《小さなヒカリの語》22ページ目
か?」
「平たく言うとそんなじかな」
合ってんのかよ!と、口に出かかったが敢えて突っ込みはれなかった。
なんかもうすでにヒカリはそういう非日常的なものに慣れてしまっているようだった。
じっと眼を見てもヒカリは揺らぐことなくまっすぐ俺の眼を見つめ返してくる。ヒカリは噓をほとんどつかないタイプの人間だと認識している。そう思い込んでるだけかもしれないが、おそらくそうなのだ。よって、俺にとってヒカリの言うことはいつだって本當のこと。だから、自然界の原理をまるで無視した〝世界〟の真実を教えられると筆舌に盡くしがたいほどジレンマだ。
それに、我が目で見たことを踏まえると、否定のための考察は生産的じゃない。
俺は黒く澄んだヒカリの瞳をもう一度じっと見つめて、
「話……本當なのか?」
ゆっくり、力強く言葉をつむいだ。もしかしたら、今怖い顔になってるかもしれない。
その様子を見て、ヒカリはうんと首を縦に振った。そして、そうか、と思う。どうやらヒカリは俺の知らない間にかなり面白い験をしていたらしい。なにやら命がけの危険なことを。
「……分かった。今はこれ以上聞かない」
今はここでこれ以上話を広げても時間を浪費するばかりで、上手く現実をけれることに脳が対処できない。それに、この町に戻ってきたのも何か理由があってだろうし、もしかしたらそれは言いにくいことかもしれない。徐々に引き出すのも一つの手だ。つまり、今の狀況で出來る最善策は、時間を空けることだ。気持ちの整理がついた上で話を再開すればいい。なにやら俺の心の中で燃えるものが出てきてしまったし。
「あっ」
それとひとつ大事なことを言い忘れてた。
もしまたヒカリと楽しい毎日が送れるようになった時、最初に言おうと心に決めていた四文字の言葉。そのことが本當に嬉しいことだからそれだけで済ますのはかえってためらうくらい、いろんな思いと再び出會えた奇跡をここに表して。
「おかえり」
その言葉をヒカリはしも予期していなかったらしく、一瞬虛を突かれたように目を丸くしていたが、すぐにその顔には満面の笑みが広がった。
「ただいまっ!」
ヒカリはそのまま俺に抱きついてきた。勢いが強すぎて後ろに倒れそうになったが、ぎりぎりもちこたえることが出來た。俺はヒカリの言葉を何度も噛み締めて、やっとヒカリが帰ってきたという実がわいてきた。心に溫かなが流れ込んで行く。その思いを確かに抱きとめようと俺はヒカリの肩に軽く手を回した。ヒカリは拒否しなかった。俺とヒカリはしばらくその狀態でいた。
これは俺とヒカリの三年越しの再會だった。
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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