《小さなヒカリの語》21ページ目
そいで、エスカレーター式の中高一貫校に通ってたはずじゃ。ここにいる意味が分からない。
「あれっ? こーちゃんのお母さんから話聞いてない?」
「かえってすがすがしいくらいに何もな」
尊敬かつ敬している最のお母様の口からはヒカリの名前さえ出ていない。母さんは人にはあれこれ言うくせに、自分に対しては結構アバウトな面があるからなぁ。
またか、と嘆息しているとヒカリの聲が俺の意識に割ってる。
「私ね、こーちゃんと同じ學校に通うことになったんだよ!」
そう言ってヒカリは似合ってるかなーとをくるりと回転させた。制服を見ればこの學校の生徒と分かるが、聲にして言われることで初めて気づくということもあったりする。
「え、え、か、通うって、この町に引っ越してきたのか?」
ヒカリはふふんと鼻をならし、
「そうだよ。けっこう町並み変わったよねー。三軒連立してたコンビニが一軒になってたし」
ヒカリは昔を懐かしげに、だけどどこか寂しそうな表で思い出に浸っている。
「ちょっと待ってくれ、そういう話は後だ」
これがもし映畫ならそのまま過去の回想にるシーンなんだろう。だが、小學校以來あっていない馴染と運命的な(奇怪な)再會を果たした以上、すぐに適応して過去を郷愁するなんて無茶な話だ。俺はとりあえず今のを整理しようと気持ちを落ち著けることにした。
「大きい十字路を右に曲がったところのパン屋さん。店長さんの作る、口の中でとろける絶妙な甘さのクリームパン。私、大好きだったなぁ」
じゅるるとよだれをすするヒカリに待ったをかけて、今の狀況を理解することに全力で努める。
「えーっと、先ほどの金髪の方は……」
「それは力解放狀態の私だよ」
「だよな」
聞き慣れない単語は取り敢えずすっとばしてヒカリだったということへの確認に重きをおいたせいで、結果変なけ答えをしてしまった。まぁ、いいや。さっきから変な現象ばっかり続いてるんだ。いまなら、何があってもすんなりとけれてしまいそうな気がする。
「こーちゃんには先に言っておくね。私、中學の三年間、山にこもって怪退治の訓練をしていたの」
さすがに無理だった。けれるには俺が狹量すぎる。そうなんだ、とは流せずにその勢いに今出せるすべての力を加えて、心の底から再びシャウト。
勢いだけなら、そのままおなかに手を當ててが大量に出ていてもおかしくないくらいだ。
なんじゃこりゃーと山びこが返ってくることはなかったが、突然の大聲にヒカリはをびくっとさせた。……かわいい。変態チックな気がしてすぐさま自重する。
「こほんっ。今までの話をまとめると、ヒカリは……三年にも及ぶ特訓の末に……怪を倒せるくらいの力をつけて、空間とか移できるようになって、この町に戻ってきたと。つまりはそういうことなの
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