《小さなヒカリの語》13ページ目

「避けろぉーーーー!」

咄嗟に聲が出た。自分でも信じられないほど大きな聲だった。にその言葉が聞こえたのか分からない。ただ剣を橫に薙いだと同時にの手元からその剣が離れ、

「顕現」

いつの間にかの手に短剣が現れていた。

「はぁっ!」

振り下ろし、の中心に短剣が突き刺さった。そして耳を塞いでもこらえきれないほどの轟音が辺りに響き渡った。の切り口から発せられた深青が、校舎の窓を染め上げ、やがては目に見えないくらいのとなり、視界から完全に消滅した。

「ふぅぅぅぅー」

は大きく息を吐いた。俺もそれに倣い、息を吐き出す。

どうやら命の危機は免れた……のか? 悪夢を見た後のような茫然自失狀態。ものすごく心臓に悪い。ほとんどいてないのに、が火照って首筋にびっしょり汗をかいていた。

『今日は一日寒い天気になります。外にお出になる方は準備をしてから出るといいでしょう』という天気予報を今朝、ばっちりこの目で見たのだが。

と、はおもむろにポケットからカードを取り出し、

「帰來」

白地のカードを頭上に掲げた。

の聲とともに、校舎の壁に突き刺さっている大剣との手にある短剣とが、まぶしいを放ち、徐々にその姿を消していく。そして、で包まれた刀が消えきった時、それらはカードに絵柄となって現れた。

(一どうなってんだ!?)

マジックショーを見ているようなそんな覚。ありえないことが起こりすぎて、全ては夢でしたと言われれば簡単に納得できそうだ。なくともにさっきのことに驚いている様子はない。

むしろ戦った後のほうが平然としているように見える。もしかすると、このも人間でないのかもしれない。なんか場慣れしてるし、普通じゃない。そう思うと、恐怖に押しつぶされていたやクエスチョンマークがせき止められていた流水のごとく急激に押し寄せてきた。

俺はしりもちのつきすぎでこわばった両のケツをはたきながら立ち上がる。

「あのさっ」

聞きたいことが多すぎて何から言えばいいのか分からない。

とりあえず気を悪くさせないよう思ってることが顔に出ないようにして、

「からだ、大丈夫か?」

當たり障りのなさそうなところから話し始めてみた。

「す、凄かったな、剣さばき。なんかジュワーンってじで」

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