くに接近してくる。けれど、
「それもある」
いくら忘れの多い俺でも、プリントに載ってる容くらいは確認してある。
「あっ、そうそう、今日ね」
母さんはさらに何か言おうとするが、たぶんそれも俺は用意してるはずだ。母さんにいちいち言われるようになってからは自分でも多ましになったつもりだ。
「あぁもう、いいから! もう分かったからさ。じゃあ行ってきまーす!」
小うるさい話を朝から聞くと気が滅る。俺を引きとめようとする母さんの聲を振り切って、俺は家を飛び出した。
朝の冷たい空気に當たって眠気も覚め、気分は爽快。的にはちょっと寒いくらいだ。
家から學校までは約二キロの距離で、坂道が三つあるのを除いて他は平坦な道が続く。
それぞれ坂道には名前があって、最初は日坂、次が苦悶坂、最後が地獄坂という。
各坂道には名前の由來があったらしいがそのときは話半分程度だったため、今じゃ深く覚えていない。まぁそんなことよりも、俺の心を占める喜びの理由のほうが遙かに大事だ。
新しい出會いとかも高校にんでないわけじゃないが、一番の幸福材料は『高校生になったらいちいち口を出さない』という母さんとの約束にある。
今朝はまだ俺は高校生じゃないという母さんの認識により、しゃもじを投げられたが、明日いや今から何時間後にはもうお小言は言われないようになってる。そう思うと本當にうれしい。自分でも頬が緩むのが分かる。し急な傾斜でも苦にはならない。楽なじで歩を進める。歩みを助ける下り坂
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
8 88[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者少女を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!
ホビージャパン様より書籍化することになりました。 書籍化作業にあたりタイトルを変更することになりました。 3月1日にhj文庫より発売されます。 —————— 「俺は冒険者なんてさっさと辭めたいんだ。最初の約束どおり、俺は辭めるぞ」 「そんなこと言わないでください。後少し……後少しだけで良いですから、お願いします! 私たちを捨てないでください!」 「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえよ! 俺は辭めるからな!」 「……でも実際のところ、チームリーダーの許可がないと抜けられませんよね? 絶対に許可なんてしませんから」 「くそっ! さっさと俺を解雇しろ! このクソ勇者!」 今より少し先の未來。エネルギー資源の枯渇をどうにかしようとある実験をしていた國があった。 だがその実験は失敗し、だがある意味では成功した。當初の目的どおり新たなエネルギーを見つけることに成功したのだ──望んだ形ではなかったが。 実験の失敗の結果、地球は異世界と繋がった。 異世界と繋がったことで魔力というエネルギーと出會うことができたが、代わりにその異世界と繋がった場所からモンスターと呼ばれる化け物達が地球側へと侵攻し始めた。 それを食い止めるべく魔力を扱う才に目覚めた冒険者。主人公はそんな冒険者の一人であるが、冒険者の中でも最低位の才能しかないと判斷された者の一人だった。 そんな主人公が、冒険者を育てるための學校に通う少女達と同じチームを組むこととなり、嫌々ながらも協力していく。そんな物語。
8 59勇者パーティーに追放された俺は、伝説級のアイテムを作れるので領地が最強になっていた
【今日の一冊】に掲載されました。 勇者パーティーから追放された俺。役に立たないのが理由で、パーティーだけでなく冒険者ギルドまでも追放された。勇者グラティアスからは報酬も與える価値はないとされて、金まで奪われてしまう。追放された俺は、本當に追放していいのと思う。なぜなら俺は錬金術士であり、実は俺だけ作れる伝説級アイテムが作れた。辺境の領地に行き、伝説級アイテムで領地を開拓する。すると領地は最強になってしまった。一方、勇者もギルドマスターも栄光から一転して奈落の底に落ちていく。これは冒険者ギルドのために必死に頑張っていた俺が追放されて仲間を増やしていたら、最強の領地になっていた話です。
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【更新不定期】仮完結※詳しくは活動報告 舊 「異世界転生は意味大有り!?~エンジョイやチートは無理だと思われましたが~」 ごく普通の(?)ヤンキー高校生「中野準人」はある日死んでしまった。 その理由は誰にもわからない。もちろん、本人にも。 そして目が覚めたら見知らぬ家の中。幼馴染の如月彩によると地球と異世界の狹間!? 立ちふさがる正體不明の者、優しい大魔王様、怪しい「ボス」、悪役ポジションの大賢者!? 全てが繋がる時、彼らや世界はどんな変化を見せてくれるのか……? 一見普通な異世界転生、しかしそれこそ、重大な秘密が隠されていて。 『僕らは行く、世界をも、変えていくために――――――――』 主人公、ヒロインは最弱。しかしそれでも生き殘ることができる、のか!? 想定外の出來事だらけ! 「えっ!?」と言わせて見せますよ俺の異世界転生!!! PV17000突破!ユニーク6000突破!ありがとうございます! 細かい更新狀況は活動報告をよろしくお願いします。
8 196初心者がVRMMOをやります(仮)
親の頭があまりにも固いため、ゲームはおろか攜帯すらもっていない美玖(みく)。このたびめでたく高校一年生になりましたので、今まで母方祖母に預かっていてもらったお金でVRMMORPGをやることに決めました。 ただ、周囲との兼ね合い上、メジャーなものはやりたくない。親の目を盜んですることになるから、ヘッドギアは小さなもの。そして月額料金は発生せず、必要に応じて課金するもの、と色々條件を絞ったら、「TabTapS!」というゲームにたどり著いた。 ただ、このゲーム初心者がやるにはかなり厳しいもので……
8 198ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~
士道白亜は半引きこもり、エロゲ買った帰り道に交通事故に遭い、目が覚めたら自稱女神とエンカウント、スキルもらって楽勝異世界転生人生かと思いきや何故かゴブリンに!確かに転生先が人とは言わなかったけどどうなる私‼ アルファポリス、Eエブリスタでも同じ物を投稿してます。 ゴブかみとしてシリーズ登録しハクアのイラストや設定書いた物を別で載せてみました。 http://ncode.syosetu.com/n4513dq/ 始めて書いた物でまだまだ勉強中のため、違和感や駄目な部分、誤字、脫字、など教えていただけると嬉しいです。感想はどんなものでも受け付けてます。駄目出しや酷評等も遠慮なく書き込んでいただけると成長に繋がるので嬉しいです。
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